Data Cloud の概要
公開日: 2025.07.29
この記事では、Data Cloud とは何か、その必要性、Salesforce 製品群における位置づけ、および主要な2つの活用方法(統合プロファイルとRAG活用)についてわかりやすく解説します。この記事では、まずData Cloudの全体像を掴んでいただき、実現したい活用方法に沿って後続の記事を読み進めてください。
Data Cloud とは何か?
Data Cloud は、社内外に散在するあらゆるデータをリアルタイムに集約・整理し、Salesforce 上で活用するための統合データ基盤です。その目的は、顧客に関する信頼できる唯一の参照元(シングルソースオブトゥルース)を確立し、営業、サービス、マーケティングといった全部門が、一貫性のある最新データに基づいて顧客対応にあたる「Customer 360」を実現することにあります。
この仕組みは、Data Cloud が Salesforce 製品群のデータ基盤として機能することで実現されます。Sales Cloud や Service Cloud などの各アプリケーションが、Data Cloud という共通のデータハブから常に最新のデータ供給を受けるイメージです。
Salesforce プラットフォームとのネイティブな統合: EC サイトや基幹システム(ERP)のデータを、Salesforce の「取引先」や「商談」項目に直接マッピングし、まるで元から Salesforce にあるデータのように扱えます。これは、あらかじめ用意されたコネクタやローコードツールで実現できるため、IT部門の負担を大幅に軽減します。
外部データウェアハウスとのゼロコピー連携: Snowflake や Databricks、Google BigQuery などにあるデータを複製せずに直接参照できるため、既存のデータ投資を無駄にしません。
統合されたデータを活用した「アクション」: Data Cloud は単なるデータの倉庫ではありません。集約したデータをAI(Einstein)で分析してインサイトを導き出したり、自動化ツール(Flow)のトリガーとして活用したり、Marketing Cloud でより精緻な顧客セグメントを作成したりと、具体的な施策に直結させることができます。
このように、Data Cloud は Salesforce 内外のデータをシームレスに繋ぐデータの基盤として、エコシステム全体でのデータ活用を促進し、より高度な顧客体験の創出を可能にします。

主な活用方法①: 統合プロファイル( Customer 360 ビュー)の構築と活用
統合プロファイルとは、顧客ごとに散在するデータを一つに統合し、360度の顧客像を把握できる単一のプロファイルです。Data Cloud は、Salesforce 内のデータはもちろん、外部データウェアハウス、EC サイト、POS システムなど社内外の多様なデータソースから情報を取り込み、ID 照合やデータクレンジングを経て、一人ひとりの顧客に情報を紐付けます。
この統合プロファイルを全社で共有することで、各部門で一貫した質の高い顧客対応が可能になります。
- マーケティング部門では、顧客の行動履歴に基づき、最適なタイミングでパーソナライズされたアプローチができます。
- 営業担当者は、顧客の興味関心や過去の購買履歴を踏まえた提案が可能になり、クロスセルやアップセルの機会を創出しやすくなります。
- カスタマーサービスでは、オペレーターが顧客情報を一元的に把握できるため、「何度も同じ説明をさせられる」といった顧客の不満を解消し、迅速で満足度の高い対応を実現します。
このように、統合プロファイルは顧客中心のデータ活用を可能にし、企業が顧客を深く理解するための洞察をもたらします。これは顧客満足度とロイヤルティの向上、ひいては収益拡大に直結するだけでなく、高度な AI 活用のための重要な土台となります。

主な活用方法②: RAG(検索拡張生成)におけるデータベースとしての活用
生成 AI(大規模言語モデル、LLM )を業務に活かす上で、 RAG( Retrieval-Augmented Generation / 検索拡張生成)という手法が注目されています。 RAG とは、 LLM の応答を企業固有のデータで根拠づけ(グラウンディング)するために、質問に関連するデータを指定された特定のデータソースから検索してプロンプトに組み込み、より正確で信頼できる回答を生成する仕組みです。 Data Cloud は、この RAG のプロセスにおいて、検索対象となるデータを処理・格納する重要な役割を果たします。
Data Cloud は、 RAG の文脈では特に非構造化データの蓄積基盤として機能します。 PDF ドキュメントや通話録音の文字起こし、メール、画像ファイルなどの非構造化データを処理し、 AI が検索可能な形で蓄積できます。つまり、 Data Cloud 上に企業のナレッジ記事や製品マニュアル、メール履歴などを取り込むことで、それらが RAG で活用できるデータとなり、意味検索(セマンティック検索)が可能になります。こうして準備されたデータ基盤に対し、自律型AI機能である Agentforce がユーザからの質問をもとに検索をかけ、関連性の高い情報をプロンプトに組み込むことで回答の精度と信頼性を高めることができます。
代表的な利用例として、カスタマーサポート(サービス部門)における問い合わせへの自動応答が挙げられます。 Web サイトのチャットウィンドウ上で顧客が質問した内容に応じて、社内のナレッジ記事から関連性の高い情報を見つけ、それをもとに回答をします。これまでのチャットボットではいくつかの分岐質問に答え、回答は定型文というのが一般的でしたが、Data Cloud と Agentforce による RAG の仕組みを使えば、顧客は自然言語で質問し、それに対して直接回答を得ることができるため、顧客体験が大幅に改善されます。

まとめ
本記事では、Data Cloud の概要と必要性、そして主要な 2 つのユースケース(統合プロファイルと RAG 活用)について紹介しました。データ統合による顧客 360 度ビューの実現と、生成 AI を企業データで強化する RAG の活用は、現代のビジネスにおけるデータ活用の双璧と言えるでしょう。Data Cloud はこの双方を支えることで、企業がデータから価値を引き出し、顧客体験を変革することを可能にします。
なお、ここで取り上げた活用方法それぞれの導入ステップや活用のためのノウハウについては、別の記事で詳しく説明しています。ぜひ自社での用途に応じて読み進めてください。
公開日: 2025.07.29
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活用ステップ
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STEP1. はじめに
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STEP2. 概要
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STEP3. データ取込
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STEP4. 準備
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STEP5. 活用