「検索インデックス」によるベクトルデータベース構築
公開日 : 2025.07.29
2025 年 10 月 14 日以降、Data Cloud は Data 360 にブランド変更されました。
この記事で学べること
- 検索インデックスの概要
- 検索インデックスの設定の2つの方法とその違い
- 検索インデックス設定のベストプラクティス
- チャンクの強化オプション(Chunk Enrichment)の概要
検索インデックスとは
この記事では、 Data 360 の機能である「検索インデックス」について詳しく説明します。検索インデックスとは何か、その設定によりどのような処理が行われるのかを確認した上で、設定の概要やベストプラクティスも紹介いたします。
- 検索インデックスとは: 構造化/非構造化データを RAG で検索可能にするための Data 360 の機能です。データソースとなるデータモデルオブジェクトを選択して検索インデックスを設定すると、 Data 360 がそのデータを意味のあるかたまりにチャンク化(分割)し、その分割したデータをベクトル化(数値化)して検索可能な状態に処理します。このプロセスがあることで、 Data 360 に取り込んだデータの中からユーザーの質問に意味や文脈が近いデータを検索できるようになります。
- 検索インデックスに関わるデータモデルオブジェクト ( DMO ): Data 360 で検索インデックスを設定すると、データソースのデータモデルオブジェクトに対応する Chunk DMO と Index DMO が自動で作成されます。詳細はこちらのヘルプ記事をご参照ください。
- DMO / UDMO: ソースデータのデータモデルオブジェクト。UDMO は、アップロードファイルのような非構造化データを格納するための Unstructured(非構造化) DMO を意味する。
- Chunk DMO: ソースデータから、意味のまとまりで分割されたチャンクテキストが格納されるデータモデルオブジェクト。 Chunk DMO のデータをグラウンディングに使用することで、プロンプトに文脈のある情報を渡すことができる。
- Index DMO: チャンクテキストをベクトル化(数値化)した値を格納するデータモデルオブジェクト。Chunk オブジェクトのレコードと対になって作成され、検索時はこのベクトルをもとに意味の近いデータが特定される。

設定の概要
検索インデックスの設定には、主に2つの方法があります。
- Agentforce データライブラリによる作成: Agentforce データライブラリ機能を使用すると、簡単ないくつかのステップだけで自動で検索インデックスの設定を行うことができます。対応データは、 Service Cloud のナレッジオブジェクト、アップロードファイル( PDF, HTML, Text )です。簡単に使い始めることができる点はメリットですが、対応データが限られていることと、設定できる内容に限りがあるため、上記以外のデータソースを扱ったり、より高度な設定が必要な場合は Data 360 で手動で検索インデックスを設定します。
- 検索インデックス作成: Data 360 の「検索インデックス」より、詳細な設定を反映した検索インデックスの設定が可能です。UI上の操作で設定できるためコードは不要です。 Agentforce データライブラリでは対応していないデータも利用できるほか、検索方式、対象データのフィルター条件など、より高度な制御が行えます。

ベストプラクティス
検索インデックスにより RAG の精度を高めるには、有効なデータに対して適切な設定を行うことが重要です。
- コンテキスト(文脈)のある項目やデータを用意する: キーワード単体ではなく、その言葉がどのような意味で使われているかが分かる文章や段落があるデータが検索インデックスの対象として適しています。ユーザーの質問との意味の類似性をより正確に捉え、文脈に沿った的確な回答を生成しやすくなります。
- 最低限の項目を検索インデックスの対象にする: 本文とは無関係な情報(定型文、記事番号など)を排除し、 RAG が参照すべき本質的な情報だけに絞って検索インデックスを設定します。これにより、検索ノイズが減り、精度と効率が向上します。不要なデータを除外することで、プロンプトに誤った情報や不完全な情報を与える可能性を低減させることができます。
解析・事前処理オプション
非構造化データを元に検索インデックスを作成する場合、 AI が正しく理解できるように、解析や事前処理を行うオプションがあります。
- 解析:非構造化データを以降の処理のために構造化形式または準構造化形式に変換
- Default Parser :テキストのみのファイルの場合や、事前処理 [ LLM-based Visual Data Pre-Processing ] を使用したい場合に選択します。
- LLM-based Parser : LLM を使って、非構造化ファイル全体から情報をテキストとして抽出する際に選択します。
- Docling Parser : OCR を使って、複雑なレイアウトや表データから情報をテキストとして抽出する際に選択します。

- 事前処理:チャンク化する前に、解析したテキストと視覚的コンテンツをクリーンアップして準備
- No Pre-Processing:テキストのみのファイルの場合や、解析の [ LLM-based ]または [ Docling Parser ] を使用したい場合に選択してください。
- LLM-based Visual Data Pre-Processing:ドキュメント内の表やグラフなどの視覚的コンテンツの一部から情報をテキストとして抽出する際に選択します。本オプションを使用したい場合は、解析オプションは [ Default Parser ] を選択します。

- 解析と事前処理の留意事項
- 解析オプションと事前処理オプションで LLM ベースの処理は併用できません。
- Docling Parser と LLM ベースの事前処理オプションは併用できません。 LLM を使用して画像の解析をするには、チャンク戦略を選択する際に [画像処理を有効化] オプションを有効にします。詳細は 「 Help | Docling Parser」 をご確認ください。

LLM を使用してコンテンツや画像の解析および事前処理を行うとクレジット消費に影響します。詳細は 「 Help | 非構造化データと検索インデックスの請求に関する考慮事項」 をご確認ください。
チャンクの強化オプション
「チャンクの強化」は、非構造化データをベクトル化する際、LLM を活用して検索用の付加情報(メタデータ)を自動生成・付与する機能です。
Agentforce 等の AI アプリケーションが、より文脈に即した適切な情報を参照できるようになり、回答の妥当性(精度)の向上が期待できます。
従来の検索インデックスとの違い 従来の「テキストを一定の長さで機械的に分割する」手法に対し、チャンクの強化を有効にすると、Data 360 では以下の 3 種類のチャンクが生成され、RAG や AI エージェントのワークフローで活用されます。
- 元のチャンクテキスト : オリジナルのテキストデータ
- メタデータテキスト : LLM が生成した説明や要約
- 回答可能な質問 : そのチャンクから回答可能な想定質問
本機能の利用に伴うクレジット消費(Flex クレジット等)の仕様 や、処理に伴う データ処理リージョン(国外へのデータ送信の可能性)に関する考慮事項は、製品アップデートにより変更される可能性があります。
詳細はこちらのヘルプ記事をご参照ください。
まとめ
検索インデックスとは、指定したデータをチャンク化・ベクトル化し、検索可能な状態にする Data 360 の機能です。検索インデックスを設定することにより、 Agentforce が検索できるデータ基盤が構築されます。 Agentforce データライブラリによる設定と Data 360 における手動設定の 2 つの方法があり、後者の方がより詳細な設定や高度な制御が可能です。 RAG の精度を高めるためには、文脈のあるデータを用意し、検索インデックスの対象を必要最低限の項目に絞ることが重要です。次の記事では、そのデータを検索する役割を担う「レトリーバー」について詳しく解説します。
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エキスパートコーチング: Data 360 : AI & Agentforce
参考リソース
公開日 : 2025.07.29
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STEP3. データ取込
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STEP4. 準備
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