要件定義を始める前の準備
公開日: 2025.10.21
この記事で学べること
- Data Cloud の技術的な要件定義を始める前に、ビジネス視点で準備すべき3つのステップ
- ビジネスゴールから逆算して、具体的なデータ活用ユースケースを考えるアプローチの重要性
- 検討したユースケースとそれに必要なデータを整理するための「データワークブック」
はじめに
Data Cloud の導入を成功させるためには、技術的な機能の検討から始めるのではなく、まず「ビジネス上のゴールは何か?」を明確にしてからユースケースを選定し、そのユースケースをどのように実現していくか、という流れで検討をすることが非常に重要です。ビジネスゴールから逆算して、その達成に必要なデータの活用方法を考えるアプローチを取らないと、最終的な成果物が意味のあるものにならず、設定作業の手戻りが多く発生する可能性があります。
この記事では、 Data Cloud 導入を成功に導くために、要件定義の前に実施すべき準備ステップについて、具体的な考え方と進め方を説明します。
要件定義を始める前に実施いただきたい3つのステップ
Data Cloud の導入効果を最大化するため、技術的な設定や実装計画に入る前に、以下の3つのステップを推奨します。
このステップを実施いただくことで、 Data Cloud への期待値や目指すべき姿、データの全体像をプロジェクト関係者に的確に共有することが可能です。
ステップ1:ビジネス目標の明確化
まず初めに、データ活用における現状と、Data Cloud 導入によって実現したい理想の状態を言語化します。例えば、「顧客データが分散しており、統一的な顧客理解ができていない」という現状に対し、「関連性の高い情報を適切なタイミングで顧客に届け、エンゲージメントを高める」といった理想の状態を定義します。これにより、プロジェクト全体のゴールが明確になり、関係者全員が同じ目標に向かって進むことができます。
ステップ2:ユースケースの検討
次に、ステップ1で設定したビジネス目標を達成するための具体的な施策、つまり「ユースケース」を洗い出します。ここでは最初から完璧を目指す必要はなく、関係者間で自由にアイデアを出し合うことが重要です。
例えば、「マーケティング効率の最適化」を目指すにあたって、マーケティングにかかった費用対効果 ( ROI ) を最適化したいとします。それがうまくいったかの指標として、コンバージョン率を使って効果を測定します。その場合のユースケースとしては、関連するコンテンツでパーソナライズされたバナーを表示させたり、メールでのパーソナライズした商品やサービスの推奨事項を行うことが考えられます。その実現のために、 Data Cloud でお客様のデータの統合や、パーソナライズするための情報の強化を行う必要がある、と整理していきます。

ステップ3:ユースケースの具体化
最後に、ステップ2で洗い出したユースケースの中から、ビジネスインパクトや実現性を考慮して、最初に取り組むべきスコープを決定し、具体化をします。
具体化に向けて、以下3つのポイントでデータの全体像の把握と整理を行います。ユースケースを実現するために”必要なものはなにか”を常に意識するようにしましょう。
- データ利用先の定義
- 何をどこで活用したいのか、データを利用するイメージを掴みます。
- 例:2年以内に製品購入した顧客のセグメントを Marketing Cloud へ公開する
- データの整理
- ユースケースに使いたいデータは揃っているか、予め取り込むデータを絞っておく必要があるか、データの品質に関してクレンジングが必要か、システムごとに異なる ID で顧客情報を管理しているため ID 解決が必要か、などの観点でデータの整理を行います。
- データソースの定義
- ユースケースを実現するために必要なデータソースとして何を使うのか、その項目とともに検討し、データを取得するためにどの部門と調整する必要があるのかを整理していきます。

ユースケースを具体化するステップでは、実際にデータを活用するビジネスユーザー(マーケティング担当者や CRM 担当者など)と、データに詳しい専門家が連携することが不可欠です。
ビジネスユーザーは、データの詳細な構造を把握していない場合がほとんどですが、「顧客名」や「購入履歴」、「同意情報」といった、ユースケースを実現するために必要なハイレベルな情報は提示することができます。
一方で、それらのデータが各システムでどのように管理されているかを正確に知っているのは、システムの管理者やデータに詳しい担当者です。
そのため、ビジネスユーザーの視点から「何を実現したいか」という要件を引き出しつつ、必ずデータに詳しい専門家を巻き込んで、「どう技術的に実現するか」という議論を進めることを強く推奨します。これにより、円滑なプロジェクト進行に繋がります。
ユースケースを具体化する際に利用いただけるデータワークブック
上記の通り、Data Cloud の技術的な機能設定から始めるのではなく、ビジネス目標を明確にしてからユースケースを選定し、そのユースケースをどのように実現していくか、という流れで検討をすることが重要です。
ユースケースやデータの全体像を整理する際には、ドキュメントに残すことを推奨します。ドキュメント化は、データの情報を関係者に共有できることの他、構築段階でも非常に重要です。
ユースケースを具体化する際に情報整理が可能なワークブックをご用意しております。
データの整理を行う際にどのような観点で確認を進めていくのか、具体的な確認事項が記載されているので、利用する機能や必要な設定の整理を行うことができます。また、実際に搭載するデータの洗い出し、項目・リレーションの整理など、ソリューションの全体像を描きながらデータの実現可能性のチェック等を行っていただけます。
まとめ
Data Cloud の導入プロジェクトでは、技術的な詳細に入る前に、まずはビジネスの視点から「何を実現したいのか」を明確にすることが成功への鍵となります。今回ご紹介した3つのステップとデータワークブックを活用し、関係者間での共通認識を形成した上で要件定義に進むことで、手戻りが少なく、ビジネス価値の高いデータ活用実現に繋がります。
今後、構築や運用をするにあたり、データの問題を突き止める際、原因は Data Cloud ではなく、ソースシステム側にあることがほとんどです。データワークブックを活用することで、問題がなぜ発生したのかを特定しやすくなるため、ぜひご活用ください。
公開日: 2025.10.21
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活用ステップ
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STEP1. はじめに
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STEP2. データ接続
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STEP3. データの準備とモデリング
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STEP4. データの活用