連載:『営業改革のコンパス~規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計~』vol.5
公開日: 2021.07.20
使いこなせていない51名以上の営業組織は「営業案件の可視化やパイプライン管理ができていない」
前回 考察した「営業組織の規模によるSFA導入率の違い」のグラフでは、51名以上の営業組織の「使いこなせていない」率が約半数であることを指摘しました。Excelの案件管理が破綻を迎えSFAを導入したものの使いこなせていない。では、いったい使いこなせていない理由はどういったところにあるのでしょうか?
こちらのグラフは51名以上の営業組織のかたの「現在の営業の活動管理、顧客管理、案件管理方法についてお聞かせください」の回答で「(自社開発を含む)SFAで管理している」と回答した383名、「(自社開発を含む)SFAを使いこなせていない」と回答した272名、「Excel・日報・グループウェアで管理している」と回答した222名が「筋肉質な営業組織を作るために、貴社が課題として考えていることを記述してください。」の問いに対してどのように回答したか比較したグラフです。
こちらを見ると一目瞭然です。SFAで管理している営業組織と使いこなせていないと感じている組織で大きく差がついているところと、そうでないところがあります。
わかりやすく差分が大きい順番に並び替えてみました。
「管理している」グループと「使いこなせていない」とグループの差
・営業案件の可視化やパイプライン管理ができていない:21.22ポイント
・営業データ全般の分析ができていない:19.23ポイント
・営業活動の可視化や活動内容のコーチングができていない:17.36ポイント
・顧客情報の収集・管理ができていない:12.59ポイント
・資料・見積作成の効率化ができていない:11.74ポイント
・顧客データを生かした営業活動の効率化ができていない: 9.72ポイント
・データを元にした行動の改善を行う風土・カルチャーがない: 9.52ポイント
・営業部門内で提案書などのノウハウの共有ができていない:5.50ポイント
・現場の改革に対する抵抗感が根強い:3.76ポイント
・ワークスタイル自由度の向上(モバイルなど):1.92ポイント
・部門をまたがった情報共有とコラボレーションができていない:0.29ポイント
SFAを導入したが使いこなせていないと感じる理由は、案件や活動の可視化ができておらず、パイプライン管理や活動内容のコーチングにつなげられていないところにあります。ある意味、SFAの最も基本的な機能である案件管理と活動管理ができておらず、基礎情報の収集段階でつまずいているのが使いこなせていないと感じる一番の原因のようです。
逆にワークスタイルや部門をまたがったコラボレーションに関しては、ほとんど差がついていません。
そして、「顧客データを生かした営業活動の効率化ができていない」や「営業活動の可視化や活動内容のコーチングができていない」に関しては、「管理している」と答えた企業でもまだ強く課題に感じていると思われます。
著者:田崎純一郎(たさき じゅんいちろう)
セールスフォース・ドットコム
セールスイネーブルメントシニアディレクター
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連載記事
<第1章>
Vol. 1 営業改革で解決したい課題は何か - 営業組織の規模と営業改革テーマ
Vol. 2 営業マネジメント50人の壁 ― 営業支援システムの導入率からみる営業組織の課題
Vol. 3 営業組織の規模によって異なる課題感 ― データの収集と活用
Vol. 4 現場が見えなくなる中規模組織
<第2章>
Vol. 6 営業活動は不完全情報ゲーム
Vol. 7 営業を“群衆”ではなく“組織”に -情報を使って160時間の使い方を最適化
Vol. 8 営業情報は製品中心ではなく「顧客データを中心」にフロントとバックをつなげる
Vol. 9 作ったものを売る営業から、売れるものを作る会社へ
<第3章>
Vol. 10 営業改革プロジェクトでは、どんな困難に直面するのか?
Vol. 11 チームの結成・メンバーの選定 ~ 方針決定、ビジョンやゴールの設定、価値観のすり合わせ
Vol. 12 情報プラットフォーム(ITシステム)選定 ~ 組織変更の実施、教育・社内トレーニング
Vol. 13 KPI、データ分析と活用 ~ 定着化と展開
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公開日: 2021.07.20
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