連載:『営業改革のコンパス〜規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計〜』vol.1

2021.05.31

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はじめに

営業改革プロジェクトをどのように進めていけばいいのか、どのような障壁が待ち構えているのか——。

 本連載は、セールスフォース・ドットコムに在籍して20年近く、たくさんのお客様とお話しし、さまざまな課題に直面、解決してきたセールスイネーブルメント・シニアディレクターの田崎純一郎が、まだまだ経験者の少ない営業改革プロジェクトに関する情報を整理したいと思い、これまでのアンケート結果や営業改革プロジェクトを成し遂げたお客様のインタビューをもとにまとめたものになります。

営業改革プロジェクトを進めるために知っておきたい知識、また押さえておくべきポイント、さらになぜ営業支援システム(SFA)が必要なのかをご紹介していきます。

今も昔も営業の武器は情報です。顧客情報、案件情報、活動情報の3つの情報を制する営業はより効率的に受注を獲得できます。そして21世紀に情報を扱うにはITは欠かせません。現代のビジネスに適合した情報の取り扱いを営業ができるようになれば、この変化の時代を生き抜くことができます。

また、営業改革には終わりがありません。

新しい技術が生まれれば、経済が変わり、世界が変わります。世界が変われば、顧客も変わります。顧客が変われば、営業も変わらなければなりません。

第1章では、営業改革プロジェクトで解決すべき課題を深掘りしていきます。1,760名のアンケート結果からみた現代の営業組織が抱える課題について分析し、第2章では、なぜ営業力を会社の仕組みにしなくてはならないのか。また、どのように営業情報を管理し活用すればよいかについて取り上げます。第3章では、プロジェクトを進める際のポイントについて解説いたします。

ぜひ営業改革プロジェクトを成功に導いてください。

営業改革で解決したい課題は何か - 営業組織の規模と営業改革テーマ

営業改革プロジェクトや営業支援システム(SFA)導入を進める際、多くの方は他社の改革の手法を参考にされると思います。改革の担当者は自社が抱える営業組織の課題や改革テーマと類似している企業を探すために、業種・業態・従業員数・業界内シェア・ビジネスモデルなどさまざまな観点で類似の企業を検索されるでしょう。実際、多くの書籍やインターネット上の記事は業種や規模で企業を分類し、大企業が抱える課題や中小企業特有の解決策、成功事例などを紹介してきました。

しかし、いくつかの記事を見れば気付くでしょう。営業改革の課題や解決策を語る上で出てくるキーワードはほとんどが共通したものです。「属人的な営業」「情報とノウハウの共有」「営業プロセスの標準化」「営業の生産性向上」「SFAの定着化が課題」など、どの記事を見てもあまり違いはありません。

企業規模や業種で分類されてはいるものの、出てくる課題や解決策はどれも同じキーワードです。本当にそうであれば、わざわざ改革の事例を企業規模や業種で探す必要はありません。では、改革の担当者は、自社の参考になる事例をどのような観点で見つければいいのでしょうか? そもそも本当にどんな営業部門も企業規模に関係なく同じ問題を抱えているのでしょうか?

私たちは「営業組織の規模」と「役職」に着目しました。そして、アンケートの分析によっていくつかの発見をしました。営業部門の課題は部門の大きさによって変わる。そして、その解決策の優先順位は役職によって違う。また、改革には順番があり、見積・提案書の共有、案件情報の可視化、そして活動の可視化と顧客データの活用へと進む。複数の営業組織を見てきた方であれば、いたって当たり前の結論かもしれませんが、改革前の営業部門の当事者が、自社の営業組織の課題やステージを客観的に分析することはなかなか難しいことではないかと思い、この連載にまとめました。

営業部門の日々の運営において、営業担当者や営業部門長が直面している課題は「営業組織の大きさ」に密接な関係があります。3階層15人程の営業組織ではなかったような課題が、5階層150人の組織には出てきますし、課題に対する解決策も営業担当者の教育や努力、能力の向上だけではなく、多くの支援部門やITの活用をあわせた方法の重要性が増してきます。

特に大規模組織になればなるほど、仕組みによる底上げとナレッジの再利用の影響力が増します。営業組織内の多数の営業担当者から生まれるデータとそれを生かす営業戦略部門(経営企画、営業企画、営業戦略など)や営業支援部門(マーケティング、インサイドセールス、セールスイネーブルメント、営業推進、業務、セールスエンジニアなど)の力によって、営業の生産性は大きく変わってくるのです。

これらの要素を理解して組織を成長させることができれば、スケールする営業組織を作り出すことができます。残念ながらその仕組みを確立できない場合は、50人ほどの“職人”営業集団が、製品別や地域別に存在し、属人的なやり方に依存する、いわば「中小企業の集合体」としての営業組織になってしまうでしょう。

また、アンケートの分析から、役職(組織上の立場)によっても解決策の優先順位は大きく違うことがわかりました。おそらくこのギャップが「社内の意見がまとまらない原因」であり、プロジェクトの成否を決めるカギにもなるでしょう。営業改革が道半ばで頓挫してしまうのは、組織の上下間での優先順位の違いをそのままにして進めていくことも原因の一つです。トップダウンはトップの意思がダウン(担当者レベルまで浸透)することであり、ボトムアップはボトムの意見をアップ(上層部が納得)させなければせっかくの改革の機運が雲散霧消してしまいます。

これら営業改革のポイントや標準的なステップを理解した上でプロジェクトを進めることで、闇雲に思いついた施策を実施したり、現場と経営者、コンサルタントの板挟みにあいながらプロジェクトを迷走させる確率を大きく減らすことができるのではないかと考えます。企業を成長させるには、製品やサービスだけでなく、営業組織も成長させなければなりません。営業組織の大きさによって直面する課題を理解しておくことで、数年後の次の営業組織へ成長する準備を事前に行っておくことができます。

次回は、営業組織の規模によって課題感はどのように異なるのか、具体的に解説していきます。

著者:田崎純一郎(たさき じゅんいちろう)

セールスフォース・ドットコム

セールスイネーブルメントシニアディレクター

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第1章 完全版eBookをダウンロード提供中
本連載『営業改革のコンパス~規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計~』第1章のつづきは、eBookにまとめています。これまでの5回の連載で触れたものに大幅加筆された完全版です。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。

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連載記事

<第1章>

Vol. 2 営業マネジメント50人の壁 ― 営業支援システムの導入率からみる営業組織の課題

Vol. 3 営業組織の規模によって異なる課題感 ― データの収集と活用

Vol. 4 現場が見えなくなる中規模組織

Vol. 5 使いこなせていない51名以上の営業組織は「営業案件の可視化やパイプライン管理ができていない」

<第2章>

Vol. 6 営業活動は不完全情報ゲーム

Vol. 7 営業を“群衆”ではなく“組織”に -情報を使って160時間の使い方を最適化

Vol. 8 営業情報は製品中心ではなく「顧客データを中心」にフロントとバックをつなげる

<関連セミナーご案内>

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2021.05.31

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