Marketing Cloud Engagement ポケットガイド - 初めてのメール編
公開日: 2025.06.30

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目次
当ガイドで得られること:
- Marketing Cloud Engagement 導入における "迷子" や戦略なき "迷走" により貴重な時間を失うリスクを回避
- 事前準備から初期実装までのポイントを効率的にチェック
- 早期に価値 (導入効果) を得るための最初の一歩が踏み出せる

※メール配信の前提となる、ビジネスユニットやSAPの設定が未完了の場合は ポケットガイド (1) - セットアップ編 を参照

⛰ STEP 0 : メール配信の流れを体感する[Optional]
Marketing Cloudでどのような流れでメールを送るかを理解するには、実際に一度試してみることが近道。下記を参考に自分宛のお試しメールを送ってみると、今後コンテンツや配信設定を作り込む際に理解の手助けとなる。
※Marketing Cloudの環境がまだ整っていなくとも、記事内で紹介されているシミュレーターで擬似的に体感可能
- クイックスタート: Marketing Cloud を使用したメールの作成と送信
- 再利用可能なメールテンプレートの作成
- Welcome メールの作成
- メールのプレビュー、テスト、送信

⛰ STEP 1 : メールコンテンツを準備する
メールメッセージ作成におけるポイントを把握する
- 顧客の期待に応えるコンテンツを送るためには顧客理解が重要
- 消費者は 1 日に平均 88 通のメールを受信していると言われる。質の低いコンテンツは、読まれないどころか顧客に対してマイナスの顧客体験を提供してしまうことにもなりかねない。
📌参照:コンテンツの価値の理解 - 顧客との価値ある関係を築き、ロイヤリティを促進し、投資収益率を高めるためには、適切なデザインとコンテンツのメールをタイミングよく顧客に届けることが重要。そのためには送信対象を理解し、その顧客にフィットするメールを作成する。1つの方法としてペルソナを作成し顧客のことを理解する方法がある。
📌参照:効果的なメールコンテンツの作成、優れたコンテンツの作成
- 消費者は 1 日に平均 88 通のメールを受信していると言われる。質の低いコンテンツは、読まれないどころか顧客に対してマイナスの顧客体験を提供してしまうことにもなりかねない。
- 効果的なマーケティングメールを作成するためのガイド
- 効果的なマーケティングメールの作成
- 件名行のベストプラクティス
- パンチの効いたプリヘッダー
- パーソナライズの効果
- 個人に語りかける動的コンテンツ
- 行動喚起
- 法令遵守ガイドラインの徹底
- メールヘッダー上で送信者を明確にする
- 件名はコンテンツを的確に表したものとする
- 送るメッセージが広告宣伝である場合、そのことを明らかにする。また購読取り消しの方法を明示する
- 送信分類を理解する
- [Optional] CAN-SPAMチェック機能の無効化について
- Marketing Cloudのシステムは米国CAN-SPAM法に準拠している。しかし関連するメールのチェック機能が運用上不要な場合、CAN SPAM チェック機能の無効化を行うことが可能 → ナレッジ
- 但し送信者の所在地や送信先の相手によって、日本の関連法令はもちろんCAN-SPAMやGDPRなどさまざまな規制の対象となる。Marketing Cloud には法令順守に役立つ機能が用意されているが、正しい方法で運用しているかどうかは貴社内で法務チームの見解も交えつつ定期的に確認が必要
- 効果的なマーケティングメールの作成
- メールデザインの原則
- 誰もが読めるよう配慮する
- 明確に伝える
- モバイルユーザーが快適に読めるようにする
- ブランドに忠実な体験を設計する
すべての購読者とデータエクステンションの関係性を理解する
Marketing Cloudからメールを送信する際に必須となる、「すべての購読者」と「データエクステンション」の関係性について理解しておく
- 「データと連絡先の管理」を学ぶエキスパートコーチング動画 ※プレミア契約が必要です
- カバーされている内容
- すべての購読者
- 送信用データエクステンション
- すべての購読者とパブリケーションリスト
- Salesforceとのデータ連携時の購読情報のつながり
- カバーされている内容
- 運用上知っておくべきポイント
- リストは使わない
- Marketing Cloudでは送信先(ステータス・属性・宛先リスト)の管理に「リスト」という機能も存在するが、現在は「データエクステンション」を利用するのが一般的
参考:Email Studio リストと Email Studio データエクステンションの比較
- Marketing Cloudでは送信先(ステータス・属性・宛先リスト)の管理に「リスト」という機能も存在するが、現在は「データエクステンション」を利用するのが一般的
- 送信用データエクステンションの中に「お名前」や「会員ランク」といったパーソナライズ項目とデータを入れておくと、メールに差し込む事が簡単になり便利
- 📌送信用データエクステンションにメールアドレスを含める場合の注意
- 送信用データエクステンションにメールアドレスが含まれていても、その購読者キーに対応する「すべての購読者」が存在する場合は、すべての購読者側のアドレスが優先して使われる(デフォルトの動作)
- 送信用データエクステンションにメールアドレスが含まれており、かつその購読者キーに対応するデータが「すべての購読者」に存在しない場合でも、下記の場合は送信用データエクステンションのアドレスが正しく使われない
- 一つのデータエクステンション内にメール型のフィールドが2つ以上作成してある
- メールアドレスを保持するフィールドが「メール型」でなく「テキスト型」となっている
- 上記2点はEmail StudioやAutomation Studioを使う場合の挙動であるが、トラブルになりやすい点なので特に注意が必要。Journey Builderを使う場合、利用するメールアドレスを明示的に選択する手順が入るので問題になりづらい
- リストは使わない
メッセージをContent Builderで作成する
- Content Builderの特徴
- 使いやすいインターフェイスで時間を節約
- HTML の知識なしでプロフェッショナルなメールを作成
- 常時表示されているプレビューでリアルタイムにメールコンテンツの変更を確認
- 色コードや行番号など、便利な HTML 貼り付けツールを内包
- 「友人に転送」や「開封トラッキング」などの一般的なリンクのコードスニペットが挿入できる
- 標準で用意されるメールテンプレートを使うと、レスポンシブに対応したメールを素早く作成することが出来る
- 上記メリットのためには、Content Builderの機能を理解して活用することが必要
- コンテンツ管理ツールとしてのContent Builderの理解:Content Builder の基本
- コンテンツ作成ツールとしてのContent Builderの理解:Content Builder の機能
- パーソナライズされたメールの作成
- ダイナミックコンテンツを使用すれば、作成するメールは 1 つだけで、オーディエンスに対してパーソナライズされたメールを配信することができる:効果的なメールコンテンツの作成
- 🌵Note: メールのテキストパートについて意識する
- テンプレートやhtml形式でコンテンツを作成した場合、htmlパートだけでなく自動でテキストパートも作成される
- テキストが自動作成されるので、整形することで素早くマルチパートメールを作成可能
- 実際にテキストパートを表示するクライアントは存在するため、HTMLだけでなく自動生成されたテキストパートも内容を確認する事が望ましい。メールコンテンツ作成時にテキストパートをチェック・編集する運用を組み込む事を推奨。参考:Content Builder メールの作成
- テンプレートやhtml形式でコンテンツを作成した場合、htmlパートだけでなく自動でテキストパートも作成される
コンテンツを高度に作成・管理する
- A/B テスト
- マーケターのための AMPscript
- 複雑なAMPscriptに注意
- AMPscriptで複雑な記述をした際、AMPscript内のコメントが不足していたり担当者が多い場合(もしくは担当者が退職した場合)に引き継ぎが難しいという事がある。ダイナミックコンテンツで実現できるところはそちらを使うなど、標準で使える機能で代替したりシンプル化出来ないかを考える。
- アラートマネージャーの設定を確認
- AMPscriptでの予期せぬエラーの発生に備え、アラートマネージャーを設定しておくことを推奨(ポケットガイド パッキング編の当該箇所を参照 )
- なおアラートマネージャーの通知は10人連続で失敗した場合に発生するため、アラートマネージャー自体のテストをする際など特性を事前に理解しておく必要性がある:トリガーによる送信の購読者エラーの制限の緩和
- 複雑なAMPscriptに注意
- 簡易アンケート
- シンプルなアンケートであれば CloudPagesのスマートキャプチャや、Interactive Emailを使って回答を集める事が可能(どちらもSuperMessagesを消費)
- Interactive Emailは受信トレイから回答出来るため反応率を上げるのに有効。但し表示出来るクライアントが限られる事と、表示可能な場合でもクライアントにより表現が異なるといった制約を理解した上で利用することが求められる。必ずインタラクティブメールフォームの表示に関する FAQ を読んだ上で、複数のクライアントでテストしてから本番運用することを推奨
- 分岐や認証といった複雑な処理が必要な場合は、無理にCloudPagesを使わず他のソリューションを利用する方が運用やメンテナンス面で無難と言える
- Content Builder の承認
🌵Note: 他システムからメールを移行する場合のポイント
- MCの機能にフィットさせ業務効率アップ
- 他システムで作成していたメールを持ってくる場合、そのままMCにHTMLで貼り付けてしまう事がある。しかしその場合Content Builderの特徴をフル活用できない。テンプレートやコンテンツブロックといったContent Builderの機能に沿って中身を反映させる事で、今後のコンテンツ編集効率と再利用性が高まる
参照:コンテンツブロックの作成
- 他システムで作成していたメールを持ってくる場合、そのままMCにHTMLで貼り付けてしまう事がある。しかしその場合Content Builderの特徴をフル活用できない。テンプレートやコンテンツブロックといったContent Builderの機能に沿って中身を反映させる事で、今後のコンテンツ編集効率と再利用性が高まる
- トラッキングリンクの確認
- メール内にMCのトラッキングリンクが入っているか確認する
- 文字コードの確認
- UTF-8にする事で国際化対応を行い今後のトラブルを減らす事が出来る

⛰ STEP 2 : 内容をプレビューしテスト送信する
プレビューとテスト送信の実施
メールを送信する前に画面でチェックしたりテスト受信することで、コンテンツが意図したとおりに表示されることを確認する
- テスト用データの準備
- メールのプレビューやテスト配信のためのレコード(データエクステンション)を準備する
- テスト送信に使う受信者の購読者キーは、本番用と分けて用意する
- STEP1の「📌送信用データエクステンションにメールアドレスを含める場合の注意 」に記載の通り、Email StudioやAutomation Studioでは「購読者キーに関連付くメールアドレス」が送信に利用される
- 購読者キーが本番とテストで重複すると、テスト用の送信で誤配信したり、テスト用アドレスが本番用購読者に紐付いたり、テスト後に送信先を削除したら本番の購読者が削除されるなどの思わぬトラブルの原因になる。そのためテスト送信用と本番用で購読者キーを分ける事が重要
- パーソナライズする項目については、事前にテストしたいパターンを考えデータを作成しておく
- たとえば会員ランクで分岐する場合は会員ランクA,B,Cそれぞれのデータを作る。名前を差し込む場合は、短い名前や長い名前も入れておき、メールが崩れないかを確認する
- メールの受信者は様々な環境でメールを見るため、その配慮が必要
- テスト配信したメールを、主要なメールクライアント(GmailやAppleMailなど)や主要デバイス(PC・Android・iPhone)でそれぞれチェックすることが望ましい
- 毎回は難しくとも、初めて送るメールや大幅に本文のレイアウトを変えた場合などはチェックしたい
- メールのテストと送信手順について理解し実行する
チェックリストを整備しておく
メールコンテンツを確認する観点をチェックリストにしておき、運用に組み込むことで漏れがなくなる
- 観点の例
- 敬称の抜け漏れが無いか
- 誤字脱字が無いか
- 件名は適切か
- 日時や金額等の数値は合っているか(特に差込文字に注意)
- リンク先は全て確認済みか
- 会員ランク別など、出し分けする場合に各パターンの表示をチェックしているか
- 会社の署名が正しく挿入されており内容が最新か
- トラッキングコードの設定は適切か
- モバイルでも崩れが無いか
- テキストパートをチェックしたか
……など。誰が確認するのか、記録は残すのかなど含め、自社の運用やコンテンツに合わせて整備する
🌵Note: テスト用データを過信せず本番データを使ってプレビューすると気づく事もある
パーソナライズされたコンテンツを確認するため、テストデータを精緻にすることは重要。しかしそれに加え本番データ、つまり実際配信されるデータを対象にコンテンツを確認すると、思わぬデータが混ざっていたりして改善点に気づく事がある
🌵Note: 仮コンテンツに注意
仮のコンテンツ(テストメールや下書きなど)は、誤って本番配信してしまうと事故に繋がるため以下の点に留意する
- テスト用や仮のコンテンツは件名及びメールの名称で“一目で”分かるようにする
- 件名とメール名に Test 等目立つよう記載
- Marketing Cloudでは 件名とプリヘッダーの検証機能 が存在し、誤配信の可能性を軽減してくれる。但し対象の単語として日本語は設定できないため、“テスト”や“仮”ではなく“Test"や"Draft" を入れる等の工夫が求められる。カッコを伴う場合も【Test】ではなく【 Test 】のように Test の前後に半角スペースを入れておくことで認識される
- なおこの機能はEmail StudioやAutomation Studioが対象で、Journey Builderには適用されないため過信は禁物
- 仮のコンテンツは、役割が終わり次第すみやかに削除したり正式なコンテンツへと編集するなどして、誤用の起きない状態にしておく事が重要

⛰ STEP 3 : 購読者管理について正しく理解する
購読ステータスの管理(オプトイン/アウト)を理解する
- Marketing Cloudの購読取り消しのレベルは3種類存在する
- グローバル / プライマリ(アカウント) / リスト:参考リンク
- さらにプライマリ(アカウント)レベルの購読取り消しには、エンタープライズ全体での購読取り消しと、ビジネスユニットごとの購読取り消しがある
- トップの親 BU (= EID) の購読取り消しは必ずエンタープライズ全体での購読取り消しとなり、ビジネスニット単位の購読取り消しはできない
- よって、複数ブランドを持つお客様のベストプラクティスとしては、親 BU は全体を管理するための専用の BU という運用として (親BUから本番のメール配信はしない)、子 BU では個別ブランド専用の BU としてビジネスユニットごとの購読管理にすることを推奨
- 購読取り消しの方法
- メールの “購読取り消し“ には複数の方法がある
- 配信解除用のアドレス “List-Unsubscribe” (iOS メールや Gmail 経由)
- ISP (Internet Service Provider) からのフィードバックループ
- 購読取り消しリンク (ワンクリック購読取り消し)
- プロファイルセンターと購読センター
- 返信メール (キーワードによる購読取り消しが有効な場合)
- MC UI 上からの手動でのステータス変更
- CloudPages での管理(作り込みが必要)
- メールの “購読取り消し“ には複数の方法がある
- 購読取り消しを無視して配信し続けると ESP (Email Service Provider) は該当 IP をブロックリストに追加するので注意
バウンスについて理解し設定を確認する
- バウンスと購読者のステータスについて Email Studio でのバウンスメール管理
- バウンス理由一覧:Marketing Cloud のメール送信の不達理由と説明
- ブロックバウンスの要因と対応:ブロックバウンス発生時の対処法について
- バウンスに関して知っておきたいポイント
- リトライ時間の変更が済んでいるか確認する
- 上記リンク先「Email Studio でのバウンスメール管理」に記載のとおり、ソフトバウンスはデフォルトで15分ごと72時間同じメールの再送信を行う。そのためメールの送信開始時間帯によっては、深夜時間帯に購読者がメールを受信する可能性がある
- それを防ぐため、日本向けのメール配信では72時間ではなく4〜6時間への変更を推奨している
- ポケットガイド パッキング編でも触れているが(参照)、もし設定変更がまだの場合はリトライ時間の変更を行う:Marketing Cloud - Deliverability 推奨設定: リトライ継続時間の変更
- 送信先ドメインが docomo でユーザが見つからない場合
- docomoアドレス(@docomo.ne.jp)向けメールで、明らかにメールアドレスが合っているにも関わらずUserUnknownとなった場合は「購読者(携帯を持っている方)の設定による受信拒否」に合致している可能性がある→メールアドレスが存在するのにハードバウンスとして扱われてしまう
- 「バウンス」や「配信不能」の購読者に、むやみにメールを送り続けてはいけない
- 存在しないメールアドレスやスパム判定されたメールを送り続けると、最終的に ISP 側から「迷惑メール配信している」と判断されてブラックリスト入りすることになってしまう
- そのため、購読者ステータスがバウンスや配信不能となっている人に対して、何の判断もせずにステータスをアクティブに上書きして送り続けるような事は避けるべき。結果として全てのメールの配信到達性を下げる事につながってしまう
- 参考:運用開始後はバウンスを必ずモニタリングする
- バウンスを放置すると、ISPからの評価が下がり、本来届くべき人にも届きづらくなる可能性がある(⛰ STEP 4 : 大量配信の準備をする)
- MCのレポート機能を使い、初回配信はもちろん、定期的にバウンスの率やバウンス理由を確認することは、配信到達率を維持向上させるために重要。定期的な確認を運用として組み込む事を推奨
- バウンスを確認する様々な方法
- 概況を分かりやすく把握:Intelligence Reports for Engagement
- ドメイン別のバウンス状況などを見やすく簡単に表示できる。ただデータが反映されるまでのタイムラグが最大1日強あるため、すぐに結果を確認したいときには不向き
- 送信ジョブ単位でバウンス状況を確認:Email Studioのマイトラッキング (リンク先の「バウンストラッキング」を参照)
- 送信ジョブ単位でドメイン別のバウンス状況を確認:すべてのドメインのメールパフォーマンスレポート または ドメイン別メールパフォーマンスレポート
- 発生したバウンスを一覧出力:Bounceデータビュー
- 購読者別にバウンス状態を確認:Email Studio の すべての購読者 または ステータス別の購読者エクスポート
- 概況を分かりやすく把握:Intelligence Reports for Engagement
- リトライ時間の変更が済んでいるか確認する
🌵Note: チャネルのつながりを維持するために
- メールがハードバウンスした場合、今後のメール通知は一切行えない事を意味する。この状況はコンタクトセンターでの電話対応や郵送といったコストを結果的に増大させる
- このような将来起こりうるコストの増加を事前に予防するため、メールが不通に至った顧客に対しSMS(ショートメッセージ)やモバイルPush通知でお知らせするといった方法を取られる企業もある。この通知により顧客自身でメールアドレスを変更するように誘導し、メールチャネルが途絶えることを防いでいる。

⛰ STEP 4 : 大量配信の準備をする
メールマーケティングの鍵を握る配信到達性。メールが購読者に届かないのであれば意味がないため、配信到達性を高めるために必要な準備を行う。
送信者レピュテーション(評価)について理解する
- ISP / モバイルキャリアが様々な指標で送信者(IPアドレス / From ドメイン)を評価している事を送信者レピュテーションと呼ぶ
- サービス性能を阻害するような配信をおこなっていないか
- 各社の定める配信ガイドラインを適切に守っているか
- 受信者とのエンゲージメントは保たれているか(≒メールが読まれているか)
- 第三者機関の評価/有志によるフィードバックデータ
- 多くの ISP では、送信者レピュテーション (評価) を高めることで時間あたりに送信できる量が増加し、迷惑メール (Spam) フォルダへ分類されづらくなる
- 参考外部リンク:レピュテーションスコアの確認について https://baremail.jp/blog/2021/01/20/995/
送信者のレピュテーションを上げるため、購読者を整理したうえでIPアドレスのスコアを上げるチューニング(IPウォームアップ)を行っていく。
購読者を整理する
エラー率の高い配信はレピュテーションに悪い影響を与える。そのためエラー率を下げるための事前準備を行う。
- リストのクレンジング
- 他システムから送信対象者をそのままインポートすると、バウンスが大量発生してしまいレピュテーションが下がるという事が起こりがち。必ず事前に送信対象アドレス(リスト)を整理(クレンジング)しておく
- 下記のような購読者は連絡禁止リストを使用して配信対象から削除するか、コンタクト(連絡先)自体を削除したりMarketing Cloudに取り込まないようにする。
- 過去にバウンスしたアドレス
- 古いアドレスや無効なアドレス
- メールを何か月も開いていない購読者
- 旧メール配信システムからの十分な事前告知を実施
- From アドレスが変更となる場合は受信者によるドメイン指定受信設定の影響をうける
- ドメイン指定受信により拒否されたメールは「宛先不明(ハードバウンス)」として扱われるため、到達率に大きな影響を与える
- 旧メール配信システムからの十分な事前告知を実施する
- メッセージ例:
- 今後 “no-reply@xxx.com” からのメール配信を予定しています。
- ドメイン指定受信されている場合は “XXX.com” の登録をお願いします。
- メッセージ例:
- 🌵Note: バウンス率が 20% を超える場合には配信到達性および ISP の評価が著しく損なわれると言われており(リンク)、購読者の整理を事前に行う事は、本来受信できる人にメールを届けるにあたりとても重要
参考:自動実行されるList Detective
- List Detective とは、メールの到達性を阻害する原因となる可能性のあるメールアドレスとドメインの情報を管理し、送信から除外するMarketing Cloudの機能のこと
- 対象として、スパムトラップ (ドメインによってスパム送信者を識別するために使用される非アクティブなアドレス) であることが知られているメールアドレスや、メールサービスを提供しなくなったドメインなどが含まれる
- List Detective は自動的に実行されるため、アクション不要。この機能はすべてのクライアントの配信到達性の維持に役立つ
IPウォームアップを計画し実施する
Marketing Cloudから配信するメールが「迷惑メール」と判断されないよう、利用するIPアドレスの評判(スコア)を上げるための作業が IPウォームアップ。
1日に1つのドメインあたり2万通(Gmail宛であれば5000通)を超える場合は確実に実施したい。
- Email Studio の IP アドレスのウォーミング
- IP アドレスのウォーミングを行う
- エンゲージメントの高い配信を続けることで、高いレピュテーションをより早く獲得することができる
- エンゲージメントの高い配信とは顧客(受信者)から望まれるメールを配信すること。すなわち
- 開封率が高い
- クリック率が高い
- 迷惑メール報告率が低い(0.2%未満)
- IPウォームアップを含む初期配信は、過去に(できれば最近)開封・クリックされた比較的エンゲージメントが高い受信者を対象とすることを推奨
- 長期間もしくは複数回の配信で開封・クリックのいずれもされない顧客は、初期のIPウォームアップに限らず定期的に配信対象から除外する事でレピュテーションを維持することができる
- エンゲージメントの高い配信とは顧客(受信者)から望まれるメールを配信すること。すなわち
- IPウォームアップ対象外のドメインが存在することに留意する
- 日本のモバイルキャリア(docomo/au/softbankなど)や一部 ISP は IP ウォームアップの有無を確認していない。それらのドメインに大量に送る場合、IPウォームアップをしても効果がないため、IP/分/時間あたりでメッセージ数に抑制を設ける必要性がある
- ポケットガイド パッキング編でも触れているとおり(参照)、特定ドメインに対するスロットリング (MID 単位)を実施することが必要
- 実施期間中のモニタリング計画を立てる
- IPウォームアップの期間中、予想外に大量のバウンスが発生していないかをチェックする
- バウンスを確認する様々な方法を参考に、ドメイン毎のバウンス状況やバウンス理由を定期的に確認。必要であればデータの再クレンジングや配信計画の見直しを行う
- 事前に誰がいつどのようにモニタリングするのかを明確化しておく
🌵Note: メール送信実施の前提条件を最終確認する
- 送信対象者のリストはきれいになっているか
- コンテンツの準備
- ウォームアップ計画の確認
- 配信期間
- 対象ドメイン(セグメンテーション)
- 各種設定の再確認
- SAPドメイン・プライベートドメイン設定の確認
- SSL設定の確認
- SPFレコード(DKIM/DMARC)の登録が終わっているか
- RMM設定の確認
- ドメインスロットリングの確認
- リトライ時間の変更
- トラッキング設定の確認

⛰ STEP 5 : シナリオ/自動化を設定する
Journey Builderについて理解する
Marketing Cloudでスケジュール配信やシナリオ配信を行うための Journey Builderについて知る
- Journey Builderの基本
- アクセス権の設定
- 使用開始(画面の説明)
- 1通のメッセージの送信
- 高度なカスタマージャーニー
- ジャーニーの目標の決定
- 効率的なオプトインキャンペーンとウェルカムキャンペーンの構築
- 魅力的なエンゲージメントキャンペーンの作成
- アンケートジャーニーを使用した顧客のフィードバックの収集
- Transactional 送信ジャーニー
- 顧客が特定のアクションを行った時点で単一のメッセージをトリガーする事ができる。購入確認やログイン通知といった、コマーシャルメールでは無い連絡通知のようなメッセージに適する
- EmailStudioのトリガー送信機能よりもパフォーマンスが良くUIも見やすい
参考:その他のメール配信方法
- 原則として高機能なJourney Builderでの送信を推奨するが、メールの配信は下記のような方法もある
- Automation Studio……大量のメールを送る場合(200万通以上/時間)や、データ取込処理に続いてすぐメールを送るといった、バッチ処理で配信する場合の選択肢
- Email Studio……メールを単発で送りたい場合の選択肢
- トリガー送信……MC外で起きる何らかのイベントをきっかけにメールを送る仕組み。外部システムからAPIで呼び出す
顧客体験の設計を再確認する
- メール配信のスケジュールやシナリオを設定する前に、顧客体験に常に立ち返る
- よくある例として、各部門がバラバラにメール配信の依頼や設定を行い、結果として1人の顧客に1日に大量に送られたり、逆に一部の顧客にはメールが来ないという事がある
- 各顧客に送られるメールの頻度やタイミングを整理したうえで、個別の配信スケジュールやシナリオに落とし込む
- データが溜まってきた後は、Einstein Send Time Optimization(送信時間最適化) や Einstein Engagement Frequency(送信頻度最適化) も活用可能
- 徐々に高度化させていく
- 新システムだからと言っても無理をせず、顧客体験を徐々に高度化させていく。まずはMarketing Cloudでの配信を軌道に乗せ、自社の成熟度に応じてシナリオを改善したり進化させることで着実に進めていく

シナリオ(個別のジャーニー)設計と運用のベストプラクティス
- Journey Builder でジャーニーを作成する前に、ジャーニーの目的・データとコンテンツを整理する
- ジャーニー1つにつき、1 つのマーケティング目標 (新規購入者の歓迎やサインアップについての感謝など) に焦点を当てる。Journey Builderの機能で目標を設定することが可能
- 小さく始め、成功を積み重ねていく
- 例えば1 つのトリガーで始まるメッセージから始めて短いシリーズへと拡張する。複雑にする前に、簡単なジャーニーでテストし、ベースラインの指標を収集する。そうすることで、複雑なシナリオにした方が良いのか、そもそもシンプルな方が良かったのかも比較することができる
- シナリオのゴール(コンバージョン定義)が決まっている場合は終了条件を設定することで、シンプルなジャーニーすることが可能
- 終了条件を設定してないと、複数ステップジャーニーにおいて、アクションの都度ゴールが達成されたかを確認するための条件分岐を設定しなければならない
- ジャーニー内でフィルタを行う場合(例:エントリソースフィルター、待機アクティビティ、判断分岐)、1 対多や多対多のリレーションシップでリンクされた先のデータエクステンション(“多”の側)を条件に使うのは避ける
- フィルタの対象となる値が同時に複数存在すると、予期せぬ結果となる可能性があるため
良好なパフォーマンスで配信するための指針を理解する
- 次のガイドラインに従うことで、1 テナントあたり最大 200 万メール送信/時間まで対応可能:Journey Builder パフォーマンスの最適化
- 事前のデータ整備に注力
- 可能な限りフィルターを必要としないようAutomationStudioなどのETLでおおまかなセグメントをしておく
- 判断分岐で必要とする全ての情報項目をエントリー用データエクステンションに含めておく
- 同じデータエクステンションを複数のジャーニーでエントリーしない
- パフォーマンスを上げるには事前フィルター済みの送信可能なデータエクステンションのコピーをジャーニーごとに作成しておく
- 複数ジャーニーの同時実行を避けるため、開始時間をずらしてスケジュール設定
- 1ジャーニー内のアクティビティの数は 150 ~ 200 程度までにして、読み込み時間が長くなることを回避
- メッセージ内で複雑なAMPScriptの多用を避ける
- 事前のデータ整備に注力
- 連絡先データとジャーニーデータの違い
- 常に最新情報を扱える「連絡先データ」と、高速な「ジャーニーデータ」の2種類がある

- 各ジャーニーの処理速度の見積もりについて
- 事前にどのくらいのパフォーマンスが出るかを計算することは難しい
- ジャーニーのパフォーマンスに影響する要素は多岐にわたり、例えば次のような要素があるため:ジャーニー上に配置されているアクティビティの種類、数、同時にアクティビティを実行することになる分岐の数、コンテンツの内容、コンタクトなどのデータモデル、判断分岐に適用されたフィルタ等
- ジャーニー単位での処理速度(スループット)を正確に見積もる最善の方法は、貴社または弊社サービスチームによるテストの実行
- 事前にどのくらいのパフォーマンスが出るかを計算することは難しい
チェックリストで最終確認する
Journeyをアクティブ化する前に最終確認を行う。
確認ポイントをチェックリスト化しておくことで、意図せぬ設定や配信を防ぐことが出来る。
- ジャーニーのチェック観点の例
- 対象者(エントリーソース)の設定は正しいか
- 選択したデータエクステンションの名前
- 連絡先のフィルター設定
- データエクステンションの中身は最新の状態に更新されているか
- 想定される対象件数
- スケジュール設定は正しいか
- 各種アクティビティの確認
- メール、待機期間、分岐などの配置と設定は正しいか
- 各メールアクティビティの設定は正しいか
- メッセージ構成の確認:送信分類・送信者プロファイル・配信者プロファイル(これらは差出人や返信にも関わるので重要)・件名・プリヘッダー
- 配信オプションの確認:パブリケーションリスト・連絡禁止リスト・トラッキング・キャンペーン
- ジャーニー設定は正しいか
- ジャーニー名が適切に設定されているか
- ジャーニー設定:連絡先のエントリ(再エントリーモード)の確認
- ジャーニー設定:デフォルトのメールアドレスの確認
- 目標・終了条件は正しいか
- 送信後の確認はどのタイミングで行うのか
- 対象者(エントリーソース)の設定は正しいか
……など。誰が確認するのか、記録は残すのかなど含め、自社の運用やコンテンツに合わせて整備する
配信スタート
確認が出来た後、Jouneryをアクティブ化することで実際の配信が行われる状態になる。
--- お疲れ様でした ---

⛰参考情報
- Marketing Cloud Engagement ポケットガイド (1) - セットアップ編
- Marketing Cloud Engagement Tips!
- Marketing Cloud 用語集
- Marketing Cloud Recommendation Map (英語)
- Trailhead Modules - Marketing Cloud
- Marketing Cloud 実装ガイド
- イベントカレンダー

「次のMC ポケットガイド」へと続く...


公開日: 2025.06.30
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