Salesforce はどのようにして AI の活用を実現していくのか?

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公開日: 2024.01.30

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この記事で学べること

  • Einstein Trust Layer によるセキュリティと信頼性
  • Einstein 1 Platform による AI の実現
  • Salesforce の Einstein がもたらす業務の変化

私たちのビジネスを取り巻く環境は急速な勢いで変化しており、特に昨今では生成 AI がビジネスで成果を上げるためのアプローチとして各企業に注目されています。その一方で、AI に対する信頼性やセキュリティへの不安、新しい働き方への抵抗、AI のカスタマイズ可否など、AI を業務で活用するにあたっての課題感を持つ企業も少なくありません。

それでは Salesforce のプラットフォームはそのような課題感をいかにして払拭し、どのように AI の活用を実現していくのでしょうか。ではまず最初に信頼性やセキュリティの観点から見てみましょう。

Einstein Trust Layer による信頼性

Salesforce のプラットフォームには「Einstein Trust Layer」というセキュリティや信頼性を確保するための仕組みが組み込まれています。この Einstein Trust Layer はどのようにして安心かつ安全にお客様に AI の機能をお届けするのでしょうか。実際の動作をみてみましょう。

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人間の指示に対し AI が信頼性の高い回答を得るためには、関連するデータを適切に使うことが重要です。

そのためにまず Einstein Trust Layer はデータの取得を試みますが、Salesforce 上で設定されている権限以上のデータは取得することはできません。CRMに格納されている信頼されたデータを参照しつつも、必要以上のデータが利用されることがないのです。

また取得されたデータのうち機密データが AI に送信されることを回避するため、Einstein Trust Layer はデータのマスキングを行い、顧客データが外部に漏洩することを防止します。

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そしてマスキングされた関連データとともに命令文(プロンプト)が AI に送信され回答が生成されますが、命令文やデータは、Salesforce の外部には一切保存されません。

AI から回答を受信する際も、Einstein Trust Layer は回答の有害性(暴力、不敬、偏見、差別などの表現)の排除を行ってから、安全な回答をユーザーに届けます。

※詳細な情報は Trailhead「Einstein Trust Layer」をご覧ください。

このようなかたちで、Salesforce は安心して AI をご活用いただけるプラットフォームを提供しており、お客様は企業のデータプライバシーとセキュリティ基準を維持しながら生成 AI のメリットを享受することができます。

そして、この Einstein Trust Layer を内包した、 安心してAI を活用できる Salesforce プラットフォームのことを総合して「Einstein 1 Platform」と呼びます。

Einstein 1 Platform とは?

Salesforce は AI を実現するためのプラットフォームとして「Einstein 1 Platform」を発表しました。「Einstein 1 Platform」とは、AI が組み込まれており、様々なデータ同士を安全に結びつけ、新しい顧客体験を提供することができるプラットフォームです。そしてこの「Einstein 1 Platform」は先程ご説明した Einstein Trust Layer と連携し動作するのです。

それではどのような機能や特徴を有しているのかみてみましょう。

  • 統合型
    • セールス、サービス、コマース、マーケティングといった様々なアプリケーションやシステムに散在する顧客データを集めて統合することができます。このようにして統合された顧客のプロファイルを生成し、顧客一人ひとりの情報をすべてのチームが共有し活用することで、すべての業務をお客様中心にして推進することができます。

  • インテリジェント
    • Salesforce はプラットフォーム上に蓄積されている顧客データを以って AI を活用します。これにより Salesforce の AI である Einstein は、蓄積された顧客データにもとづいた信頼性の高いコンテンツをお客様に提供します。

  • 自動化
    • ローコードのツール/ソリューションにより、複雑なタスクや様々なデータ処理を自動化することができます。これにより、従業員の支援、プロセスの効率化等を実現します。

  • ローコード、ノーコード
    • AI がすでにプラットフォームに組み込まれているので、コードを書くような開発を行わなくても、クリック操作(ローコード、ノーコード)で AI を活用したアプリを構築することができ、迅速にアプリや業務フローに AI を組み込むことが可能です。

  • オープン
    • オープンなエコシステムにより、インテグレーションやアプリケーションをお客様独自に構築することができます。

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*引用元 : Einstein 1 Platform

「Einstein 1 Platform」は様々な顧客データを統合し、データを活用し、そして柔軟に業務プロセスやアプリケーションに AI を組み込むことができる Salesforce のプラットフォームであることをご説明致しました。


それでは Salesforce の AI である Einstein は、具体的にお客様の業務にどのような変革をもたらすのでしょうか。

Salesforce の AI がもたらす変革

AI を活用することでより多くのものを得ることができる未来を少し覗いてみましょう。

動画 : 対話型AIと共に働く未来

いかがでしたか? ビジネスの課題に取り組むときに、Einstein の力を借りて、AI、データ、CRM、信頼の可能性を最大限に引き出している様子が描かれていました。これは少し先の将来でしたが、現在提供されている、もしくは提供が予定されている Einstein はどのようなことができるのでしょうか。たくさんある機能や製品の中から一例を見てみましょう。

(2024年1月の本記事公開時点で、日本語対応していない機能も含まれています)

  • Sales
    • 多数の案件や見込み客の中から、優先度の高い案件や顧客を Einstein が特定。
      [Einstein スコアリング]

    • 顧客データをもとして、顧客毎にパーソナライズされたメールをワンクリックで自動生成。
      [Sales Emails]

    • 顧客との通話記録をもとに要点を自動でまとめ上げ、重要なポイントや Next Action を明確化。
      [Call Summaries]

    • ビデオ会議の内容を Einstein が文字に起こして主要なインサイトを特定。
      [Einstein 会話インサイト]

    • 顧客企業、担当者、見込み客、商談に関する情報のサマリ(データの要約)を生成。
      [Sales Summaries]

  • Service
    • 数クリックでチャットボットを作成。
      [Einstein ボット]

    • 顧客とエージェント間のやりとりにおいて、Einstein が返信を自動生成。
      [Service Replies]

    • 顧客との会話に基づいて、Einstein が問い合わせの概要/問題/結果を要約して保存。
      [Work Summaries]

    • 社内ナレッジベースに基づいた回答を自動生成。
      [Grounding]

    • お問い合わせ(ケース)に入力するおすすめの値を表示。
      [Einstein 分類アプリケーション]

  • Marketing
  • Commerce
    • 個々の顧客に合わせて関連性の高い商品を予測して表示(B2C)。
      [Einstein Product Recommendations]

    • 複数の商品の説明文書を Einstein が生成(B2B & D2C)。
      [Product Fields]

    • 自然言語での指示によって生成AIが基本的なプロモーションから高度なプロモーションまで作成(B2B & D2C)。
      [Smart Promotions]

    • 生成AIを使って返品率の高い商品を特定し、顧客が返品する理由を分析する (Order Management)。
      [返品インサイト]

  • Tableau
    • AIに基づいたインサイトでデータに基づいた判断を加速。
      [Tableau Pulse]

  • Slack
  • プラットフォーム
    • 対話型の AI アシスタント。自然言語で質問すると、Salesforce 上のデータに基づき、信頼性の高い回答を生成。
      [Einstein Copilot]

    • 対話型の AI アシスタントを自社向けにカスタマイズ可能。
      [Einstein Copilot Studio]

このようなかたちで各種業務において自動化や合理化を実現し、担当者の生産性や顧客満足度の向上に貢献するものがSalesforce の AI である Einstein です。

自分で様々なデータをみて分析したり、個々のレコードを開いて1つ1つ更新するといった大変な作業をしなくても、 Einstein に言葉で質問したり依頼することで、Einstein がすべてやってくれるという将来が確実に近づいてきています。

そういった将来にむけて、 Salesforce は予測型のAI だけではなく、現在注目されている生成型の AI に関する機能を今後も継続的にリリースしていきます。

※詳細はこちらをご覧ください。

Einstein の活用事例

このような Einstein をお客様は実際どのようにお使いいただいているのでしょうか。

下記から事例をご覧いただくことができます。

  • 海外のお客様事例として Wiley 社の事例 が公開されています
  • 国内の事例も こちら からご覧頂くことができます

是非、確認してみてください。

以上、SalesforceのEinsteinがもたらす変革をご紹介させていただきました。

それではこういった AI の導入は実際にどのようなステップで進めていけば良いのでしょうか。

次のセクションにてご案内いたします。

次の記事:AI 導入時のステップと重要なポイント

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