連載:『営業改革のコンパス~規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計~』vol.9
公開日: 2021.10.28
作ったものを売る営業から、売れるものを作る会社へ
例えば、Eコマースの世界では、顧客が一度は気に入ってクリックし買い物カゴに入れたものの、最終的な購入までいかなかったものがわかります。メールなどで買い忘れはないか連絡したり、価格が変更されたことを通知して再度購買を促し、それでも購入に至らなければ、どの商品と比較されたのか分析し製品の改善につなげています。
同様に、最近では実店舗でも人工知能(AI)の画像解析により、顧客が手に取ったけれども購入に至らなかった商品がわかるようになってきました。もちろん無人店舗や万引き防止にも役立つのですが、それによって陳列の改善や顧客がなぜ買わなかったかを深く分析する取り組みが始まっています。
また、みなさんよくご存知のアパレル産業では、ファーストリテイリングやザラなどの製造小売り(SPA)と呼ばれる業態の企業が飛躍的な成長を遂げ、農業では生産(1次)、加工(2次)、流通販売(3次)をすべて手掛ける6次産業化が起こっています。これまでの「作る企業」と「売る企業」という役割分担ではなく、「作って売る」。
そして、顧客の反応をすぐに製品やサービスに反映する。顧客の必要なものを必要なだけ作れば、利益を削ってまで安売りする必要はありません。これらの動きは顧客中心の考え方への大きなシフトの一環であり、実践している企業はすでに存在しているのです。
世界の先進企業はいま、顧客接点を担うフロント業務をカスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)を中心に改革し、バックエンド業務(支援業務)との連携を図ろうと懸命に取り組んでいます。ネット店舗も独立した存在ではなく、リアル店舗と在庫情報を共有し、どちらからでもシームレスに手に入れられる環境を整備しています。
BtoBの世界も顧客中心の考え方で収集・管理した情報を活用しながら、フロントとバックエンドを連携させることが、営業改革で取り組むべきシステムの主要テーマなのです。
次回からは「営業改革のプロジェクトの進め方」について具体的に解説していきます。
公開は11/4(木)を予定しております。
著者:田崎純一郎(たさき じゅんいちろう)
セールスフォース・ドットコム
セールスイネーブルメントシニアディレクター
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連載記事
<第1章>
Vol. 1 営業改革で解決したい課題は何か - 営業組織の規模と営業改革テーマ
Vol. 2 営業マネジメント50人の壁 ― 営業支援システムの導入率からみる営業組織の課題
Vol. 3 営業組織の規模によって異なる課題感 ― データの収集と活用
Vol. 4 現場が見えなくなる中規模組織
Vol. 5 使いこなせていない51名以上の営業組織は「営業案件の可視化やパイプライン管理ができていない」
<第2章>
Vol. 6 営業活動は不完全情報ゲーム
Vol. 7 営業を“群衆”ではなく“組織”に -情報を使って160時間の使い方を最適化
Vol. 8 営業情報は製品中心ではなく「顧客データを中心」にフロントとバックをつなげる
<第3章>
Vol. 10 営業改革プロジェクトでは、どんな困難に直面するのか?
Vol. 11 チームの結成・メンバーの選定 ~ 方針決定、ビジョンやゴールの設定、価値観のすり合わせ
Vol. 12 情報プラットフォーム(ITシステム)選定 ~ 組織変更の実施、教育・社内トレーニング
Vol. 13 KPI、データ分析と活用 ~ 定着化と展開
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公開日: 2021.10.28
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