AI 導入時のステップと重要なポイント

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公開日: 2024.01.31

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この記事で学べること

  • AI を導入する時のステップ
  • AI を導入する時に重要なポイント
  • AI Coach とは
  • AI と Data Cloud の認定資格

ここまで、生成 AI がビジネスにもたらすインパクトや生成AIの課題、その課題を払拭するために Salesforce が提供しているEinstein Trust Layer、 AI を実現するためのプラットフォームである Einstein 1 Platform について見てきました。

ここでは、みなさまの Salesforce の組織に実際に AI を導入する場合に、何から着手すべきなのか、そのステップを見ていきましょう。基本的なステップは他のシステム導入と大きく異なるものではありませんが、AI ならではのポイントもありますので、見逃さないようにしてください。

AI の導入ステップ

AI を導入する場合、他のシステム導入時と同様に、目的やゴールを明確にした上で下記のステップでプロジェクトを進めていきます。

  • 目的・ゴールの明確化
  • ユースケースの検討
  • ソリューションの検討
  • 設計・実装・導入
  • 導入後の運用・メンテナンス計画・体制構築

1. 目的・ゴールの明確化

自社に AI を導入することで、どのようなことを実現したいかを明確にしましょう。

目的やゴールが明確であれば、どのようなデータが必要となるかを判断することができます。

その他、関係者やステークホルダーとの合意形成にも役立ちますし、プロジェクトの範囲の定義や成功指標の設定/進捗の管理、成功の測定が容易になります。そのため、AI 導入の目的やゴールは社内に共有し、合意形成を行いましょう。

2.ユースケースの検討

自社のどの業務領域で、AI を活用できそうかを検討します。

以下 Trailhead には、部門毎の AI 活用のアイデアが記載されていますので、参考にしてください。

ユースケースを検討したら、導入後に定量的に効果を確認できるよう、現在の値(対象業務にかかっている時間など)と期待値を決めておきましょう。これらは現場のユーザー様にヒアリングを行い、相談しながら決めることをお勧めします。

3.ソリューションの検討

ユースケースを実現するための具体的なソリューションを検討します。

Salesforce で提供している AI は、予測 AI と生成 AI があります。どちらの AI のどの機能を使用するか、もしくは生成 AI と予測 AI を組み合わせることで効果が高まるユースケースもありますので、具体的にどの機能を使用するかを決めましょう。

*Salesforce で提供しているAIの機能については、Salesforce はどのようにして AI の活用を実現していくのか? をご確認ください。

また、PoC (技術実証) についても検討することを忘れないようにしてください( PoC の詳細は後述します)

AI におけるデータの重要性

AI を使用するにあたり、最も重要なものはデータです。なぜなら、AI はデータを元に将来の変化の予測や新たなコンテンツ(営業メールや推奨回答など)の生成を行うからです。データの品質が AI の精度に直結すると言っても過言ではありません

※データの品質の重要性については AI におけるデータの基礎(Trailhead)もご確認ください。

では、AI を使用する際に必要なデータはどのようなものなのでしょうか。

必要なデータを検討する際は、「AIを使用する目的・ゴールを達成するためにどのようなデータが必要か」を念頭に検討しましょう。果たして現在の業務で使用しているデータで十分でしょうか。

また、以下の観点での確認もしておきましょう。

  • そのデータはどこに保存されていますか
    • Salesforce に保存されていますか
    • 様々なシステムに分散して保存されていますか
  • そのデータの品質に問題はありませんか
    • 最新の情報に更新されているか
    • 必要なデータが欠落していないか
    • 入力されている情報は正確か
    • データに一貫性はあるか
    • 重複はないか
    • 現在は使われていない不要なデータはないか

必要なデータの有無やその状態(Einstein で利用可能な状態か)を確認し、不足している場合はデータを追加しましょう。

また、適宜既存データの更新や修正を行いましょう。その際、目的やゴールを達成するために必要なデータを準備することを意識しましょう。

※関連情報は AI 向けにデータを準備する(Trailhead)もご確認ください

中には、必要なデータが Salesforce に無い・・・と愕然としたお客様もいらっしゃるかもしれません。

そんな時は、Data Cloud の利用を検討してみましょう!

Data Cloud を使用すると、異なる製品やシステムに保存されたデータをつなげ、連携・調整することができ、AI で活用することができます。ご興味がある場合は、弊社営業担当者へご相談ください。

(参考:【金融機関×DX】パーソナルサービス実現のためのAI×データ活用術

4.設計・実装・導入

設計・実装・導入の際には、業務フローやセキュリティ要件、今後の拡張性など、本番環境における運用を十分に考慮しましょう。Salesforce の AI は、Einstein 1 Platform 上に構築されているため、設定はクリック操作(ローコード)を中心に行うことができます。素晴らしいですね!

5.導入後の運用・メンテナンス計画

AI を導入したら、ユーザーにフィードバックを求めましょう。

機能によっては使用中に Einstein にフィードバックを送信できるものがありますが、それを利用しつつ別途アンケートなどを実施し、現場のユーザーからの率直な意見を求めます。そのフィードバックを分析し、改善ポイントを見つけます。

AI を効果的に業務で利用し続けられるようにするために、導入後も定期的にメンテナンスを実施し、改善を続けていきましょう。そのためには、導入後すぐにプロジェクトを解散するのではなく、体制を維持して PDCA サイクルを回すことが大切です。

以上がAI 導入の基本的なステップです。

現在多くの企業が AI に注目しており、導入の検討を始めている状況です。

ところがある調査によると、AI の実装を試みた約70%の企業が、プロジェクトが想定通り進んでいないという結果があります。

そのような状況を回避するためには、いくつかの外せないポイントがありますので、必ずご確認ください。

AI 導入時の成功のポイント

啓蒙活動

AI 導入プロジェクトを進める際は、「自分の仕事が AI に取られるかもしれない」という不安を持つ従業員がいる可能性を考慮し、「 AI は、人間の仕事の効率を上げてくれるアシスタントである(人間に取って代わるものではない)」というメッセージを発信し続ける啓蒙活動も忘れてはいけません。

一方で、「 AI を使って自分の業務を効率化をしたい!」と前向きに捉えている従業員には、AI に期待しすぎることの危険性(ハルシネーションの理解)を伝えて、正しい期待値を持ってもらう必要があります。

そうは言っても、人間の考えはそう簡単には変わりません。

そのため、プロジェクトの早期から社内向けに AI についての基礎知識の学習計画を立てたり、上記のような啓蒙活動を始めて、粘り強く続けていくことが大切です。

AI 実装の変更管理 (Trailhead)には、AI 導入時の組織変革をサポートする計画とベストプラクティスが纏められていますので、合わせてご確認ください。

では、どのようにすれば、社内の啓蒙活動がスムーズにできるのでしょうか。

その土台となるのが、しっかりとしたプロジェクト体制です。

プロジェクト体制

どのような体制で AI 導入プロジェクトを推進するかは、非常に重要です。

AI 導入プロジェクトでは、社内体制が組織全体を統括し、変革を推進する中心的な役割を果たす必要があります。

成功のためには、組織全体の協力とリーダーシップが不可欠であり、社内体制がこれをリードする必要があります。

PoC (技術実証) 

AI を本番環境に実装する前に、PoC を実施することを推奨します。

PoC での評価結果を元に、AI がプロジェクトの目的・ゴールに寄与できるのかを判断します。

また前述の通り AI 活用においてはデータ量や品質が決定的な要因となります

PoC のなかで、想定したデータが収集できるか、また収集したデータで期待した効果が出るか等の確認をすることが重要です。

その結果を持って本番環境へ実装していきますが、ここで重要なポイントがあります。

一度に全てを実装するのではなく、スモールスタート(段階的な展開や実装)をお勧めします。

AI の成果を評価しつつ徐々に実装していくことで、AI投資が無駄になってしまうことを極力無くします。

ここまで、AI を導入する時のステップと考慮事項をお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

自社で AI を実装・導入して、ビジネスにおける優先事項で期待以上の成果を上げて成功するイメージはできましたでしょうか。

もし今、「 AI 導入に前向きに取り組みたいけれど、自社だけでは不安だ」と感じている場合には、パートナー様へご相談いただくこともできますし、Salesforce のサービス「AI Coach」をご利用いただくこともできます。

AI Coachとは

AI Coach は、ビジネスで効果的に AI を活用できるようにすることで、お客様を成功へと導く Salesforce の新しい有償サービスです。Salesforce では、すでに20年以上にわたってお客様のビジネス変革を支援し続けてきた実績があり、そこで得られた知見を纏め、体系化したものとなっています。

AI Coach では、 Salesforce の信頼できるアドバイザーが以下の支援をいたします。

  • 企業や組織における AI の対応状況の評価
  • 短期間でのPoC (技術実証) の実施
  • AI を使用して長期的な成功に導く最適な基盤を構築するための戦略的な計画の策定

(参考:AI導入・実装の壁を突破する3つのポイント - Salesforce ブログ

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AI Coach は、AI によってお客様のビジネスに変革をもたらすための包括的なご支援になります。

何から手を付ければ良いのか、自社の現状はどうなっているのか、今後どうあるべきか、いま考えているAI施策は本当に効果が出るのだろうか……。

そのような疑問やお困りごとを解決し、ビジネス効果に繋げる新しいサービスとなりますので、是非ご活用ください。

ご興味をお持ちの際は担当営業までお声がけいただくか、こちらから資料のダウンロード・お問い合わせをお願いします。

次に、「個別機能について知りたい・アドバイスを受けたい」という方には、エキスパートコーチングがございます。

エキスパートコーチング

エキスパートコーチングは、お客様が Salesforce の特定の製品からより多くの価値を得られるようにデザインされた専門的なコーチング・プログラムです。

※エキスパートコーチングの提供方法や前提条件はプログラム毎に異なります。詳細は、カタログをご参照ください。

予測 AI のエキスパートコーチングの例:

また、これから AI 関連のスキルを身につけたいとお考えのシステム管理者様が、今すぐに取り組めるおすすめの学習方法がございます。

システム管理者におすすめの学習方法

AI 関連の認定資格

Salesforce 認定 AI アソシエイトでは、AI  の基本と機能について学ぶことができます。資格を取得することで、責任を持って AI とデータを使用するための基本的なスキルを備えていることが証明され、AI のさらに高度な技術認定を取得することができるようになります。

これから AI 導入を検討されている組織のシステム管理者様は、この機会にぜひチャレンジしてみてください!

また、Salesforce 認定 Data Cloud コンサルタントという資格もあります。

AI 導入にあたっては AI が使用するデータがとても重要であるとお伝えしました。この資格を取得すると、ソリューションの設計、設定、作成など、お客様に直接対応する立場でエンタープライズデータプラットフォームの実装やコンサルティングの経験を持つコンサルタントであることを証明できます。

AI とデータは切っても切り離せませんSalesforce 認定 AI アソシエイトと合わせて資格取得を目指してみませんか?

資格取得に興味があって勉強したいという方だけでなく、「まとまった時間が取れないけれど少しでも学びたい・・・」というシステム管理者様もいらっしゃると思います。そんな皆様もご安心ください。Salesforce では AI 関連の Trailhead もご用意しています!

自己学習(Trailhead)

人工知能のしくみと人工知能を効果的かつ責任を持って使用する方法を学習できる人工知能入門(Trailhead)や Salesforce が提供している予測 AI について学べる Salesforce Einstein の基礎(Trailhead)もありますし、今回のテーマである「 AI 導入」に関連するものとして、営業部門に予測 AI を導入する際のSales Cloud Einstein のロールアウト戦略(Trailhead)やコールセンター部門向けのEinstein for Service のロールアウト戦略(Trailhead)もおすすめです。

その他、AI 関連のSalesforceのブログや各種ヘルプもございます。

ブログは随時追加されていますので、ぜひ[メルマガに登録]してみてください!

まとめ

  • AI 導入の成功の鍵を握るのはデータ
  • 人間中心の考え方を貫く
  • AI Coach や認定資格を取得して、近い将来の AI 導入プロジェクトに備える

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

今後のアップデートにご期待ください。

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