Salesforce でどのようにして AI の活用を実現していくのか?
公開日: 2024.12.19
目次
この記事で学べること
- Einstein Trust Layer によるセキュリティと信頼性
- Salesforce プラットフォームにおける AI の特徴
- Salesforce の AI がもたらす業務の変化
私たちのビジネスを取り巻く環境は急速な勢いで変化しており、特に昨今では生成 AI がビジネスで成果を上げるためのアプローチとして各企業に注目されています。その一方で、AI に対する信頼性やセキュリティへの不安、新しい働き方への抵抗、AI のカスタマイズ可否など、AI を業務で活用するにあたっての課題感を持つ企業も少なくありません。
それでは Salesforce のプラットフォームはそのような課題感をいかにして払拭し、どのように AI の活用を実現していくのか、まず最初に信頼性やセキュリティの観点から見てみましょう。
Einstein Trust Layer による信頼性
Salesforce のプラットフォームには「Einstein Trust Layer」というセキュリティや信頼性を確保するための仕組みが組み込まれています。この Einstein Trust Layer はどのようにして安心かつ安全にお客様に AI の機能をお届けするのか、実際の動作をみてみましょう。

人間の指示に対し AI が信頼性の高い回答を得るためには、関連するデータを適切に使うことが重要です。
そのためにまず Einstein Trust Layer はデータの取得を試みますが、Salesforce 上で設定されている権限以上のデータは取得することはできません。CRMに格納されている信頼されたデータを参照しつつも、必要以上のデータが利用されることがないのです。
また取得されたデータのうち機密データが AI に送信されることを回避するため、Einstein Trust Layer はデータのマスキングを行い、顧客データが外部に漏洩することを防止します。

そしてマスキングされた関連データとともに
文(プロンプト)が AI に送信され回答が生成されますが、命令文やデータは、Salesforce の外部には一切保存されません。
AI から回答を受信する際も、Einstein Trust Layer は回答の有害性(暴力、不敬、偏見、差別などの表現)の排除を行ってから、安全な回答をユーザーに届けます。
※詳細な情報は Trailhead「Einstein Trust Layer」をご覧ください。
このようなかたちで、Salesforce は安心して AI をご活用いただけるプラットフォームを提供しており、お客様は企業のデータプライバシーとセキュリティ基準を維持しながら生成 AI のメリットを享受することができます。
Salesforce プラットフォームにおける AI の特徴
Salesforce のプラットフォームは AI がネイティブに組み込まれており、様々なデータ同士を安全に結びつけて新しい顧客体験を提供することができます。Salesforceのプラットフォームにおける AI の特徴を見てみましょう。
- 統合型
- セールス、サービス、コマース、マーケティングといった様々なアプリケーションやシステムに散在する顧客データを集めて統合することができます。このようにして統合された顧客のプロファイルを生成し、顧客一人ひとりの情報をすべてのチームが共有し活用することで、すべての業務をお客様中心にして推進することができます。
- インテリジェント
- Salesforce はプラットフォーム上に蓄積されている顧客データを以って AI を活用します。これにより Salesforce の AI は、蓄積された顧客データにもとづいた信頼性の高いコンテンツをお客様に提供します。
- 自動化
- ローコードのツール/ソリューションにより、複雑なタスクや様々なデータ処理を自動化することができます。これにより、従業員の支援、プロセスの効率化等を実現します。
- ローコード、ノーコード
- AI がすでにプラットフォームに組み込まれているので、コードを書くような開発を行わなくても、クリック操作(ローコード、ノーコード)で AI を活用したアプリを構築することができ、迅速にアプリや業務フローに AI を組み込むことが可能です。
- オープン
- オープンなエコシステムにより、インテグレーションやアプリケーションをお客様独自に構築することができます。
Salesforce のプラットフォームは様々な顧客データを統合し、そのデータを活用して、柔軟に業務プロセスやアプリケーションに AI を組み込むことができるプラットフォームであることをご説明致しましたが、そのような Salesforce の AI が具体的にお客様の業務にどのような変革を
。Salesforce の AI がもたらす変革
AI を活用することでより多くのものを得ることができる未来を少し覗いてみましょう。
動画 : 対話型AIと共に働く未来
いかがでしたか? ビジネスの課題に取り組むときに、AI の力を借りて、データ、CRM、信頼の可能性を最大限に引き出している様子が描かれていました。これは少し先の将来でしたが、現在提供されている、もしくは提供が予定されている AI機能 はどのようなことができるのでしょうか。たくさんある機能や製品の中から一例を見てみましょう。
(2024年12月の本記事更新時点で、日本語対応していない機能も含まれています)
- Sales
- 多数の案件や見込み客の中から、優先度の高い案件や顧客を AI が特定。
[Einstein スコアリング] - 顧客データをもとして、顧客毎にパーソナライズされたメールをワンクリックで自動生成。
[セールスメール] - ビデオ会議の内容を AI が文字に起こして主要なインサイトを特定。
[Einstein 会話インサイト] - 顧客との通話記録をもとに要点を自動でまとめ上げ、重要なポイントや Next Action を明確化。
[ ] - 顧客との音声やビデオを通話記録に直接質問可能。
[通話エクスプローラー] - Service
- 数クリックでチャットボットを作成。
[Einstein ボット] - 顧客とエージェント間のやりとりにおいて、AI が返信を自動生成。
[Einstein サービス返信] - 顧客との会話に基づいて、AI が問い合わせの概要/問題/結果を要約して保存。
[Einstein 作業概要] - 社内ナレッジベースに基づいた回答を自動生成。
[グラウンディング] - お問い合わせ(ケース)に入力するおすすめの値を表示。
[Einstein 分類アプリケーション] - AI がお問い合わせ(ケース)に基づきドラフトナレッジを作成。
[Einstein ナレッジ作成]
[事前作業ブリーフィング]- AI がアンケートをすばやく作成して翻訳。
[生成 AI アンケート] - Marketing
- 顧客毎のエンゲージメント状況に基づいたメッセージ配信を実現。
[Einstein エンゲージメントスコアリング] - 顧客毎の「正しいタイミング」を理解したメッセージ配信を支援。
[Einstein 送信時間最適化] - メッセージの件名と本文のコピーを生成。
[Subject Line & Body Copy Generation] - フォーム、ランディングページのコンテンツを生成。
[Account Engagement の Einstein アシスタント] - Commerce
- 個々の顧客に合わせて関連性の高い商品を予測して表示(B2C)。
[Einstein Product Recommendations] - 自然言語での指示によって生成AIが基本的なプロモーションから高度なプロモーションまで作成(B2B & D2C)。
[Smart Promotions] - 生成AIを使って返品率の高い商品を特定し、顧客が返品する理由を分析する (Order Management)。
[返品インサイト] - Tableau
- AIによりデータの準備もVizの作成もより早く実現。
- AIに基づいたインサイトでデータに基づいた判断を加速。
[Tableau Pulse] - Slack
- チャンネル、スレッド、ダイレクトメッセージ(DM)の内容をよりすばやく把握して時間を節約。
[会話の要約] - 未読チャンネルの要約をカスタマイズして、一日の初めに情報をすばやく把握しましょう。
[まとめ] - 質問を入力すると、Slack 内にあるメッセージやファイルに基づいた簡潔な回答を生成。
[回答の検索] - ハドルミーティング中に議事録を自動作成
[ハドルミーティング議事録] - プラットフォーム
- AI が既存の数式の説明や新規数式のエラーの修正を支援。
[Einstein for Formulas] - 自動化する内容についてAI に説明することでドラフトフローを作成。
[Einstein for Flow]
Salesforce の AI は、このようなかたちで各種業務において自動化や合理化を実現し、担当者の生産性や顧客満足度の向上に貢献します。
例えば、営業担当者の日常業務がどのように変わるのかについて、こちらのブログにてユースケースをご紹介しております。
Salesforceブログ : 営業部門でのAI活用法 7選。AIで売上を飛躍的に高める方法を紹介
Salesforce の AI を活用することで、見込み顧客との打ち合わせの調整 / 商談の優先付け / メールの作成 / お客様との会議の議事録作成など、営業担当者の日々の業務を効率化することができ、顧客との信頼を築くための本質的な時間を確保することができるようになります。
さらに別のユースケースも見てみましょう。
こちらは、コミュニケーションツールである Slack の AI を使用して営業部門に変革をもたらすというユースケースが、サクセスナビにある「Slack AI 特設ページ」の「Slack AIの活用イメージ」でご覧いただくことができます。
サクセスナビ : Slack AI 特設ページ
Slack AI を利用することで、 社内に蓄積された情報を活用することでの組織力の強化、そして迅速な状況把握と効率的なアドバイスができるようになることがご覧いただけたかと思います。
自分で様々なデータをみて分析したり、個々の情報を開いて1
確認するといった大変な作業をしなくても、 AI に言葉で質問したり依頼することで、AI がすべてやってくれるという将来が確実に近づいてきています。
Trailmix [Take Flight with Einstein Copilot and Prompt Builder] では Salesforce の AI がどのようにそうした将来を実現しようとしているのか垣間見ることができますので、お時間のある時に是非ご覧ください。
さて、ここまでご紹介した Salesforce プラットフォームにおける AI は、予測 AI ならびに生成 AI の機能が主なものでした。
しかしながら、予測 AI から始まり生成 AI のフェーズに移った Salesforce の AI は「Agentforce」を発表しました。
」のフェーズにまで進化しており、Salesforce は 2024 年 9 月に Dreamforce で自律型 AI エージェントである「
Agentforce とは、セールス / サービス / マーケティング / コマースなどの様々な領域で、人間が継続的に介入することなく、自律的に意思決定・アクションするAI エージェントであり、それらを作成 / カスタマイズするツール群の総称です。それでは Agentforce がどのようなものなのか、以下の2つの動画をみてみましょう
動画 : What Is Agentforce?
動画 : Agentforceで作る AIエージェントとは?
Salesforce の自律型 AI エージェントである Agentforce を動画でご紹介させていただきましたが、サクセスナビでは「Agentforce特設ページ」を開設しており、こちらのページは Agentforce に関するコンテンツやリソースを随時公開していく予定です。今後のAgentforceの動向をチェックする際に是非ご活用ください。
このようにして Salesforce は予測型や生成型の AI だけではなく、自律型 AI エージェント に関する機能を今後も継続的にリリースしていきますので、Salesforce の AI にご期待ください。
※詳細はこちらをご覧ください。
AI の活用事例
このような AI をお客様は実際どのようにお使いいただいているのか、
をご覧いただくことができます。- データと AI でエンゲージメントを3倍に増加した成功のレシピ
- 国内の他の事例も こちら からご覧頂くことができます
是非、確認してみてください。
以上、SalesforceのAIがもたらす変革をご紹介させていただきました。
それではこういった AI の導入は実際にどのようなステップで進めていけば良いのか、次のセクションにてご案内いたします。
次の記事:AI 導入時のステップと重要なポイント
公開日: 2024.12.19
この情報は役に立ちましたか?
ご意見お待ちしております。
フィードバックありがとうございます。
より役に立つために
役に立たなかった一番の理由を教えてください。
Salesforce の AI を知る
-
STEP1. AI とは
-
STEP2. Salesforce の AI
-
STEP3. 導入アプローチ