連載:『営業改革のコンパス~規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計~』vol.4
公開日: 2021.07.06
現場が見えなくなる中規模組織
前回 vol.3 に続いて、上記のグラフ「営業組織の規模による課題の違い」から伺える示唆について、もう少し細かく見ていきましょう。
「顧客データを生かした営業活動の効率化ができていない」に次いで多いのは「営業活動の可視化や活動内容のコーチングができていない」です。これは営業組織の人数が増えるごとに大きな問題になっていき、31~50名規模でピークを迎え、その後はなだらかに下がっていっています。SFAを入れるなど何らかの対策をするような51名以上の規模になるまでは、組織が大きくなるごとに混沌としてくる様子が伺えます。
その他の規模別の課題
その他、特徴的なところは以下になります。
・15名までの組織で特徴的な課題
・営業部門内で提案書などのノウハウの共有ができていない
・資料・見積作成の効率化ができていない
16~50名の組織で特徴的な課題
・営業活動の可視化や活動内容のコーチングができていない
・営業データ全般の分析ができていない
・営業案件の可視化やパイプライン管理ができていない
・営業組織の規模が大きくなるごとに値が高くなる課題
・部門をまたがった情報共有とコラボレーションができていない
営業案件の可視化やコーチングに関する問題意識は、営業組織が50人を超えると少し下がっていく傾向が見られます。先に、営業マネジメント50人の壁の話をしましたが、人数が増えるとともにデータが増加・散在していくので、案件管理のためにもSFAが導入され、案件の可視化に関してはこの段階で対処している企業が多いようです。
また、営業活動管理の課題感も50人あたりがピークにあるようです。実際、「営業活動の可視化や活動内容のコーチングができてない」「営業データ全般の分析ができていない」という悩みは、50人まで直線的に上がっていきます。組織が大きくなり、営業メンバーが増加すると、個々の営業担当者が何をしているかがが見えなくなるとともに営業マネージャーのコーチングも課題となってくるのです。これが営業組織50人までの典型的な課題だと思われます。
おそらく対処の順番としては、15名までの営業組織では提案書・見積書などのファイルベースで行われる作業ノウハウの共有が課題となり、営業部門にファイルサーバーを導入することや、見積・販売管理システムなどで解決。その後、16~50名の組織では営業の個々の活動と案件管理が課題となり、SFA導入で対応となっていると推察されます。51人以降の組織では、各社によって課題感が異なると思われます。後述しますが、SFAを使いこなせていない企業は、この段階でクリアしておくべき課題を解決できていないために、同じ問題を抱えたまま組織人数が大きくなっている可能性があります。
次回は、「SFAを使いこなせていない企業は、どこにつまづいているのか」についてお話していきます。
著者:田崎純一郎(たさき じゅんいちろう)
セールスフォース・ドットコム
セールスイネーブルメントシニアディレクター
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連載記事
<第1章>
Vol. 1 営業改革で解決したい課題は何か - 営業組織の規模と営業改革テーマ
Vol. 2 営業マネジメント50人の壁 ― 営業支援システムの導入率からみる営業組織の課題
Vol. 3 営業組織の規模によって異なる課題感 ― データの収集と活用
Vol. 5 使いこなせていない51名以上の営業組織は「営業案件の可視化やパイプライン管理ができていない」
<第2章>
Vol. 6 営業活動は不完全情報ゲーム
Vol. 7 営業を“群衆”ではなく“組織”に -情報を使って160時間の使い方を最適化
Vol. 8 営業情報は製品中心ではなく「顧客データを中心」にフロントとバックをつなげる
Vol. 9 作ったものを売る営業から、売れるものを作る会社へ
<第3章>
Vol. 10 営業改革プロジェクトでは、どんな困難に直面するのか?
Vol. 11 チームの結成・メンバーの選定 ~ 方針決定、ビジョンやゴールの設定、価値観のすり合わせ
Vol. 12 情報プラットフォーム(ITシステム)選定 ~ 組織変更の実施、教育・社内トレーニング
Vol. 13 KPI、データ分析と活用 ~ 定着化と展開
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公開日: 2021.07.06
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