「Agentforce、その先へ。自律型AIを正解へ導くコンテキスト設計とデータ整備」開催レポート
公開日 : 2026.05.29
※SFUGイベント開催レポートは、SFUGアンバサダーによる、ユーザー目線のリアルな開催レポートです
※本レポートは、SFUGアンバサダーがイベントに参加し、個人の見解をまとめたものです。製品の具体的な仕様や最新のリリース状況については、Salesforce 公式サイトの情報も併せてご確認ください。 また、当日のセッションでの表現を尊重し、一部に旧名称を使用している場合がありますので、あらかじめご了承ください。
SFUGアンバサダーの高橋真知子です!
今日は4/21に開催されたSalesforce ユーザーグループイベントのレポートをご紹介します。

開催概要
■イベント名:Agentforce、その先へ。自律型AIを正解へ導くコンテキスト設計とデータ整備
■日時:2026年4月21日(火)15:00-18:00
■形式:現地会場開催
Agenda
1.登壇セッション
2.グループセッション

イベント全体の感想
Salesforce が目指すのは「ヒトとAgentが協働して生産性をあげる」世界の体現です。
Agentがヒトの仕事を代替するだけではなく、ヒトとの協働によって、より付加価値の高い商品やサービスへと昇華させていくことが可能になります。
それには、まず次の2つを決める必要があります。
- 何の業務(業務プロセスのどの部分)をAgentに代替させるか?
- 何の業務(業務プロセスのどの部分)にヒトを割り当てるべきか?
加えて、そもそも対象となる業務(ユースケース)をどうやって選定すべきか?という前提も忘れてはなりません。
すでに、Agentforce を導入している参加企業様のアンケートからは、既存顧客の信頼を落としかねない業務をユースケースとして選定しづらい上、期待どおりにAgentが動かないことにより効果の測定もままならず、本番運用に踏み切れない実態が浮かび上がってきました。
本番運用に踏み切るためには次の2つのハードルを超える必要がありそうです。
▼超えるべきハードル2つ
- ハードル1:Agentがどのレベルまで業務を遂行できれば「代替できた」と言えるのか?
- ハードル2:どれだけの定量効果があったか?(KPI設計)
では、Salesforce社が次の2つのケースを通じて、上記のハードルをどうやって超えたのか?そのエッセンスをご紹介いたします。
※本事例は Salesforce 社内での実践例です。導入の際は、自社のデータ整備状況や業務プロセスに合わせて設計・調整を行うことが成功の鍵となります。
Salesforce社の取り組みから得られた学び
1. Agentの種類:Service Agent

【目的】
顧客サポート
【対象業務】
ヘルプサイトに寄せられる顧客(ユーザー)の質問への回答
【設計思想】
- 従来、ヘルプサイトには顧客の質問を理解するために、背景や状況について複数の入力項目を用意していたが、質問を入れる項目のみに絞り、Agentに文脈を理解させヒトの項目入力工数を削減
- Agentで解決できなかった場合にはヒトに連携
【どの業務をAgentに代替させ、どの業務をヒトに投資すべきか?】
- ユーザーの質問には次の2パターンがある
①ナレッジを調べれば分かるが、回答に辿り着けない
②前提条件や置かれている状況が複雑であり、一般的な回答では不足している
- Agentの導入により①のケース数が従来よりも50%削減された。一方で、②は従来どおりヒトが対応することでヒトとAgentの分業ができ始めたと判断
【Agentがどのレベルまで業務を遂行できれば「代替できた」と言えるのか?】
- Agentが生成する回答(技術回答)について、下記3つの選択肢を用意し、①②が全体の60%を超えたらリリースしてOKという独自の判断基準を設けた
①許容できる
②部分的に許容できる
③許容できない
【どれだけの定量効果があったか?(KPI設計)】
- メインKPI
- ヒトが対応するケースがどれだけ減少したか?
- Agentが解決したケース数がどれだけ増加したか?
- サブKPI
- Agentが解決できずにヒトにエスカレーションされたケース数はいくつか?
- ユーザーの悩みが解決した場合、黙ってサイトを離れてしまうため、本当に解決したか判別が困難だった
→Agentが回答した後、「解決しましたか?」とユーザーに聞く仕様を追加することで、よりユーザーの期待に応えるAgentであるかを定量的に測ることが可能となった
【Agent設定のTips】
<投入データについて>
- データの信頼性を考慮すれば、非構造化データはData360への投入がベスト
- Data 360 へ Sales Cloud のデータを入れれば、顧客の情報をリアルにキャッチ
- データは量より質
- データは多ければ多いほどよいという考えのもと、開発ドキュメント等も投入したら回答精度が落ちた
- データ量が多くても「重複」があると芳しくない
- 重複を生まないために、ナレッジのリフレッシュ(賞味期限を設ける、古いものはアーカイブする)も必要
- ナレッジはAgentが読みやすい形にする
- HTMLのヘッダーを利用した文体にすることで、Agentがチャンクごとに理解しやすくなり、回答精度が上がる
- 従来、グローバル検索等の検索の引っかかりやすさという点では平文だったが、ヘッダーを利用した構造化された文面の方がAgentとしてはよい
- 今から、過去のナレッジをすべてHTML化するのは労力がかかりそう…
- チャンクの切り方が適切か判定し、スコアリングしてくれるObservability製品(アプリ)がある
- 該当ナレッジの閲覧数と解決数を考慮し、両者が高いにもかからず、スコアが低いものからHTML化に着手すると効率的
<プロンプトについて>
- インストラクションに Salesforce の利益に反しないプロフェッショナルな対応を要請
- 顧客の気持ちを読み、急いでいたらすぐにエスカレーションするなど状況判断をする
- シングルレトリーバー/シングルインデックスでは、文脈を読み切れない
- マルチレトリーバー/マルチインデックスを用いて、構造化データの中から利用者の状況を理解し、より適切な回答を生成できるように取り組んでいる
- 前提をプロンプトに追記し、インデックスに引っ掛けるようにする仕様
<Agent自体の考え方について>
- 多言語化すると言語の種類だけAgentが必要
- 英語のナレッジが多い場合、ユーザーの入力文言を英訳した上で Data 360 より探す方がベター
- 例)ヘルプサイトに日本語で質問が記載される
- 英語のナレッジが多い場合、ユーザーの入力文言を英訳した上で Data 360 より探す方がベター
Agentが英語に変換→ Data 360 で探索→日本語に変換→ユーザーに回答
<ローンチ後について>
- 継続的に品質管理を注視するプロセスを構築、専門のチームを組成
【将来的な展望】
今後は、ヘルプサイトへの遷移が不要になるようなシームレスな体験や、ボイス入力によるさらなる工数削減が期待されています。今後のアップデートが非常に楽しみです。
2. Agentの種類:Engagement

【目的】
見込み顧客への営業
【対象業務】
アウトリーチメールの送信と商談化
【設計思想】
- リードスコアが低く商談化につながりにくいリードはAgentが対応
- 従来は「送信専用」として送っていたアウトリーチメールについてAgentが顧客の購買熱量を定量的にヒアリングし、熱量が高い場合には自動でミーティングをセット
- リードの入荷後、重複がないかチェックした後、Agentが顧客のヒアリング情報を付加すると同時に、正式な企業名や住所/WEBサイト情報を補完し、5分後には顧客対応が開始できるような状態を実現
【どの業務をAgentに代替させ、どの業務をヒトに投資すべきか?】
- 前提:5点満点のリードスコアに対して、3点以上の場合に商談化につながりやすい
- 商談化の90%はスコア3点以上から生まれたという実績あり
- 2点以下はAgentに一任する判断を下した
- リードスコア別ヒトとAgentの分業体制
- 1~2点: Agentが対応
- 3点 : ヒトとAgentが協業して対応
- 4~5点: ヒトが対応
- 生成されたリードに対してスコアが2点以下の場合、Agentが10~15分で自動的にアウトリーチメールを送信
- 顧客が「打ち合わせを予約する(Book a Meeting)」ボタンを押下したら、AgentがSDR(インサイドセールス)のスケジュールの空き時間を確認し、商談をセット
【Agentがどのレベルまで業務を遂行できれば「代替できた」と言えるのか?】
- 実装したAgentに対してUAT(User Acceptance Test)を行った後、社内でテストを行う(インターナルリリース)
- テストを行うための専任メンバーを配置し、代替可否をチェック
【どれだけの定量効果があったか?(KPI設計)】
- スコア1〜2点のリードに対して、従来ヒトが対応していた時に比べ、何時間削減できたか?
- 削減できた時間を使って、スコア3点以上の顧客にヒトを集中投資することで、どの程度品質が向上したか?(現在PoC実施中)
- 商談化した場合のクローズ金額はKPIとして計測していない
【将来的な展望】
現在、さらなるパーソナライズ化に向けた改善も進んでいるようです。
まとめ
ヒトとAgentが協働する世界から生み出される「より付加価値の高い商品やサービス」とは、Agentが得意な業務を把握し、それらの業務をAgentに代替させることで空いた稼働時間にヒトが何の業務を行うのか?決めることから始まります。
Service Agentでは、ケースが作成される前の状態にフォーカスして、ケース数自体を減らす(顧客が疑問を持たなくてもサービスを享受できる)仕組みを構築することであり、Engagement Agent では、リードナーチャリングの品質を向上させ、購買意欲の高い顧客により丁寧なサービスを届けることです。
Agentforce の導入が、単なるコストカットにとどまらず、新たな価値を顧客に届けるための仕組みとして機能するために、本イベントでご紹介したユースケースが皆様の一助となりましたら幸いです。
公開日 : 2026.05.29
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