「Agentforce 活用企業のリアル。 成果への道のりを、本音で語り合う場」開催レポート
公開日 : 2026.08.31
※SFUGイベント開催レポートは、SFUGアンバサダーによる、ユーザー目線のリアルな開催レポートです
※本レポートは、SFUGアンバサダーがイベントに参加し、個人の見解をまとめたものです。製品の具体的な仕様や最新のリリース状況については、Salesforce 公式サイトの情報も併せてご確認ください。また、当日のセッションでの表現を尊重し、一部に旧名称を使用している場合がありますので、あらかじめご了承ください。
SFUGアンバサダーの高橋真知子です!
今日は8/6に開催されたSalesforce ユーザーグループイベントのレポートをご紹介します。

開催概要
■イベント名:Agentforce 活用企業のリアル。成果への道のりを、本音で語り合う場
■日時:2026年8月6日(木)15:00-17:30
■形式:現地会場開催
Agenda
1.登壇セッション
2.グループセッション

イベント全体の感想
様々なAIが普及している昨今、Agentforceを使ってビジネスインパクトを出せるのは、特定の業界・業態なのではないか?と思っていた矢先、今回のイベントでマルニ商事株式会社様、NTTドコモビジネス株式会社様のご登壇を拝聴し、その固定観念が覆りました!
2社様は「顧客に価値を届けるビジネスプロセスのどこに強みがあるのか?」という点に徹底的に向き合い、その強みをさらに強化するためにAgentを構築し、大きなビジネスインパクトを残すことに成功していらっしゃったのです。
Agentはヒトの作業を代替する存在という言葉から、時間を要する業務をAgentにあてがう—まるで弱みを補強するためにヒトの代わりにAgentに働いてもらうというイメージを連想しがちです。工数がかかっている箇所はどこか?ヒトがやらなくてもよい作業はどこか?という起点では、どうしても工数を削減できる余地に意識が集中しがちです。すでに効率化を追求して業務プロセスを組んでいればいるほど、そこからROIを算出して、Agentforceの効果を示すのは難しいのではないでしょうか?
一方で、ビジネスプロセスの強みをさらに強化するために、Agentforceがヒトと協業してできる箇所はどこか?という起点でユースケースを探すと、そこには無限の可能性が広がっているかもしれません。
- 営業時間外でも顧客の問い合わせを受けてくれるAgent
- どの商談から取り組むことで効率的に収益を生めるか優先順位を教えてくれるAgent
削減できるリソースに目を向けるのではなく、力を入れたい業務にAgentと一緒に取り組む ー こんな発想がAgentforceの効果を発揮させる近道になりそうです。
各セッションでの学び
第1部:登壇セッション(成功事例のご共有)

マルニ商事株式会社様
Agentの種類:Agentforce Service Agent
Agentの用途:自社WEBサイトに実装するナレッジ搭載型のチャットボット
- 導入前に解決したかった課題
- 顧客の問い合わせ対応の属人化を防ぎたい
- 属人化が招く社員の育成不足を解消したい
- どのようなAgent?
- 自社WEBサイトで顧客の問い合わせに対応するチャットボット(呼称:マルニちゃん)
- マルニちゃんは以下3つを兼ね備える研修中の“準社員”としてポジショニング
- 自社WEBサイトで顧客の問い合わせに対応するチャットボット(呼称:マルニちゃん)
- アバター(新人教育のお手本)
- 人間らしさ(キャラクター)
- 相棒(過去購入履歴、曖昧な要望にもこたえられる、そこに顧客の真のニーズあり)
- ここが素晴らしいポイント!
- 商材の特性上、もともと世界中でECサイトを通じてプロダクトを販売していたという実績あり
- チャットボットを実装する自社サイトへの流入経路がすでに確立されていた点に着目
- 営業時間外の対応が機会損失となっていた点に着目
- 自社ECサイトの商品FAQをアクションとして使用することで、商品検索の精度が向上
- 顧客の声をそのまま資産化すべく、Zoom Phone経由で音声から文字起こしのうえナレッジ化
- 具体的な工程は以下
- 商材の特性上、もともと世界中でECサイトを通じてプロダクトを販売していたという実績あり
- Zoom Phone経由でECI(Einstein Conversation Insights)を使用して文字起こし
- Prompt Builderで要約
- フローでケース起票
- Prompt Builderでナレッジ化
- GeminiやClaudeで公開
- Agentの精緻化にベテラン社員を貢献させた
- 導入後のモニタリングから得られた結果(導入後7カ月経過して得られた結果)
- 回答率は44%から48%に上昇
- 1次問い合わせはマルニちゃんが対応してくれるおかげで、有人対応はより難易度の高い問い合わせに集中することができていると実感
- チャットボットの導入により、営業時間内のコール数(問い合わせ)が減るはずと予想していたが実際には減らず、むしろ営業時間外で対応できなかった商機を掴むことができROI向上に貢献
<会場QA>
Q1:チャットボットを使用してもらうために、サイトへどうやって誘導した?
A:もともと自社ECサイトへの流入導線はあったため、あえて誘導する施策はしていない。むしろ、流入があったにも関わらず捨てていたいわゆるアバンダンコール(Abandoned Calls/コールセンター等でオペレータが対応できなかったコール)を拾って、商機につなげたいがためにチャットボットを実装した。
Q2:たったの7カ月でAgentのリリースまでこぎつけることができた要因は?
A:当初、社内の出張精算業務をサポートするAgentforce Employee Agentを構築するために、エキスパートコーチングを利用していた。そこで学んだことを今回のAgent構築に活かすことができた。テクニカル面はベンダー2〜3名にサポートを得ながら、自社の従業員2名体制で構築。
Q3:ナレッジの精査/検討は何名体制で実施している?
A:5名で週次ミーティングを実施し、Agentの回答履歴を確認している。5名の内訳は、担当者4名に加えて、カスタマーセンターで有人チャット対応をしている1名。

NTTドコモビジネス株式会社様
Agentの種類:Agentforce Employee Agent
Agentの用途:顧客企業の課題提示/ソリューションレコメンド、優先商談/推奨行動レコメンド
- 導入前に解決したかった課題
- 社内のライセンス保有者が多く(15,000ライセンス)、Salesforceへの入力の質がバラバラであるため、均一化したい
- 1人の営業職が商談にかける時間をより多くしたい
- 営業力の標準化を図りたい
- どのようなAgent?
- 顧客企業の課題提示/ソリューションレコメンドAgent
- 外形データ等を用いて企業の課題を分析し提示→ソリューションを提示→商談を自動で作成
- ディスカッションペーパーを1枚自動生成
- 出典(SalesforceやWeb検索など)や商材候補もあわせて提示
- 課題を選択すると、自動的に商談を作成してくれる
- 優先商談/推奨行動レコメンドAgent
- 受注予定日やフェーズから優先すべき商談を提示。マネジャーは、チームメンバーの優先商談を確認することが可能
- 推奨行動はToDoにしたり、ヒトが不要と判断すればスキップすることも可能
- 顧客企業の課題提示/ソリューションレコメンドAgent
- ここが素晴らしいポイント!
- レコメンドAgentは、すべてユーザのクリック作業のみで使用可能
- 最初から対話型AIを使用すると、AIを使いこなせる従業員とそうでない従業員の差が埋まらず、営業力の底上げが均一にならない。あえて、最初はクリックだけで全員がAgentから同じ品質の恩恵を受けられるようにした
- AI活用はロードマップありき
- クリック作業のみのAgentが普及した頃合いを見計らって、いよいよ対話型Agentに着手予定。ユーザ数が多いゆえに、段階的にAI活用レベルを上げることで効果を最大化
- レコメンドAgentは、すべてユーザのクリック作業のみで使用可能
- 導入後のモニタリングから得られた結果(2026年4月の導入以降得られた結果)
- 活動入力時間は30分から5分に短縮
- 活動件数は15%増加
<会場QA>
Q1:Agentが提示する元となる「業界や企業の課題」はどのようにリサーチしている?
A:外部サービスのデータと自社のSalesforceに入っているデータを使用している。
Q2:Agentが提示する情報だけで、営業職が商談で顧客と会話できるレベルまで引き上げることはハードルが高い印象を受ける。 どのようにして商談に使えるレベルにしている?
A:レコメンド機能とは別に実装しているAIロープレをやることで、実践力を養っている。また、AIロープレのPromptは主要商材で作成しているため、より実地で使えるレベルになっている。
Q3:(商談やToDoをレコメンドしても)商談結果を入力するのは面倒という現場の声は依然としてある。Prompt等を改善しても使用率が低いままの場合も。どのようにして、使用してもらえる状態をつくっている?
A:使用していないユーザを毎月公表している。また、各組織に“インフルエンサー”と称して、積極的に使用してもらうメンバーを選出。インフルエンサー定例会を毎月実施し、使用状況や取り組みについて発表する場を設けて活性化を図っている。組織長からトップダウンで推進する体制を整えることも大事。
第2部:グループセッション

参加企業16社が5グループに分かれ、構築中またはリリース済みのAgentについて「うまくいかないこと」「悩んでいること」などについて、アンバサダーを交えてディスカッションを行いました。その中でも、以下の点はひときわ参加者様が深く頷いていらっしゃるようすでした。
①“Agentforce(Salesforceの中のAI)” と“Salesforceの外のAI”との棲み分け
- 様々なAIが普及するなかでAgentforceを導入することのメリット、運用コスト、ひいてはROIへの貢献度を検討した結果、適切なユースケースを選定する必要あり
- ビジネスインパクトをあげることを考慮すると、ナレッジ化できる資産がどれだけ豊富であるか?がキーとなり、Salesforceの中にデータがどれだけ蓄積されているか?が焦点となる
- Salesforceの中のデータを使用する場合、入力率の低さは依然として課題
- すでにあるデータを使用する場合でも、Agentが使える状態にスクリーニングする必要あり(AIを使用したスクリーニングも推奨)
- Salesforce Voiceをはじめとした音声入力のテクノロジーの進化にも要注目
②GoLiveまでに要する時間のバラつき
- 数か月でリリースしている場合もあれば、1年以上じっくり検証をしている場合も
- ポイントは、小さくリリースして、現場からのフィードバックを得ながら改善を重ねること
- ただし、ちょっとした改善が思わぬクレジットの消費を招くこともあり。どのような作業でどの程度のクレジットを消費するか感覚を掴むことも重要
- GoLiveの判断基準はこちらがおすすめ
→ アーカイブ動画:ユーザーグループイベント「Agentforce、その先へ。自律型AIを正解へ導くコンテキスト設計とデータ整備」
③組織改革の必要性
- ヒトが複数の部署とコミュニケーションをとりながら業務を行うように、Agentを構築する場合も関係各所との調整が必要な場合あり
- 組織のトップダウンを機能させ、ときには“強制力”を以て推進していくマネジメント力を活用
- Agentリリース後は、Agentとともに働く“現場の意見”を定期的に収集
- 時間が許せば一人ひとりにヒアリングをかけることがベストだが、たとえばSlackのGood/Badボタンだけで簡単にフィードバックをもらうなど、ヒアリングを効率化しながらも現場の負荷を下げる工夫も検討
まとめ
登壇いただいた2社様はビジネスプロセスの強みをさらに強化することにAgentを使用していたことに加え、Agentを構築してからリリースするまでの期間が短いことが特徴的でした。そのキーとなるのが、マルニ商事株式会社様の「Agentを育てるモニタリング体制」とNTTドコモビジネス株式会社様の「Agentの浸透度合いを見定めるロードマップ」に表れていたように思います。
AIの使い方に正解がない中で、Agentforceの効果を最大に引き出すために、どの程度のリソースを「構築と実装」のトライ&エラーに費やすか?それらがAgentを育て上げるヒトの意思決定にかかっていることを実感しながら、今後のAI時代の業務も面白くなる一方であると思えたイベントでした。
公開日 : 2026.08.31
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