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Account Engagement (旧Pardot) のデータベースを整理する重要性と方法について
この記事で学べることAccount Engagement (旧Pardot) アカウントにおけるデータベース上限の扱いについて古くエンゲージメントが少ないプロスペクトが存在することで生じる問題についてエンゲージメントのない・低いプロスペクトの見極めと整理の方法についてはじめに本記事では、Account Engagement (旧Pardot。以降は Pardot と表記) アカウントに登録されているプロスペクトについて、「古く、長期でエンゲージメントのない、または少ないプロスペクト」を整理しないことのリスクと、その対応方法をご紹介します。また、Pardotアカウントにてデータベース(メール可能なプロスペクトデータ)を最新の状態に保つことで、データベース使用量の適正化とPardotメールの到達性を高めることを目的としています。背景Pardotアカウントには、デフォルトで 10,000 件までの 「メール可能な状態」のプロスペクトを登録できます。「メール可能な状態」のプロスペクトとは、以下の状態のものを指します(参考)。オプトアウトしていない([Opted Out] 項目が False である)メール送信除外されていない([Do Not Email] 項目が False である)バウンスが発生していない「メール可能な状態」のプロスペクトが、Pardotアカウントに割り当てられた上限数(デフォルトは 1 アカウントあたり 10,000 件)に達すると、以下の様なお知らせメールがPardot管理者ユーザー等に送信されます。【「Warning! You have exceeded your Database limit of (#) mailable prospects (警告! メール送信可能なプロスペクトのデータベースの制限 (#) を超えました)」】上限に達しても、直ちにPardotのご利用に影響はありませんが、代わりに、弊社にて超過の状態を把握の上、弊社営業よりデータベース追加のご契約をご案内します。またメールの到達性の観点では、メールアドレスが古く受信不可の状態であったり、マーケティングメールやWebサイトに対してリアクションをとっていないなどエンゲージメントが低いプロスペクトに対してPardotメールを送信してしまい、メールのバウンスや迷惑メールの指定など、結果としてその後のPardotメールの到達性に影響を及ぼすリスクが生じてしまいます。古くエンゲージメントが少ないプロスペクトが存在することのデメリット以上の理由から、Pardotアカウントにてデータベースを最新の状態に保つことが重要となります。参考サクセスナビ:メール送受信の仕組みと Pardot でできることヘルプ:データベースの状態を良好に保つ方法のヒントヘルプ:リストの良好な状態とスパムフィルターPardotアカウントにてデータベースを最新の状態に保つ方法データベースを最新の状態に保つ方法はいくつかありますが、一例として、「古く、長期でエンゲージメントのないプロスペクト」 をダイナミックリストや オートメーションルール などでリスト化(休眠・コールドリスト化)し、Engagement Studio などで掘り起こしを実施する方法が一般的です。「古く、長期でエンゲージメントのないプロスペクト」 を特定するには、例えば以下の様なルール定義の組み合わせで、ダイナミックリストやオートメーションルールを使用して抽出します。プロスペクトの抽出ルール例上記を組み合わせることで、例えば「作成日から2年以上経過し、最後のアクティビティが1年前であり、かつスコアが300以下」といったプロスペクトで休眠・コールドリストを作成できます。抽出したプロスペクトをそのまま削除するか [Do Not Email] にチェックを入れてメールが送信されない状態にすることで、データベースのカウント対象から外すことも可能です。プロスペクトを削除する場合は、リストの設定画面のプロスペクトテーブルリストから複数選択して削除します。プロスペクトの [Do Not Email] にチェックを入れて、メールが送信されない状態にするには、オートメーションルールで上記ルールの組み合わせで抽出つつ、アクションで「プロスペクトのデフォルト項目値を変更|Do Not Email|True」にチェックを入れます。参考サクセスナビ:自社への関心が高い見込み客の基準を決めましょうサクセスナビ:フォローすべき見込み客の質を改善しましょうサクセスナビ:配信対象見込み客リストを作成しましょうヘルプ:エンゲージメントがないプロスペクトの特定と除外休眠・コールドリストに対して掘り起こしを行う休眠・コールドリストを作成できたら、掘り起こし用のEngagement Studioで自動ナーチャリングを実施し、そこから商談化が可能なプロスペクトを掘り起こすことも可能です。掘り起こし方は、休眠・コールドリストに対してどの様にアプローチするのかによって千差万別ですので、お客様のご要件に応じてシナリオをご設定ください。ここでは以下の流れを例にご説明します。処理例リスト宛に掘り起こしメールを送信7日間メール開封をモニタリングメールを開封しないプロスペクトは [Do Not Email] 項目を「True」に更新し、フォロー対象外タグを付与メールを開封したプロスペクトは、更に3日間、メール内リンククリックをモニタリングリンクをクリックしなかったプロスペクトは、別の製品・サービスの紹介メールなどを送信するシナリオの対象リストに追加し、継続してフォローを実施リンクをクリックしたプロスペクトは、休眠顧客を対象とした特別キャンペーンのメンバーに追加し、特別価格を提示する追客用のメール送信や担当営業からのフォローを促す別シナリオの対象リストに追加し、継続してフォローを実施設定画面例この様なシナリオにより、休眠・コールドリストから商談化に繋がりそうなプロスペクトを見極めつつ、見込みのないプロスペクトはメール送信対象から外したり、データベースから削除することが可能になります。マーケティングオートメーション定番20選シナリオeBook の p13 にも休眠顧客のフォローアップシナリオ例がありますので、是非ご参考にしてください。参考サクセスナビ:メールの雛型を作成しましょうサクセスナビ:マーケティング活動のシナリオを検討しましょうサクセスナビ:シナリオを設定しましょうまとめ本記事では、Pardotアカウントにおけるメール可能なプロスペクト数のデータベース上限と、古くエンゲージメントが少ないプロスペクトが存在することで生じる問題、休眠・コールドプロスペクトの整理方法について解説しました。運用方法や他社事例などについてご質問がございましたら、質問広場~初心者から上級者まで~ 日本 グループまたは Account Engagement(旧Pardot) 日本 グループにてご質問ください。また、Premier Success Planをご契約のお客様は、リストの作成やメールの送信方法、Engagement Studioシナリオの設定方法などを弊社スペシャリストとの1:1のセッションで学べるエキスパートコーチングセッションをご利用可能です(詳細はこちら)。個別の技術的なご質問がございましたら、ヘルプ & トレーニングより弊社サポートへお問合せください。
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この記事で学べることトレーニングで伝達すべき内容トレーニングに向けた必要な準備この記事のゴールこの記事のゴールは「ユーザートレーニングで伝達すべき内容を理解し、準備に着手できる状態になる」ことです。そのために、以下3ステップで進めていきます。トレーニングとはトレーニングで伝達すべき内容トレーニングに向けた準備トレーニングとは「トレーニング=操作説明」とイメージしてしまいますが、ここでいうトレーニングは単なる操作説明ではありません。Sales Cloud運用開始に向けたトレーニングは、利用目的や利用シーンをしっかりと伝達し、利用ユーザーに腹落ちして使用してもらうことを目的とします。操作説明だけのトレーニングになると、なぜSales Cloudを使うべきか利用ユーザーが理解・腹落ちできず、操作説明をしてもなかなか定着しません。トレーニングは操作説明だけでなく、必ず利用目的や利用シーンを伝達できる構成としましょう。トレーニングで伝達すべき内容トレーニングで伝達すべき内容は大きく以下の6つです。①経営層からのコミットメント経営層自らSales Cloud導入が組織の課題解決のために必要な全社的な取り組みであることを利用ユーザーへ発信します。経営層からのコミットメントには、以下のような内容が含まれます。中長期的な会社のビジョン/目標ビジョン/目標の達成に向けた組織における課題Sales Cloud導入の背景、目的Sales Cloud導入による期待また、経営層を巻き込み、経営層自らがSales Cloudを活用することで、利用ユーザーに入力メリットを訴求できるといった副次的な効果も期待できます。経営層に協力を取り付けることができたら、別途経営層/マネージャー層に対する「ダッシュボード説明会」を企画し、参加を依頼しましょう。経営層が参加することでマネージャー層の参加も促すことができ、コミュニケーションルールの定着が期待できます。Sales Cloudの定着化には上層部のSales Cloud活用は必須となりますので、ぜひご検討ください。②導入目的・実現プランの説明経営層からのコミットメントにて発信した課題感やSales Cloudへの期待を踏まえ、どのように課題解決(もしくは業務改善)に繋げるのか、解決の方向性やそれを把握するための導入目的・実現プランについて説明します。※「目標達成のためにやるべきこと検討しましょう」で戦略やアクション(行動)を検討している場合、検討結果を流用できる場合もあります。また、ここではSales Cloudのメリットについて訴求することも重要なポイントです。Sales Cloudの利用目的を理解しても、利用ユーザーの心理として入力負荷が増加するのは喜ばしくありません。入力負荷が上がる印象を持てば、その後の定着化にも影響します。利用ユーザーにとって、Sales Cloud導入が決して作業負荷を上げるだけではないことを強調するために、Sales Cloud導入により”やめられること”について説明します。これにより利用ユーザーの抵抗感を下げます。”やめられること”の具体例としては、以下のようなものがあります。既存のExcel管理票への入力マネージャーがメンバーを呼び止めて案件状況を都度確認する定例会議内で各メンバーが順番に案件状況を共有する資料や顧客情報を共有フォルダからかき集める特に、Excelによる案件管理を実施していた場合、以下のような煩わしい作業は”やめられること”です。案件の確度がいつの間にか変更されており、担当者に背景を確認する更新日がわからないため、担当者と進捗状況を棚卸しする月次・年次などの集計時、入力データの誤りや集計時の数式などの誤りを修正する③運用ルールの説明「運用のルールを策定しましょう」で作成した運用ルールについて説明します。利用ユーザーは、入力の目的を理解した状態で、いつ、何をどのように入力するかを確認します。④操作演習運用ルールに沿った入力を行う上で、必要な操作方法について説明します。商談を例に取れば、どのように新規商談を作成するのか、また、どのように商談を検索し更新するのか、実際の画面操作やマニュアル等を使って説明します。初回の操作演習では、特に利用ユーザーがつまづく点が多いので、以下のような事前の呼びかけと準備をしておくといいでしょう。ここでも、単なる操作説明に終始せず、Sales Cloud活用によるメリットを訴求することを意識してください。Sales Cloudには作業効率を上げるために十分な機能が備わっています。ぜひ後述の”学習コンテンツ”を使って機能について学習いただき、メリットの訴求を意識ください。⑤展開スケジュール実際にデータ入力を開始し、過去のExcel案件表を廃止するまでのスケジュールや、運用開始後の機能改善予定があれば共有します。段階的にリリースするようなプロジェクトの場合にもここで説明します。⑥問い合わせ方法問い合わせ先はChatterグループがおすすめです。過去の問い合わせ情報を残せるため、利用ユーザーは過去の問い合わせ内容を検索することができます。ただしログイン関連の問い合わせの場合、利用ユーザーはChatterを利用できない状態にありますので、別途問い合わせ先を指定する必要があります。下図のイメージで問い合わせ先を整理ください。トレーニングに向けた準備上述のトレーニングを実施する場合、それぞれ以下の準備作業が必要です。経営層からのコミットメント経営層の巻き込み導入目的・実現プランの説明「目標達成のためにやるべきこと検討しましょう」の確認と実施”やめられること”(Sales Cloud活用によるメリット)の整理運用ルールの説明「運用のルールを策定しましょう」の確認と実施操作演習作業効率向上を実現する標準機能の学習操作演習に向けた準備展開スケジュール展開スケジュールの整理問い合わせ方法問い合わせ方法の整理学習ツールより詳しく知りたい方は、エキスパートコーチングのオンデマンド動画をご視聴ください。Premier Success Planをご契約のお客様は、動画視聴後1対1のフォローアップセッションにお申し込みいただけます。エキスパートコーチング:活用度向上支援(SFA 運用ルール、トレーニング、定着化プラン)また、以下の動画コンテンツもあわせてご利用ください。オンデマンド動画:“成功”の秘訣シリーズVol.2 早期に定着化を実現させるポイントオンデマンド動画:少しの工夫で劇的に変化!作業効率向上を実現するSalesforce標準機能 (参照・共有編)まとめユーザートレーニングで伝達すべき内容は理解できましたか?以下の内容を改めて整理しておきましょう。トレーニングは以下6つの構成で実施①経営層からのコミットメント②導入目的・実現プランの説明③運用ルールの説明④操作演習⑤展開スケジュール⑥問い合わせ方法トレーニングにより利用ユーザーに腹落ちしてもらうことで、入力の目的意識を醸成するユーザーにとってのメリットについても訴求し、入力への抵抗感を少なくするご不明点やエラーの解消が必要な場合は、弊社テクニカルサポートにお問合せください。弊社サポートエンジニアが貴社のSalesforce環境を確認の上、具体的な手順をご案内いたします。ナレッジ記事:Salesforce カスタマーサポートへの問い合わせ次は、運用テストと修正について学びましょう!次の記事:運用テストと修正を行いましょう「活用7ステップ」全体に戻りたい場合はこちら
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Account Engagement マーケティングデータ共有機能について
この記事で学べることAccount Engagement Advanced エディション以上で利用可能な「マーケティングデータ共有」機能について理解する「マーケティングデータ共有」機能を利用して、Account Engagement アカウントに同期する Salesforce レコードの選択・制御方法を理解するはじめにAccount Engagement を利用するにあたり、CRM としての Salesforce にあるリードまたは取引先責任者レコードを、プロスペクトレコードとして MA ツールである Account Engagemen へ同期させることで、マーケティング活動から営業活動まで一気通貫で業務を遂行したり、リード獲得から商談成立までのマーケティング ROI 分析が可能となります。Salesforce で作成されたリードまたは取引先責任者レコードを Account Engagement へプロスペクトとして同期させるには、以下の条件を満たす必要があります。Account Engagement 側のコネクターが接続済みであることAccount Engagement 側のコネクター設定にて「Salesforce でプロスペクトがリードまたは取引先責任者として作成されている場合は、Account Engagement にプロスペクトを自動的に作成する」オプションが有効化であることSalesforce リードや取引先責任者レコードにメールアドレスが入力されていることデフォルトでは、上記条件を満たす全てのリードや取引先責任者レコードが、コネクター接続中の Account Engagement ビジネスユニット(複数の場合はいずれか)へ同期されますが、B2B/B2C ビジネスモデル別、商品・サービスのブランド別などの理由から、マーケティング活動を行う対象のレコードのみを適切なビジネスユニットへ同期させたい場合もあります。そこで活用できるのが、Advanced エディション以上で利用可能な マーケティングデータ共有 機能です。マーケティングデータ共有の仕組みマーケティングデータ共有機能は、Salesforceに作成したリードと取引先責任者レコードを、Account Engagement へ同期させるか否か、また、複数のビジネスユニット を利用する環境においてはどのビジネスユニットに同期させるかを制御する機能です。具体的には、各ビジネスユニットのコネクター設定における定義と、作成する Salesforce レコード側のマーケティングデータ共有制御用の項目の値によって、同期の有無や同期先ビジネスユニットを制御します。イメージ図:また当機能は、Account Engagement の Advanced エディション以上で利用可能です。設定の流れは以下の通りです。*注意設定後、ルール定義や制御用のレコードの項目値に応じて、各ビジネスユニットの既存プロスペクトがごみ箱にアーカイブされたり、別ビジネスユニットに新規作成されるなど広く同期処理が実行されますため、作業は業務影響の少ないタイミング(休日夜間など)での実施をお勧めします。Salesforce の リード と 取引先責任者、商談オブジェクトおよび任意でカスタムオブジェクトそれぞれに対して、マーケティングデータ共有の条件指定用項目を作成する(ヘルプ)(既に同期先ビジネスユニットや非同期を指定可能な値を持つ項目(例:レコードタイプや担当部署など)がある場合はその利用も可能)リードと取引先責任者オブジェクトの両方に同じ名前(ラベル名およびAPI参照名)で作成する意図しない値の入力を防ぐため [値セットで定義された値に選択リストを制限します] オプションを有効にした選択リスト型の利用を検討する(例:値1=BU1、値2=BU2、値3=DoNotSync)必要に応じて、デフォルト値の定義 (レコード作成後に同期先を選択する運用の場合は、デフォルト値を未同期用の値(例:DoNotSync)にする、など)を検討する(ヘルプ)インテグレーション(コネクター)ユーザーに対し、当該項目への編集権限を付与する(ヘルプ)AccountEngagementと同期設定されている項目はMDS条件に利用できないため、Account Engagement 側には項目は作成しないSalesforce 各レコードのマーケティングデータ共有用の項目に、希望する同期先ビジネスユニットや未同期を指定する値を正確に入力する一括更新を行う場合は インポートウィザード または データローダ などの一括更新機能を利用する値は、同期させたい対象ビジネスユニットを示すもの(非同期を指定するための値がある場合はその値)で、正確に入力するビジネスユニット(複数ある場合は全て)でコネクターを一時停止するヘルプを参考に、各ビジネスユニットの Salesforce コネクター設定にて、マーケティングデータ共有を設定する定義できるルール形式は、カスタム項目|一致する|<値> のみ定義できるルールは、オブジェクトごとに 1 ルールのみ1-e に記載の通り、マッピング済みの項目は選択不可ビジネスユニット(複数ある場合は全て)でコネクターを再開する設定例:考慮事項(詳細はこちら)*画像クリックで拡大可能学習ツールTrailhead:Pardot ビジネスユニットを設定するヘルプ:マーケティングデータ共有---抜粋---使用可能なエディション: 2019 年 2 月 12 日より後に購入またはアップグレードされた Account Engagement Premium Edition および Account Engagement Advanced Edition の Account Engagement Lightning アプリケーション-------------サクセスナビ:初期設定を完了しましょうまとめ本記事では、どの Account Engagement ビジネスユニットにどの Salesforce レコードを同期させる、あるいはさせない制御を可能とするマーケティングデータ共有機能について解説しました。運用方法や他社事例などについてご質問がございましたら、 Account Engagement(旧Pardot) 日本 グループまたは質問広場~初心者から上級者まで~ 日本 グループにてご質問ください。なお、当機能は Advanced エディション以上向けとなりますため、ライセンスのアップグレードなどご検討の際は弊社担当営業までお問い合わせください。個別の技術的なご質問がございましたら、ヘルプ & トレーニングより弊社サポートへお問合せください。
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連載:『営業改革のコンパス~規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計~』vol.10
営業改革プロジェクトでは、どんな困難に直面するのか? 営業改革であっても新製品開発であっても、プロジェクトというものは組織のなかで日常業務とは異なる特別なことを行うものです。多くの場合、プロジェクト・メンバーの中にその経験者は存在せず、複数の部門からプロジェクト担当者が臨時に集まって構成されます。プロジェクトによっては、専任担当者もいれば兼任担当者も存在し、モチベーションや認識、優先順位に違いも少なからず発生します。その中でもステークホルダーが多く、社内でもひときわ声の大きく、往々にして強い立場にある営業部門の改革を行おうというのが営業改革プロジェクトです。「いまの営業部門にいったい何の問題があるんだ」「もっとインセンティブを増やすか、営業経費の枠を大きくしてくれれば、結果は出せる」と、従来のやり方を変えることへの抵抗感もひときわ強くなるでしょう。それでも改革をやり遂げるには、営業に関する既存の枠組みを理解し、不要な慣習を壊し、新しい営業の枠組みを作り、現場の担当者に納得してもらい、新しい働き方を浸透させるという長い道のりであることを覚悟しなくてはなりません。営業改革は通常、以下のステップで進みます。ステップ1 プロジェクトの発足とゴール・ビジョンの設定ステップ2 チームの結成、チーム・メンバーの選定ステップ3 改革方針・内容の決定、業務の標準化とKPIの設定ステップ4 実現のための情報プラットフォーム(ITシステム)の選定ステップ5 社内教育トレーニングの企画・パイロットの実施ステップ6 KPI見直し・チューニングステップ7 定着化・展開実際に営業改革を行った企業も概ね同じような形で改革に取り組んでいます。その過程ではさまざまな困難に直面しますが、この章では、特にポイントとなる要素について説明したいと思います。それを念頭に置いて、改革の事例を見ていくと、各企業がどのような状況に置かれ、どのような工夫をしたのかが把握しやすくなるでしょう。まず、「プロジェクトの発足とゴール・ビジョンの設定」について解説していきましょう。ステップ1 プロジェクトの発足とゴール・ビジョンの設定 「今のままでは以前のように売れないし、営業担当者が疲弊するばかり。何かしなくてはいけない」という危機感を抱きつつも、営業改革プロジェクトの開始にまでなかなかこぎつけられない。「何をきっかけに、プロジェクトを発足させればよいのか」と、悩んでいる方も多くいらっしゃると思います。こちらのグラフは営業改革にある程度の関心を持ちセミナーに申し込まれた1,476人のアンケート結果です。営業改革を行う上でどのような情報を求めているかを聞いたところ、「営業改革プロジェクト発足のきっかけ、ビジョンとゴール」と「分析、KPIと日々のオペレーション」に回答が多く見られました。営業改革プロジェクトのきっかけに悩んでいらっしゃる企業担当者はかなりの割合です。自身は危機感を持っているが、なかなか周囲の理解を得られない。これまでのやり方を変えなくてはならないけれども、具体的に何から手を付け、どのように進めていけばよいのかわからない……。そのような気持ちが透けて見える結果です。多くの場合、営業改革プロジェクトが発足するのは自社にとってインパクトのある、何らかの出来事が契機となります。たとえば、M&Aを行い、買収した企業とのシナジー効果を出すために、営業プロセスを統一する必要が出た。あるいは、経営者や事業責任者が交代し、これまでとは違うマーケットに展開することが決まったので、関連する営業戦略や販売プロセス、代理店施策に変更を加えなくてはならなくなった。このように何らかの新しい状況が生まれ、経営者が問題意識を持ったり、機会や脅威を見出すなどして、改革の号令が発せられます。実際、社内でも強い立場にある営業部門を改革するのは、トップダウンで始まることが多いようですが、一部には、新たな状況に危機感を抱いたマネージャーなどの有志が上層部に働きかけ、企業全体に広げていくこともあります。こうしたボトムアップ型のときには有力な後ろ盾(社長、役員、営業部門長など)に十分な根回しを行い、改革の内容、進め方などを十分理解し納得してもらい、援護射撃をしてくれる状況をつくることが重要になります。ここで大切なのは、トップ “ダウン”にしても、ボトム“アップ”にしても、きちんと上層部(トップ)と現場(ボトム)が危機感を共有することです。次に営業改革プロジェクトのビジョンや目指すべきゴールについて考えてみましょう。どのようなプロジェクトであっても、目指すべきビジョンやゴールがなければ改革への抵抗に負け、空中分解する可能性があります。営業のビジョンを決め、何をもって営業改革プロジェクトの成功とするのか。それを決めないことにはプロジェクトにはならないと考えられます。「2年以内に売上を30%上げる」「新しいデータに基づいた営業スタイルを確立する」「分業体制を確立し、インサイドセールスチームが作成する案件数を全体の25%以上にする」など、営業改革プロジェクトにはビジョンやゴールが必要です。ただ、実際に営業改革を行なった企業に取材をしてみると、具体的な数値目標を掲げプロジェクトをスタートした企業はそれほど多くはありませんでした。ステップ3「方針決定、ビジョンやゴールの設定、価値観のすり合わせ」のパートでイメージ作りが行われるなど、プロジェクトを進めながら決めていく企業がほとんどでした。またそこでも数値は出さず、まずは新しいやり方に変えて、その後どの数値を改善していくかを決めるやり方を行っている企業もありました。これは、数値は無くてもいいということではないと思います。これまでのやり方で各種数値が計測されていない場合、新しい目標数値が適正かどうかこの時点ではわかりません。この段階で無理して数値目標を決めるよりも、まずは営業活動を可視化し、現状の数値を正しく計測するところから始めるという方針なのだと思います。また、会社の文化として「日々改善」といったものがあれば、「常に改善していく」という意識が全社員に根付いていますので、わざわざ目標数値を設けるのではなく、これからの方向性を示すことでどこに向かって改善していけばいいかがわかり、具体的な改革が進むようになるのではないかと感じました。次回は、営業改革プロジェクト ステップ2 チームの結成・メンバーの選定以降について解説していきます。公開は11/11(木)を予定しております。著者:田崎純一郎(たさき じゅんいちろう)セールスフォース・ドットコムセールスイネーブルメントシニアディレクター————————————————完全版eBookをダウンロード提供中本連載『営業改革のコンパス~規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計~』第3章(Vol. 10〜13の記事)は、完全版のeBookにまとめています。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第3章 ダウンロードはこちら 】Vol. 6~9の記事は第2章の内容になります。第2章のeBookにて完全版を公開しております。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第2章 ダウンロードはこちら 】Vol. 1〜5の記事は第1章の内容になります。eBookにて完全版を公開しております。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第1章 ダウンロードはこちら 】連載記事<第1章>Vol. 1 営業改革で解決したい課題は何か - 営業組織の規模と営業改革テーマVol. 2 営業マネジメント50人の壁 ― 営業支援システムの導入率からみる営業組織の課題Vol. 3 営業組織の規模によって異なる課題感 ― データの収集と活用Vol. 4 現場が見えなくなる中規模組織Vol. 5 使いこなせていない51名以上の営業組織は「営業案件の可視化やパイプライン管理ができていない」<第2章>Vol. 6 営業活動は不完全情報ゲームVol. 7 営業を“群衆”ではなく“組織”に -情報を使って160時間の使い方を最適化Vol. 8 営業情報は製品中心ではなく「顧客データを中心」にフロントとバックをつなげるVol. 9 作ったものを売る営業から、売れるものを作る会社へ<第3章>Vol. 11 チームの結成・メンバーの選定 ~ 方針決定、ビジョンやゴールの設定、価値観のすり合わせVol. 12 情報プラットフォーム(ITシステム)選定 ~ 組織変更の実施、教育・社内トレーニングVol. 13 KPI、データ分析と活用 ~ 定着化と展開<関連セミナーご案内>Salesforceでは、営業改革をサポートするウェブセミナーをご用意しています。あらゆる企業規模・業界において営業マネージャーの方々がどのようにSalesforceを活用すべきかをご紹介します。ぜひご活用ください。https://successjp.salesforce.com/article/NAI-000042
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連載:『営業改革のコンパス~規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計~』vol.11
前回Vol. 10 に続いて、上記の図「営業改革プロジェクトの標準的なプロセス」からステップ2 チーム結成・メンバーの選定以降を解説していきます。ステップ2 チームの結成・メンバーの選定 「営業が強い」とされる組織であればあるほど、経営者や営業担当役員など上層部が強い意志を持って、オーナーとして関与しない限り、改革をやり遂げられません。実際、「営業改革を実施する」と号令を発するプロジェクト・オーナーは、経営トップや役員が多いようです。その後、多くの企業では経営企画部や営業推進部からプロジェクト・リーダーやメンバーが選出され、プロジェクト・チームが作られます。メンバーは専任で選ばれる場合もあれば、兼任の場合もあります。理想的なのはメンバーがプロジェクトに専念できる形ですが、コアメンバーでない限り、兼任メンバーとして各部門長やリーダーが集まり、営業改革の具体的な方向性を議論し、現場浸透を推進する役割を担うことが多いのが実態です。営業改革のコアメンバーは5名ほどで、10名を超える企業はまれです。なお、兼任者がプロジェクトにかけている工数は、だいたい1週間に6時間程度(2時間×3日、もしくは3時間×2日)で、数カ月続けることが多いようです。この中で、営業業務の調査・整理、営業プロセスの作成やフェーズの定義、トレーニング計画の立案などをおこなっています。では、具体的にどのような人物がチーム・メンバーに選定されているのでしょうか。プロジェクトや営業現場の経験があるか、ITリテラシーや分析能力はどうかなど、さまざまな選定基準が考えられますが、多数のプロジェクトを見る中で、成功している事例には次のような特徴が見られました。まず、プロジェクト・リーダーですが、力強く周囲を巻き込んでいくタイプ、淡々と仕事を進めるタイプ、現場に積極的に出ていくタイプ、メンバーの後ろで見守るタイプなど、リーダーシップスタイルそのものは千差万別でした。ただ、共通するのは「絶対に成功させるんだ」という熱い思いを持ち、ブレない強さを持っていること。どのプロジェクト・リーダーも、現場の反発やITシステムのトラブルなどの諸問題に直面したときに、メンバー任せにするといった中途半端な対応をとらず、日々現場で顧客を相手に頑張っている営業担当者の立場で考え、優先順位を決めて行動していました。ステップ3 方針決定、ビジョンやゴールの設定、価値観のすり合わせプロジェクトの重要なポイントとなるのが、「方針決定、ビジョンやゴールの設定、価値観のすり合わせ」です。ここがまさに改革方針の決定段階であり、営業改革をすることで、「具体的にどのような営業スタイルになるのか」「これまでできなかった何が実現できるようになるのか」「自分たちにどのようなメリットがあるのか」を明確にしていきます。改革方針は企業の置かれた状況によって大きく変わってくるでしょう。プロジェクト発足のきっかけは似たようなものであったとしても、改革の方針や道筋は企業によってさまざまだと思います。基本的な「見える化」と呼ばれる営業現場の透明性の確保については、どの企業も最初にあたりまえのように出てくるキーワードですが、業界内の順位、顧客からの評価、ビジネスモデル、自社特有の営業風土やこれまでの取り組みの歴史によってその後のアプローチは変わってきます。自社の営業はどうあるべきなのか、そのために必要なスキルはなんなのか、数年後の自社の営業像をすり合わせます。まさに新たな営業部門の「価値観」が決められる段階です。この段階で行ういくつかの施策をご紹介します。・顧客インタビュー改革の方向性のヒントは顧客にあります。これまで長期にわたって取引をしていただいている顧客や、つい最近取引を開始していただいた顧客、逆に離れてしまった顧客などに、「なぜ自社を選んだのか」「改善点はどこか」「営業に求めることはどのようなところがあるのか」をヒアリングしていきます。・営業現場のインタビューと業務調査営業現場のインタビューと業務調査の目的は大きく2つ。「業務の実態を把握し、改善点を見つけること」で現在の営業担当者やマネージャーの業務を実態調査、改善策につなげる。「現場のリーダーを見つけること」で改革を進めていく中で力になってくれる候補をリストアップしていきます。・ビジョン設定を目的としたワークショップ顧客インタビューや営業現場のインタビューと業務調査の後は、あるべき営業の姿や新しい業務フローなどを作る過程に入ります。この段階で現場を巻き込んだワークショップ形式で新しいアイデアを集めることをお勧めいたします。ワークショップにはたくさんのやり方がありますが、ここでは重要と思われるワークショップをご紹介します。ワークショップ1:カスタマージャーニーマップワークショップ顧客視点で自社のWebサイトや提案書を見てみると、改善すべき顧客との接点や、スピード感が足りない所などがわかります。営業として顧客に対面する前の段階で、顧客はどのように自社を見ているのかをあらためて見直すきっかけにもなるでしょう。ワークショップ2:営業プロセスの標準化、フェーズ作成ワークショップ顧客の立場になって自社を見つめた後は、自社の業務フローや営業プロセスについて考えます。「新規顧客と既存顧客」「直接販売と間接販売」などで考慮すべき点があれば、そのフローや注意点を書き出します。その上で案件のフェーズと確認項目を決めます。その内容は営業マニュアルを作成する際に活用し、ある程度の期間実行した後に現場の意見を反映しながら修正していきます。ワークショップ3:KPIダッシュボード作成ワークショップ営業部門が新しい営業スタイルを実行し、きちんと結果に結びついているかを確認するのがダッシュボードです。いわゆる分析ツールで、経営者向け、営業マネージャー向け、営業担当者向けなどに最適化することができ、目標の達成状況や、抜け漏れなどを確認することが可能になります。・営業の業務整理、ルールの作成、その他ワークショップの結果を反映した業務フロー図の作成を行います。最終的に、「営業がやるべき仕事とそうでない仕事」「新しい組織構成」などにも踏み込む必要があるでしょう。事例で取り上げた企業では、かなりの割合でこの業務整理を行い、営業から事務作業を減らし、顧客への時間を増やしていました。次回は、営業改革プロジェクト ステップ④情報プラットフォーム(ITシステム)選定以降について解説していきます。公開は10/18(木)を予定しております。著者:田崎純一郎(たさき じゅんいちろう)セールスフォース・ドットコムセールスイネーブルメントシニアディレクター————————————————完全版eBookをダウンロード提供中本連載『営業改革のコンパス~規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計~』第3章(Vol. 10〜13の記事)は、完全版のeBookにまとめています。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第3章 ダウンロードはこちら 】Vol. 6~9の記事は第2章の内容になります。第2章のeBookにて完全版を公開しております。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第2章 ダウンロードはこちら 】Vol. 1〜5の記事は第1章の内容になります。eBookにて完全版を公開しております。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第1章 ダウンロードはこちら 】連載記事<第1章>Vol. 1 営業改革で解決したい課題は何か - 営業組織の規模と営業改革テーマVol. 2 営業マネジメント50人の壁 ― 営業支援システムの導入率からみる営業組織の課題Vol. 3 営業組織の規模によって異なる課題感 ― データの収集と活用Vol. 4 現場が見えなくなる中規模組織Vol. 5 使いこなせていない51名以上の営業組織は「営業案件の可視化やパイプライン管理ができていない」<第2章>Vol. 6 営業活動は不完全情報ゲームVol. 7 営業を“群衆”ではなく“組織”に -情報を使って160時間の使い方を最適化Vol. 8 営業情報は製品中心ではなく「顧客データを中心」にフロントとバックをつなげるVol. 9 作ったものを売る営業から、売れるものを作る会社へ<第3章>Vol. 10 営業改革プロジェクトでは、どんな困難に直面するのか?Vol. 12 情報プラットフォーム(ITシステム)選定 ~ 組織変更の実施、教育・社内トレーニングVol. 13 KPI、データ分析と活用 ~ 定着化と展開<関連セミナーご案内>Salesforceでは、営業改革をサポートするウェブセミナーをご用意しています。あらゆる企業規模・業界において営業マネージャーの方々がどのようにSalesforceを活用すべきかをご紹介します。ぜひご活用ください。https://successjp.salesforce.com/article/NAI-000042
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連載:『営業改革のコンパス~規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計~』vol.7
営業を“群衆”ではなく“組織”に -情報を使って160時間の使い方を最適化元来営業活動は情報戦ですが、現代の営業活動はITを使った高度な情報戦に変化しつつあります。21世紀において、機械やロボットの無い製造革命はありえないのと同じように、ITの無い営業改革もありえません。ただ営業改革とは単に新しい営業プロセスや営業支援ツールを導入することではありません。顧客が変化したいま、顧客中心の発想に立って従来の営業活動を見直し、情報に基づいて営業担当者が行動できる「環境」や「仕組み」を整えることです。企業の営業力は、営業個々人の能力だけなく、企業としてその営業組織に与えている製品や組織構成、文化にも左右されます。企業ブランド、企業文化、製品やサービス自体が持つ競争力、営業戦略、組織構成、業務範囲、給与のインセンティブ設計、経費の予算、提供しているPCやスマートフォンのスペック、座席の配置など、そのすべてが企業の営業力を決める要因になりうるのです。営業改革によって営業組織を取り巻く環境や仕組みを変える場合、その新たな環境や仕組みは社内の都合が優先されたものではなく、顧客のためのものでなければなりません。社内の業務手続きも、顧客のために連携がとれるような新たな仕組みにつくり替えていく必要があります。しかし、この改革には少なからず懐疑的な見方をする社員も存在します。場合によっては、古き良き昭和の営業スタイルに固執し、あからさまな抵抗を行う社員でも出てくるでしょう。「そんな改革は時期尚早だ」「ここまでできなければやる意味がない」「これまでやれてきていたのに、なぜ変える必要があるのだ」など、先延ばしにする抵抗はさまざまです。営業改革プロジェクトを進める上で、プロジェクトメンバーはこのような抵抗勢力と対話をし、理解を求め、時には戦わなければいけません。そのような時には、何事も原理原則に戻ることが重要です。自社の営業とは何のために存在するのか、企業ビジョンを実践するためにどうあるべきか。その認識が曖昧だと、現状維持派に付け込む隙を与えてしまいます。改革の推進者であるならば、ビジョンや原理原則を社内の誰にでもわかるように話せなければなりません。では、そもそも企業において営業の役割や求められていることはなんでしょうか。それは、会社の代表として顧客と接し、さまざまな手段を使って顧客の購買の支援を行い、顧客と自社に利益をもたらすことです。別にとりたてて特別なことは何もありません。しかし、どのような企業であっても、ヒト、モノ、カネに加え、時間・情報など資源に制約があります。その中で正確な売上予測を行い、それに基づいた投資と人材教育を行わなければ、利益や結果は運任せとなり、安定した会社経営は望めません。正確な売上予測を行うには、営業担当者がどこに行くのか、どの条件を優先的に追うのかなど、一定のルールに基づいた営業活動を行い「資源の浪費」を防ぐ必要があります。ここでいう資源とは営業一人一人がもつ「時間」のことです。営業担当者が活動できる時間は1日8時間、1カ月で20営業日とすると、月に160時間しかありません。営業担当者やマネージャーは限られた情報を手掛かりに、限られた時間をどの顧客や案件に振り向けるのか判断をしなければなりません。また、個人の能力には通常凸凹があります。なんでもできるスーパーマンはほとんどいません。よって、それぞれの得意・不得意を見極めて、互いに補完し合える体制にしていくことも大切です。企業は営業担当者の属人的スキルに頼り、良くも悪くも個人の努力や運任せの状態を放置したままでは、「営業“組織”」ではなく、「営業の“集団”」か「営業の“群衆”」となってしまいます。営業組織の構成員であれば、どの担当者もある程度のパフォーマンスを出せる環境を作ってこそ規模拡大や成長を遂げられるのです。様々な制約がある中で、資源の浪費を防ぎ結果を出すためには、営業情報を適切に管理しなければなりません。営業情報を適切に管理することで、資源の浪費を防ぎ、企業の販売能力を大きく高めることが可能になります。次回は、営業情報を適切に管理した際に、売上が立つために鍵となる顧客に関する情報管理について解説していきます。公開は11/18(木)を予定しております。著者:田崎純一郎(たさき じゅんいちろう)セールスフォース・ドットコムセールスイネーブルメントシニアディレクター————————————————完全版eBookをダウンロード提供中本連載『営業改革のコンパス~規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計~』第3章(Vol. 10〜13の記事)は、完全版のeBookにまとめています。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第3章 ダウンロードはこちら 】Vol. 6~9の記事は第2章の内容になります。第2章のeBookにて完全版を公開しております。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第2章 ダウンロードはこちら 】Vol. 1〜5の記事は第1章の内容になります。eBookにて完全版を公開しております。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第1章 ダウンロードはこちら 】連載記事<第1章>Vol. 1 営業改革で解決したい課題は何か - 営業組織の規模と営業改革テーマVol. 2 営業マネジメント50人の壁 ― 営業支援システムの導入率からみる営業組織の課題Vol. 3 営業組織の規模によって異なる課題感 ― データの収集と活用Vol. 4 現場が見えなくなる中規模組織Vol. 5 使いこなせていない51名以上の営業組織は「営業案件の可視化やパイプライン管理ができていない」<第2章>Vol. 6 営業活動は不完全情報ゲームVol. 8 営業情報は製品中心ではなく「顧客データを中心」にフロントとバックをつなげるVol. 9 作ったものを売る営業から、売れるものを作る会社へ<第3章>Vol. 10 営業改革プロジェクトでは、どんな困難に直面するのか?Vol. 11 チームの結成・メンバーの選定 ~ 方針決定、ビジョンやゴールの設定、価値観のすり合わせVol. 12 情報プラットフォーム(ITシステム)選定 ~ 組織変更の実施、教育・社内トレーニングVol. 13 KPI、データ分析と活用 ~ 定着化と展開<関連セミナーご案内>Salesforceでは、営業改革をサポートするウェブセミナーをご用意しています。あらゆる企業規模・業界において営業マネージャーの方々がどのようにSalesforceを活用すべきかをご紹介します。ぜひご活用ください。https://successjp.salesforce.com/article/NAI-000042
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連載:『営業改革のコンパス~規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計~』vol.6
営業活動は不完全情報ゲームみなさんは「完全情報ゲーム」と「不完全情報ゲーム」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。完全情報ゲームとは簡単に言うと、将棋や囲碁のように、対戦相手の情報も含めてすべてが見えている状態で行うゲームのことです。一方、不完全情報ゲームとは、マージャンやポーカーのように、自分の牌やカード以外は見えず、一部の開示されている情報をもとに推理して進めていくゲームのことです。相手の牌やまだめくられていない牌を想像しながら進めますが、必ずしも予定通りにはいかず、勝負は運しだいだということもできます。不完全情報ゲームは、完全情報ゲームと比較して運の要素は多いですが、それでも実際に勝率の高い人は存在します。強いプレイヤーは運任せにせず、できるだけ情報を集め、計算し、確率をわかった上で行動しています。それが、長い目で見れば常勝の結果となるのです。では営業活動は「完全情報ゲーム」でしょうか?「不完全情報ゲーム」でしょうか?私は「不完全情報ゲーム」に近いのではないかと思います。顧客の社内事情は見えないものが多いだけに、売れなかったのは運だと言い訳することもできるでしょう。しかし、営業の世界でも成績のいい人は「運」だけではない勝ち方をしています。そして、その違いは「情報」の扱い方にあるのではないかと思います。現代の営業活動は情報武装しなければ戦えない世の中の営業関連書籍は大きく2つの方向性があります。1つ目は個人の営業力を高める手法が多く解説されているもの。たとえばトークを長続きさせる方法。お客様と仲良くなるにはどうすればいいのか。いくべき顧客はこう見極める。営業は売るのではなく買っていただくものだ。信頼を得るには挨拶からだ。達成のためには執着心が重要だ、などなど……。営業活動を個人で行うことの多い保険や不動産、自動車の営業には大変参考になるものです。2つ目は企業の戦略に注目した書籍です。「営業戦略」のタイトルにも関わらず、大半がマーケティングフレームワークの解説が占める書籍もあります。組織営業を実践するにはターゲットを決める必要がある。そのためには市場分析と顧客分析が必要だ。ランチェスター戦略、孫子の兵法、STP、イノベーション理論、パレートの法則などを使って顧客をどのように分類し、営業活動を行うかが重要である……。これらはどれも間違ってはいません。すべて実行する事で営業力やマーケティング力は上昇しますし、その結果企業の売り上げは向上するでしょう。だだ営業組織を支える、いわば「売れる環境や仕組み」については情報技術の発達により日進月歩です。例え孫子の兵法を知っていても、ランチェスター戦略を実行しても、笑顔とスーツが最高でも、武器と通信手段が竹ヤリと口頭通信機では令和の時代の戦いに勝てないのです。企業としても営業個々人も、それなりの武器と通信手段を使いこなせなければ、戦略を実行するうえで非常に不利な状況に追い込まれてしまうでしょう。営業組織を支える「売れる環境や仕組み」。この環境を整える事で、個人の才能や努力、運にできるだけ依存しない情報を活用した営業組織が確立できるのではないでしょうか。体重計の無いダイエットはありません。ただ、体重計しかなければ、仮にダイエットに成功したように見えても、大量に汗をかいて脱水状態になっているかもしれません。今はもっと便利なものを使って健康的に痩せることができます。フィットビットやApple Watchでは、脈拍や運動時間、睡眠時間まで詳細に計測できます。体脂肪計から送られる体脂肪率と筋肉量、そして食事のデータを組み合わせることで、無理をしない賢いダイエットが可能になります。現代のダイエットと同じように、営業組織もデータで可視化し、賢い営業活動を実現できたら良いとは思いませんか?次回は、情報を使い営業が持つ時間の最適化について解説してきます。公開は10/14(木)を予定しております。著者:田崎純一郎(たさき じゅんいちろう)セールスフォース・ドットコムセールスイネーブルメントシニアディレクター————————————————完全版eBookをダウンロード提供中本連載『営業改革のコンパス~規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計~』第3章(Vol. 10〜13の記事)は、完全版のeBookにまとめています。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第3章 ダウンロードはこちら 】Vol. 6~9の記事は第2章の内容になります。第2章のeBookにて完全版を公開しております。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第2章 ダウンロードはこちら 】Vol. 1〜5の記事は第1章の内容になります。eBookにて完全版を公開しております。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第1章 ダウンロードはこちら 】連載記事<第1章>Vol. 1 営業改革で解決したい課題は何か - 営業組織の規模と営業改革テーマVol. 2 営業マネジメント50人の壁 ― 営業支援システムの導入率からみる営業組織の課題Vol. 3 営業組織の規模によって異なる課題感 ― データの収集と活用Vol. 4 現場が見えなくなる中規模組織Vol. 5 使いこなせていない51名以上の営業組織は「営業案件の可視化やパイプライン管理ができていない」<第2章>Vol. 7 営業を“群衆”ではなく“組織”に -情報を使って160時間の使い方を最適化Vol. 8 営業情報は製品中心ではなく「顧客データを中心」にフロントとバックをつなげるVol. 9 作ったものを売る営業から、売れるものを作る会社へ<第3章>Vol. 10 営業改革プロジェクトでは、どんな困難に直面するのか?Vol. 11 チームの結成・メンバーの選定 ~ 方針決定、ビジョンやゴールの設定、価値観のすり合わせVol. 12 情報プラットフォーム(ITシステム)選定 ~ 組織変更の実施、教育・社内トレーニングVol. 13 KPI、データ分析と活用 ~ 定着化と展開<関連セミナーご案内>Salesforceでは、営業改革をサポートするウェブセミナーをご用意しています。あらゆる企業規模・業界において営業マネージャーの方々がどのようにSalesforceを活用すべきかをご紹介します。ぜひご活用ください。https://successjp.salesforce.com/article/NAI-000042
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連載:『営業改革のコンパス~規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計~』vol.4
現場が見えなくなる中規模組織前回 vol.3 に続いて、上記のグラフ「営業組織の規模による課題の違い」から伺える示唆について、もう少し細かく見ていきましょう。 「顧客データを生かした営業活動の効率化ができていない」に次いで多いのは「営業活動の可視化や活動内容のコーチングができていない」です。これは営業組織の人数が増えるごとに大きな問題になっていき、31~50名規模でピークを迎え、その後はなだらかに下がっていっています。SFAを入れるなど何らかの対策をするような51名以上の規模になるまでは、組織が大きくなるごとに混沌としてくる様子が伺えます。その他の規模別の課題その他、特徴的なところは以下になります。・15名までの組織で特徴的な課題・営業部門内で提案書などのノウハウの共有ができていない・資料・見積作成の効率化ができていない16~50名の組織で特徴的な課題・営業活動の可視化や活動内容のコーチングができていない・営業データ全般の分析ができていない・営業案件の可視化やパイプライン管理ができていない・営業組織の規模が大きくなるごとに値が高くなる課題・部門をまたがった情報共有とコラボレーションができていない営業案件の可視化やコーチングに関する問題意識は、営業組織が50人を超えると少し下がっていく傾向が見られます。先に、営業マネジメント50人の壁の話をしましたが、人数が増えるとともにデータが増加・散在していくので、案件管理のためにもSFAが導入され、案件の可視化に関してはこの段階で対処している企業が多いようです。また、営業活動管理の課題感も50人あたりがピークにあるようです。実際、「営業活動の可視化や活動内容のコーチングができてない」「営業データ全般の分析ができていない」という悩みは、50人まで直線的に上がっていきます。組織が大きくなり、営業メンバーが増加すると、個々の営業担当者が何をしているかがが見えなくなるとともに営業マネージャーのコーチングも課題となってくるのです。これが営業組織50人までの典型的な課題だと思われます。おそらく対処の順番としては、15名までの営業組織では提案書・見積書などのファイルベースで行われる作業ノウハウの共有が課題となり、営業部門にファイルサーバーを導入することや、見積・販売管理システムなどで解決。その後、16~50名の組織では営業の個々の活動と案件管理が課題となり、SFA導入で対応となっていると推察されます。51人以降の組織では、各社によって課題感が異なると思われます。後述しますが、SFAを使いこなせていない企業は、この段階でクリアしておくべき課題を解決できていないために、同じ問題を抱えたまま組織人数が大きくなっている可能性があります。次回は、「SFAを使いこなせていない企業は、どこにつまづいているのか」についてお話していきます。著者:田崎純一郎(たさき じゅんいちろう)セールスフォース・ドットコムセールスイネーブルメントシニアディレクター————————————————完全版eBookをダウンロード提供中本連載『営業改革のコンパス~規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計~』第3章(Vol. 10〜13の記事)は、完全版のeBookにまとめています。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第3章 ダウンロードはこちら 】Vol. 6~9の記事は第2章の内容になります。第2章のeBookにて完全版を公開しております。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第2章 ダウンロードはこちら 】Vol. 1〜5の記事は第1章の内容になります。eBookにて完全版を公開しております。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第1章 ダウンロードはこちら 】連載記事<第1章>Vol. 1 営業改革で解決したい課題は何か - 営業組織の規模と営業改革テーマVol. 2 営業マネジメント50人の壁 ― 営業支援システムの導入率からみる営業組織の課題Vol. 3 営業組織の規模によって異なる課題感 ― データの収集と活用Vol. 5 使いこなせていない51名以上の営業組織は「営業案件の可視化やパイプライン管理ができていない」<第2章>Vol. 6 営業活動は不完全情報ゲームVol. 7 営業を“群衆”ではなく“組織”に -情報を使って160時間の使い方を最適化Vol. 8 営業情報は製品中心ではなく「顧客データを中心」にフロントとバックをつなげるVol. 9 作ったものを売る営業から、売れるものを作る会社へ<第3章>Vol. 10 営業改革プロジェクトでは、どんな困難に直面するのか?Vol. 11 チームの結成・メンバーの選定 ~ 方針決定、ビジョンやゴールの設定、価値観のすり合わせVol. 12 情報プラットフォーム(ITシステム)選定 ~ 組織変更の実施、教育・社内トレーニングVol. 13 KPI、データ分析と活用 ~ 定着化と展開<関連セミナーご案内>Salesforceでは、営業改革をサポートするウェブセミナーをご用意しています。あらゆる企業規模・業界において営業マネージャーの方々がどのようにSalesforceを活用すべきかをご紹介します。ぜひご活用ください。https://successjp.salesforce.com/article/NAI-000042
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連載:『営業改革のコンパス~規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計~』vol.3
営業組織の規模によって異なる課題感 ― データの収集と活用今回は、営業組織の規模による課題の違いを見ていきましょう。課題として、上位3つに挙げられたのが、「顧客データを生かした営業活動の効率化ができていない」「営業活動の可視化や活動内容のコーチングができない」「営業データ全般の分析できていない」というものです。こちらは複数回答のため、回答いただいた方の何%がその項目にチェックを行ったかという率のグラフで表現しています。例えば、営業組織6~15名の137名の回答者のうち、59.12%(81名)が「顧客データを生かした営業活動の効率化ができていない」にチェックをつけているという意味になります。顧客データを生かせていない小規模営業組織と大規模営業組織最初に「顧客データを生かした営業活動や効率化ができていない」という回答を見てみましょう。15名までの小規模組織と、401名以上の大規模組織にとっては一番の課題のようです。15名までの小規模組織では、そもそも顧客データの収集・管理を行っていない可能性が高いと思われます。「顧客情報の収集・管理ができていない」の課題意識も401名以上の大規模組織と比べて高く、1つ1つの取引に集中するあまり顧客の情報を整理できていないと思われます。仮に顧客の情報があるとしても企業名と請求先(納品先)のみで、やりとりの詳細はメールボックスの中や個々のPCのファイルの中に存在している状況なのでしょう。これでは次のビジネスを探す際に、複数の顧客の共通した特徴(業種や地域、これまでの取引履歴など)をもとに、自社にとって取引可能性の高い、または利益率の高い顧客を見つけ出すのに時間がかかり、ビジネスが運任せになってしまいます。自社にとって取引可能性の高い企業の特徴がわからないまま、企業データ販売会社のデータを購入したり、テレマーケティング会社に委託したとしても収益への効果は限定されてしまいます。すでに社内には「“受注した”という“正解”」のデータがあるにも関わらず、このデータを生かすことができなければ、見込みのないところに多くの時間をかけてしまう可能性が高くなります。これは収益を目的とする企業にとっては非常にもったいないことです。営業戦略で重要なのは「誰に売るか」であり、ターゲティングがとても重要です。売りたくない相手には売らないくらいの考え方でターゲティングをしないと効率と利益は確保できません。とにかく誰にでも平等に売ろうとする方針の企業もありますが、正当な対価を得るのが難しいにもかかわらず無理をして公平に平等に売る必要はありません。公共の機関ではなく営利企業である以上、利益が確保できる相手に売るのが基本です。この自社データを利用したターゲティングは営業生産性を上げる最も有効な手段ですので、小規模の営業組織にはそこに課題意識があるようです。また、この営業組織人数15名までの回答者の合計203名のなかには、従業員数1,000名以上の企業からも82名の回答がありました。「大企業ではあるが、小規模営業組織の方々」ということです。その中にはITシステム会社、素材メーカーの営業部門、大企業の新規事業と思われる部門の方がいらっしゃいました。上記回答者の組織の中には、これまで特定企業からのビジネスが多くの比率を占めていて顧客情報の収集や、そもそも営業組織自体が必要なかったところもあるでしょう。そのような場合には大企業であろうとこれまで交換した名刺をまとめたり、顧客情報の収集から始めなければなりません。特に大企業の新規事業部門ですが、せっかく大企業の一つの部門にも関わらず、これまでの企業内の情報資産がまとまっていないのか、他部署の情報資産を生かすことができない環境の方もいらっしゃるようです。一方、「顧客データを生かした営業活動や効率化ができていない」課題を抱えている401人以上の大規模営業組織はどうでしょうか。こちらはそれなりにビジネスがうまくいって現在の規模になっているのですから、すでに全国をカバーしていたり海外展開をしている場合が多いと考えられます。そうなると次の市場を探すために、現在の顧客データから有望顧客やホワイトスペースを発見すると同時に、いま顧客や市場が認識していない、つまり顕在化していないニーズを顧客情報から見つけ出す必要があります。他の課題感は比較的低く、営業としてはA製品を購入している企業に追加のB製品を販売するクロスセルや、上位製品に買い換えてもらうアップセルに加えて、失注商談に記録されている顧客が購入しなかった理由から新たな市場ニーズを見つけ出し、新製品や新サービスにつなげていくデータ活用が求められているのではないかと思われます。著者:田崎純一郎(たさき じゅんいちろう)セールスフォース・ドットコムセールスイネーブルメントシニアディレクター————————————————完全版eBookをダウンロード提供中本連載『営業改革のコンパス~規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計~』第3章(Vol. 10〜13の記事)は、完全版のeBookにまとめています。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第3章 ダウンロードはこちら 】Vol. 6~9の記事は第2章の内容になります。第2章のeBookにて完全版を公開しております。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第2章 ダウンロードはこちら 】Vol. 1〜5の記事は第1章の内容になります。eBookにて完全版を公開しております。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第1章 ダウンロードはこちら 】連載記事<第1章>Vol. 1 営業改革で解決したい課題は何か - 営業組織の規模と営業改革テーマVol. 2 営業マネジメント50人の壁 ― 営業支援システムの導入率からみる営業組織の課題Vol. 4 現場が見えなくなる中規模組織Vol. 5 使いこなせていない51名以上の営業組織は「営業案件の可視化やパイプライン管理ができていない」<第2章>Vol. 6 営業活動は不完全情報ゲームVol. 7 営業を“群衆”ではなく“組織”に -情報を使って160時間の使い方を最適化Vol. 8 営業情報は製品中心ではなく「顧客データを中心」にフロントとバックをつなげるVol. 9 作ったものを売る営業から、売れるものを作る会社へ<第3章>Vol. 10 営業改革プロジェクトでは、どんな困難に直面するのか?Vol. 11 チームの結成・メンバーの選定 ~ 方針決定、ビジョンやゴールの設定、価値観のすり合わせVol. 12 情報プラットフォーム(ITシステム)選定 ~ 組織変更の実施、教育・社内トレーニングVol. 13 KPI、データ分析と活用 ~ 定着化と展開<関連セミナーご案内>Salesforceでは、営業改革をサポートするウェブセミナーをご用意しています。あらゆる企業規模・業界において営業マネージャーの方々がどのようにSalesforceを活用すべきかをご紹介します。ぜひご活用ください。https://successjp.salesforce.com/article/NAI-000042
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連載:『営業改革のコンパス〜規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計〜』vol.2
はじめに営業組織の規模によって課題感はどのように異なるのか営業職業従事者は、2021年3月の総務省統計局の労働力調査結果 で、全就業者数6649万人中321万人(4.8%)の職業です。その中でも法人向けビジネスを行っている(BtoB)企業においては、営業は企業の売上や利益を左右する重要部門であり、全従業員中15~40%ほどの比率を占めます。決して小さな組織ではありませんし、企業内での立場も比較的強いと言われる組織です。この営業組織の規模による課題の違いを把握するためにセールスフォース・ドットコムでは、これまで東洋経済新報社と実施したセミナー参加者に営業部門の実態を把握するための詳細なアンケートを実施してきました。ここでは2018年に開催された「東洋経済新報社主催 営業改革のビジネススクール シリーズ営業改革」合計4回の申込者1,760名(のべ2,219名)のアンケート結果を分析し、読み取れる営業組織の実態についてご紹介したいと思います。営業マネジメント50人の壁 ― 営業支援システムの導入率からみる営業組織の課題ベンチャー企業は成長に伴い、従業員30人の壁、50人の壁に直面すると言われます。これは人数が増えると個々人の状況をトップが把握しにくくなり、意思疎通もうまく図れなくなるため組織の運営で混乱が生じるためです。これは営業組織でも同じであり、営業担当者の人数によって抱える課題が異なり、組織構造、仕組み、マネジメント方法などの変更を考える必要が出てきます。こちらのグラフは営業組織の人数によるSFA導入率の違いです。現在の営業の活動、案件、顧客の管理方法について回答いただいたものを、営業組織の大きさごとに「5名まで」「6〜15名」「16〜30名」「31〜50名」「51〜150名」「151〜400名」「401〜1000名」「1001名以上」の8段階に分けました。分析の過程では、営業組織の大きさの区切りを20名や120名など様々な数字で分けてみましたが、大きな差が見られたのはこれらの数字でした。これらの数字は人間の認知範囲の境目といわれます。5人が親友と呼べる人数、15人がそれなりに仲の良い人たち、50人が仲間や協力者のレベル、150人が顔と名前が一致する認知の上限(「ダンバー数」と呼ばれます)、500人がコミュニケーションのとれる知り合いの数。結果的にこれにほぼ準拠する区切り方になりました。このグラフを見ると、営業組織が50名を超えたあたりからSFAの導入率が上がっているのがわかります。その規模までは半数の企業が「Excelや日報、グループウェア等」で管理していますが、50名を超えるSFAの導入に踏み切っているようです。おそらく管理の限界を迎え、SFAの導入にいたるのではないかと推察されます。50名というのは、企業にとっても営業組織にとっても大きな節目なのかもしれません。確かに営業担当者が少人数であれば紙の日報やExcel、グループウェアなどでなんとなく全体の状況は把握できるでしょう。扱っている製品数も少なく顧客数も少ない場合、管理の煩雑さを決めるのは、ほぼ案件数になります。一人当たり常時5件の案件を扱っているとすると、10人の営業であれば合計50件。そのうち少額リピート案件のような比較的手間のかからないものが80%とすれば、営業責任者は10件の案件を注視すればいいのです。しかし、営業担当者が50人を超えるとそれでは破綻します。50人の営業担当者がそれぞれ最低でも3~5案件を扱う場合、全体で150~250案件が常に動いているからです。組織階層も増えるなかで件数も増加し、各案件の進捗状況を聞きながら適切なアドバイスや行動をとるのは大変です。全体を一目で俯瞰でき、営業責任者が関わらなければならない重要案件10件と、営業マネージャーに任せて良いもの、営業担当者に任せて良いものを判別できる環境が欲しくなるのも理解できます。もちろん現在の案件状況の把握だけでなく、売上予測の数字をまとめるのも一苦労でしょう。製品別など縦割り組織で部署間の交流が少なかったり地域が違っていたりすれば、Excelでデータを集約する作業だけでも大変になります。フォーマットを合わせるために時間がかかり、古い情報のまま共有される場合もあるでしょう。営業会議で「実はこの数字は2週間前のでして、最新の数字だと〜」と修正のコメントで埋まってしまうという事態にもなりかねません。会議の生産性はデータの正確性で決まります。実際、そのような集計の煩雑さを理由としてSFAを導入した企業も存在します。しかし、このような問題を解決するためにSFAを導入したからといって安心はできません。51-400名のゾーンでは、全体の24.28%(SFAを導入した企業の50%近く)が「営業支援システムで管理しているが使いこなせていない」と回答をしています。しかも自社のビジネスにあった形で構築したはずの自社開発の営業支援システムでさえ「使いこなせていない」と回答している比率も上がっています。ただ規模がもう1段階上がり、401名以上のところでは「SFAで管理しているが使いこなせていない」という企業は一定数いるものの、その比率は下がっていることがわかります。ここまでのポイントをまとめます。・営業組織の人数が50名を超えるとSFA導入に踏み切る企業が多くなる・しかし、営業組織の人数が50名を超えSFAを導入しても、約半数が「使いこなせていない」と回答している・401名以上の企業は(何らかの形で)管理できている率が高くなっている営業組織の規模によってSFAの導入率が変化していることはわかりました。では、抱えている課題は営業組織の規模によってどのように異なっているのでしょうか。次回はそのあたりを見ていきましょう。著者:田崎純一郎(たさき じゅんいちろう)セールスフォース・ドットコムセールスイネーブルメントシニアディレクター————————————————完全版eBookをダウンロード提供中本連載『営業改革のコンパス~規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計~』第3章(Vol. 10〜13の記事)は、完全版のeBookにまとめています。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第3章 ダウンロードはこちら 】Vol. 6~9の記事は第2章の内容になります。第2章のeBookにて完全版を公開しております。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第2章 ダウンロードはこちら 】Vol. 1〜5の記事は第1章の内容になります。eBookにて完全版を公開しております。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第1章 ダウンロードはこちら 】連載記事<第1章>Vol. 1 営業改革で解決したい課題は何か - 営業組織の規模と営業改革テーマVol. 3 営業組織の規模によって異なる課題感 ― データの収集と活用Vol. 4 現場が見えなくなる中規模組織Vol. 5 使いこなせていない51名以上の営業組織は「営業案件の可視化やパイプライン管理ができていない」<第2章>Vol. 6 営業活動は不完全情報ゲームVol. 7 営業を“群衆”ではなく“組織”に -情報を使って160時間の使い方を最適化Vol. 8 営業情報は製品中心ではなく「顧客データを中心」にフロントとバックをつなげるVol. 9 作ったものを売る営業から、売れるものを作る会社へ<第3章>Vol. 10 営業改革プロジェクトでは、どんな困難に直面するのか?Vol. 11 チームの結成・メンバーの選定 ~ 方針決定、ビジョンやゴールの設定、価値観のすり合わせVol. 12 情報プラットフォーム(ITシステム)選定 ~ 組織変更の実施、教育・社内トレーニングVol. 13 KPI、データ分析と活用 ~ 定着化と展開<関連セミナーご案内>Salesforceでは、営業改革をサポートするウェブセミナーをご用意しています。あらゆる企業規模・業界において営業マネージャーの方々がどのようにSalesforceを活用すべきかをご紹介します。ぜひご活用ください。https://successjp.salesforce.com/article/NAI-000042
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この記事で学べることHyperforceの概要Hyperforceとは何か Hyperforceの利点Hyperforceの構成Hyperforce移行時のアクション移行時に確認が必要な内容SandboxのHyperforce移行についてHyperforceの概要Hyperforceは新しい製品や機能の名前ではありません。Hyperforceは皆様ご存知のパブリッククラウドパートナーが提供しているインフラ上に開発・構築された、新しいプラットフォームアーキテクチャ、皆様のSalesforce組織が動く基盤です。新しいHyperforceのアーキテクチャを使うことで、Salesforceは、新しい機能の開発や既存機能の拡張という形で製品のイノベーションと、それをお客様に提供することに注力することができるようになると考えています。それに伴い、私達が最も大切にしているカスタマーサクセス、お客様のビジネスの成功を加速させていけると考えています。上記スライドが、現在皆様の組織が稼働しているファーストパーティのデータセンター(左)とHyperforce(右)の違いのイメージになります。現在は、皆様がご利用のSales CloudやService Cloud、Experience CloudといったCRM製品は、日本のデータセンターで稼働していますが、一部の製品は海外のデータセンターで稼働しており、APIを使用して統合されている場合があります。またファーストパーティと Hyperforce の比較時に注目すべき重要な点は、データセンタープロバイダの進化です。物理インフラストラクチャを独自に実行する必要がなくなり、代わりにパブリッククラウドプロバイダのハードウェア上でサービスを実行します。これにより、独自に制御するレイヤ (プラットフォーム、クラウド、機能) に焦点を絞り、それらの準拠と安全性を確保し、お客様のニーズを満たすことが可能となります。ご参考ナレッジ記事) Salesforce インスタンスの場所自分の Salesforce 組織が使用しているインスタンスを表示するHyperforceの利点は、世界で最も信頼されているパブリッククラウドを使用して、あらゆる場所からビジネスを実行できることです。具体的な利点5点は以下の通りです。データレジデンシーHyperforceでは、ローカルのデータ保存および処理オプションが提供されるため、お客様はローカル規制に準拠することができます。拡張性AWSなどのサービスを利用することで、お客様のビジネスニーズに合わせて、必要な時に拡張性がある状態で最新のハードウェアを利用いただけます。セキュリティHyperforceには、現在のプラットフォームで得たセキュリティに関するベストプラクティスが組み込まれています。また、最小権限による管理、ゼロトラスト原則、Infrastructure-as-Codeなどの業界有数の機能を搭載しており、データは転送時も保管時も暗号化されます。また、Hyperforceには、現在海外のデータセンターで稼働している製品も統合される予定です。これにより全製品に共通して高いセキュリテイを担保できるので、お客様の大切なデータを安全に保護することが可能となります。プライバシーHyperforceは、お客様のデータの透明性と管理を可能にする包括的なプライバシー標準を提供します。最新のプライバシープログラムの認定状況は、「クラウドを対象とするコンプライアンス」のサイトよりご確認いただけます。俊敏性現在、Hyperforceで、ゼロダウンタイムの更新に取り組んでいます。これにより、チームの生産性が向上するだけでなく、競争上の優位性も生まれます。また、AWSとの優れた相互運用性も実現しています。Hyperforceの各種データシートは、「Hyperforce: Public Cloud Infrastructure」(英語)のサイトよりダウンロードいただけます。ご参考ナレッジ記事) Hyperforceのご紹介Hyperforce について - 一般情報と FAQHyperforceのアーキテクチャを説明するに当たり、まずは、現在のファーストパーティとの違いをご説明します。まず、左側が現在のインスタンスを表し、東京と大阪に、それぞれデータセンターがあります。データセンター内には、インスタンス(例:AP49)があり、お客様の組織はそのいずれかに割り当てられます。このインスタンスは、東京と大阪、両方のデータセンターに存在しており、一方が稼働系(Active)、もう一方が待機系(Ready)の状態になっています。データは、稼働系のデータセンターから待機系のデータセンターへレプリケーション(コピー)されています。右側がHyperforceを表し、リージョンとAvailability Zone(AZ)という概念があります。リージョンは地域を表し、リージョンの中に、物理的に分離された複数のというものが存在します。そして、Hyperforceはこれら各AZ上に構築されます。また、Hyperforceでは、インスタンス名はJPN132といった名称に変わります。インスタンスはリージョン内の複数AZによってホストされます。AZの中には、それぞれにアプリケーションサーバとデータベースがあります。そして、AZ:Bはアプリケーションサーバが稼働しており、同時にデータベースも稼働しています。(AZ:Bはアプリケーションサーバとデータベース両方が稼働系という状態です)一方、AZ:AとAZ:Cはアプリケーションサーバは稼働していますが、データベースは待機系になります。待機系のデータベースに対しては更新はできませんが、参照はできる仕組みとなり、変更はログレベルで他の AZ の 2 つのデータベースに非同期に複製されます。上記は3 つの AZ すべてが低遅延ネットワーキングで接続されていることにより、すべてのアプリケーションサーバが最小限の遅延ですべてのデータベースと通信でき、すべてのデータベースがあらゆる変更の最新状態を保持できるため実現可能な構成であり、冗長性と障害回復作業が可能とするために重要な要素になります。例として、AZ:Aが災害で停止した場合、AZ:BとAZ:Cは稼働を継続可能であり、引き続きサービス提供が可能です。AZ:Bが災害等で停止した場合、データベースのノードはAもしくはCが稼働系に切り替わり、引き続きアプリケーションサーバはAZ:AとAZ:Cが動いているので、サービス提供をし続けることが可能です。下記スライドもご確認ください。ご参考ナレッジ記事) Hyperforce について - 一般情報と FAQTrust and Compliance Documentation (信頼コンプライアンスに関するドキュメント)Hyperforce Technical Considerations こちらの「Reliability, Backup, Business Continuity, and Disaster Recovery」で詳細をご確認いただけますHyperforce移行に向けた準備Hyperforceへの移行に際して お客様にご確認頂きたい内容と推奨事項がございます。必要なアクションは、お客様の設定内容やご利用方法によって異なります。Hyperforce への移行は組織移行というメンテナンスと同じ手法であり、これまで10年以上の実績のある手法です。また、厳格な対象資格条件があり、条件を満たしていることを社内で確認しています。既知のリスクがある場合、軽度なものであっても合致する可能性がある場合は、その組織の移行時期を延期いたします。このような資格条件とテストのプロセスにより、既に何千もの組織移行を成功させています。さらに、移行中、技術チームは普段と同じようにHyperforce移行前後で、異常がないかを監視し、万が一異常が検出された場合に備えて堅牢なサポートプロセスを構築し迅速に対応できるように技術チームが待機しています。移行に向けたSalesforce側の準備は万全ですので、安心してHyperforceへ移行いただけます。上記スライドは、お客様の組織がHyperforce移行の対象になった後のプロセスを示しています。前述のように、お客様はご契約のサポートレベルに応じて移行日の約90日前もしくは約30日前に通知メール(サンプル)が送信されます。通知を受信後に準備を始めていただくことも可能ですが、この記事をご覧のお客様におかれましては、すぐに準備を始めていただけますと幸いです。また、普段メンテナンス情報をTrustサイトにてご確認いただいているお客様もいらっしゃると思いますが、移行対象の組織が、インスタンスのごく一部のお客様のみの場合は、Trustサイトにメンテナンス通知が表示されない場合がございます。反対に、Trustサイトで組織移行のメンテナンスが表示されている場合も、システム管理者様がメールが受信されていない場合は、お客様の組織は移行対象ではないということになります。なお、たまに「Salesforce製品およびサービスに関するお知らせ」のメールを受け取ったことがないというお客様がいらっしゃいます。ゴミ箱等に振り分けられていないか、合わせてご確認をお願いいたします。ご参考ナレッジ記事) 組織の移行への準備方法Trust 通知TrustユーザガイドHyperforceへの移行に向けた準備については、以下の参考ページをご参照ください。ハードコード化された参照の更新Hyperforce の IP 許可リスト登録の望ましい代替案Hyperforce 上の Salesforce サービスへの中断しないアクセスを維持するまた、これからHyperforceへ移行する組織では、Hyperforce アシスタントをご利用可能です。メールが手元に届いたら、[設定] > [Hyperforce アシスタント] にアクセスをしていただき、Hyperforce へ移行する準備を始めましょう!ご参考ナレッジ記事) Hyperforce アシスタントを使用した Hyperforce への移行 (正式リリース)それでは、Hyperforce移行に向けて必要なアクションとベストプラクティスを見ていきましょう。上記スライドの内容に該当している場合、Hyperforce移行後に、不都合が生じる場合がございます。移行対象のお客様については、上記に合致しているかどうかを後続のスライドを参考の上、必ず確認をお願い致します。※2~4についてはイメージ図がございます。後続の[Hyperforce移行時に注意を必要とするポイント]をご参照くださいご参考ナレッジ記事) Salesforce Express ConnectHow to Access Salesforce Hyperforce Securely and Reliably with AWS Direct ConnectHyperforceでは、WebブラウザやAPIクライアントは、SNI(サーバ名表示)で指定したホスト固有のHTTPS証明書を使って通信を行うことができるようになっています。SNIでホストを指定しない場合には、あらかじめ用意されているデフォルトの証明書を利用し、証明書の形式は、以下となります。<MyDomain>.my.salesforce.com<MyDomain>--<SandboxName>.sandbox.my.salesforce.com最近のWebブラウザでは特に意識する必要はございませんが、APIクライアントでデフォルト以外のHTTPS証明書を使う場合には、TLSハンドシェーク時のClientHelloメッセージにSNIを含める必要があります。ご参考ナレッジ記事) SNI(サーバ名表示)こちらはExperience CloudサイトやSalesforceサイトをご利用、かつ(www.example.comといった)カスタムドメインをSalesforce CDNではない独自CDNで提供していて、そのCDNがSNI を送信しない設定になっているか、Originの *.force.com ドメイン(※)ではなくカスタムドメインを送信している場合に必要な対応です。該当の設定になっている場合、CDN 側の設定に置いて、SNI による証明書の認証を行わないという設定をして頂く必要がございます。また、ご利用のCDNが利用する証明書の SANs リスト内に*.my.salesforce.com が含まれている事を確認いただく必要があります。CDN側の設定変更ができない場合は、Salesforceの設定オプションを「Salesforce は Salesforce コンテンツ配信ネットワーク(CDN) パートナーを使用してHTTPS を介してドメインを提供します」に変更します。(※)「サードパーティサービスまたは CDN を使用するカスタムドメインの前提条件」に送信すべきドメイン名が纏まっていますのでご確認ください。ご参考ナレッジ記事) SNI(サーバ名表示)上記スライドはIPアドレスを使用したフィルタリング(IPアドレス許可リスト)をされているお客様にご確認をいただきたい事項になります。(Salesforce側の設定ではなく、お客様の会社のファイアウォールや企業ネットワーク、メールフィルターの設定をご確認いただく必要があります)Hyperfroceでは、基本的にIPアドレスは公開されないため、現在IPアドレスを用いたフィルタリングをされている場合は、ナレッジ記事「Salesforce Core サービス - 許可すべき IP アドレスとドメイン」に記載のすべてのIPアドレス範囲に加えて、必須ドメインに含まれるすべてのドメインを許可頂く必要がございます。なお、Hyperforce で IPアドレスを用いたフィルタリングを必須とするビジネス要件もしくはコンプライアンス要件がある場合には、ナレッジ記事「Hyperforce 上の Salesforce サービスへの中断しないアクセスを維持する」をご参照ください。メールに関しても、Salesforceでは、メールセキュリティにIPアドレスを使用することを推奨していないため、ナレッジ記事「Salesforce アプリケーションからのメールを受信できるようにする」を参照いただきIPアドレスの代わりにTLS、SPF、DKIM、DMARC等の標準メールセキュリティプロトコルを使用を推奨いたします。※メールリレーのIPアドレスは、Hyperforceでも引き続き公開されますが、IPアドレスを使用したフィルタリングは非推奨です。ご参考ナレッジ記事) メールセキュリティメカニズムIP アドレスフィルタリングだけに頼ることは、リクエストのソースに基づいて検証するに留まり、実際のリクエストが本物かどうかは検証はできないため、安全性の高いアプローチとは言えません。Salesforce→外部システム方向の連携処理(Apexコールアウトやアウトバウンドメッセージなど)をご利用の際は、IPアドレスフィルタリングではなく、適切な Web サービス認証と承認を行うことを推奨します。外部システム→Salesforce方向の連携処理がある場合は、URL/ドメインを使用したフィルタリングを推奨します。詳細は、ナレッジ記事「Hyperforce の IP 許可リスト登録の望ましい代替案」をご確認ください。ご参考ナレッジ記事) Salesforce Core サービス - 許可すべき IP アドレスとドメインHyperforce 上の Salesforce サービスへの中断しないアクセスを維持する証明書と鍵Salesforce がサポートする SSL 証明書上記スライドはメール送信に関するIPアドレスのフィルタリングについてです。こちらも、前述の内容と同様にSalesforceでは、メールセキュリティにIPアドレスを使用することを推奨していません。メールのフィルタリングをする際は、一般的に使用されているメールセキュリティメカニズム(TSL、SPF、DKIM、DMARC)といった方法を推奨しています。可能であれば、切り替えのご検討をお願いします。なお、メールリレーについてはHyperforceでも引き続き公開されます。しかし、IPアドレスを使用したフィルタリングは非推奨です。ご参考ナレッジ記事) Salesforce アプリケーションからのメールを受信できるようにするご参考ナレッジ記事) Marketing Cloud Connect でテナント固有の OAuth エンドポイントを有効にするエンドポイントをテナント固有のものに更新また、「Hyperforce 上の Salesforce サービスへの中断しないアクセスを維持する」には、Hyperforceで発生中の「一時的な記事の問題」や「他の問題」が纏まっていますので、ご確認ください。Hyperforceに限った内容ではございませんが、Hyperforceへ移行後に大きなコンテンツファイルのプレビューを表示できない場合がございます。このような事象が発生した場合、コンテンツファイルのプレビューを再作成する手順をナレッジ記事「コンテンツファイルのプレビューの問題」で公開しておりますのでこちらをお試しください。Hyperforce移行時に注意を必要とするポイント[お客様の状況]に当てはまる場合は、[対応方法]と[参考資料]をご確認の上、早めの対応をお願いします。※上記図中のリソースは、以下よりダウンロードできますNo.① ⑦⑧⑨⑩11参考資料:Hyperforce 上の Salesforce サービスへの中断しないアクセスを維持するNo.②対応方法:証明書と鍵、Salesforce がサポートする SSL 証明書No.③ 参考資料Salesforce アプリケーションからのメールを受信できるようにするNo.④ ⑥参考資料:Hyperforce における SNI による HTTPS/SSL 接続エラーの解決No.⑤ 参考資料:サードパーティサービスまたは CDN を使用するカスタムドメインの前提条件No.⑦ 対応方法:RFC-3986No.⑨ 対応方法:Marketing Cloud Connect でテナント固有の OAuth エンドポイントを有効にするNo.⑩ 参考資料:Marketing Cloud エンドポイントからテナント固有エンドポイントへの更新: FAQNo.11 対応方法:Root 証明書(Common CA Database)No.11 参考資料:Configure Authentication Server Certificate PinNo.12 参考資料:.NET ドキュメントメンテナンス開始時間になったら、移行の準備が開始されます。実際の移行プロセスが始まる約 30 分前に、組織はリードオンリーモードになり、その後実際の移行が始まります。メンテナンス全体の作業時間は約 3 時間となっており、通常はこの時間内に移行が完了します。移行が完了・成功したことが確認されると、再度組織はリードオンリーモードになり、その後Hyperforce上でお客様組織が稼働しますリードオンリーモードの時間帯は参照のみとなります。外部データをSalesforceに取り込むといったような更新作業は実施いただけないため、社内のメンテナンスや作業日程を事前に確認いただくようお願いいたします。また、Hyperforce移行後に、古いインスタンスの Trust Notification の登録を解除し、新しいインスタンスの Trust Notification に再登録をおすすめいたします。Hyperforceに関する技術的なご質問がございましたら、下記お問い合わせの手順を参考にテクニカルサポートへお問い合わせください。学習ツールここまで様々なリソース(ヘルプやナレッジ等)を交えてご説明をしてまいりましたが、以下は、それ以外の参考資料です。Hyperforce 移行にあたり有益な情報となりますので、ぜひご参照ください。※ 英語原典と相違がある場合は、英語原典を最新情報としてご参照ください組織の移行への準備方法 Hyperforce Technical ConsiderationsHyperforce Data Residency[更新・追記履歴] 2024/9/3 サポートレベルに応じた事前通知メールの説明を追加。全体的な改修を実施。2023/11/21 [Hyperforce移行時に注意を必要とするポイント(4)]を追加2023/7/10 Hyperforceで使用できないサービスから、Salesforce Private Connect を削除2023/5/9 [SandboxのHyperforce移行について]セクションを追加2023/3/7 Hyperforceで使用できないサービスから、カスタムHTTPS証明書を使用するカスタムドメインを削除2023/3/7 Hyperforceの利点を最新化2022/9/27 Hyperforceで HTTP 1.0 のサポートが開始されたため、HTTP 1.0 に関する内容を削除2022/4/5 Hyperforce移行時に注意を必要とするポイントを追加2022/3/3 HyperforceでもメールリレーのIPアドレスは公開されますが、IPアドレスを使用したフィルタリングは非推奨です
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連載:『営業改革のコンパス〜規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計〜』vol.1
はじめに 営業改革プロジェクトをどのように進めていけばいいのか、どのような障壁が待ち構えているのか——。 本連載は、セールスフォース・ドットコムに在籍して20年近く、たくさんのお客様とお話しし、さまざまな課題に直面、解決してきたセールスイネーブルメント・シニアディレクターの田崎純一郎が、まだまだ経験者の少ない営業改革プロジェクトに関する情報を整理したいと思い、これまでのアンケート結果や営業改革プロジェクトを成し遂げたお客様のインタビューをもとにまとめたものになります。 営業改革プロジェクトを進めるために知っておきたい知識、また押さえておくべきポイント、さらになぜ営業支援システム(SFA)が必要なのかをご紹介していきます。 今も昔も営業の武器は情報です。顧客情報、案件情報、活動情報の3つの情報を制する営業はより効率的に受注を獲得できます。そして21世紀に情報を扱うにはITは欠かせません。現代のビジネスに適合した情報の取り扱いを営業ができるようになれば、この変化の時代を生き抜くことができます。 また、営業改革には終わりがありません。 新しい技術が生まれれば、経済が変わり、世界が変わります。世界が変われば、顧客も変わります。顧客が変われば、営業も変わらなければなりません。 第1章では、営業改革プロジェクトで解決すべき課題を深掘りしていきます。1,760名のアンケート結果からみた現代の営業組織が抱える課題について分析し、第2章では、なぜ営業力を会社の仕組みにしなくてはならないのか。また、どのように営業情報を管理し活用すればよいかについて取り上げます。第3章では、プロジェクトを進める際のポイントについて解説いたします。 ぜひ営業改革プロジェクトを成功に導いてください。営業改革で解決したい課題は何か - 営業組織の規模と営業改革テーマ 営業改革プロジェクトや営業支援システム(SFA)導入を進める際、多くの方は他社の改革の手法を参考にされると思います。改革の担当者は自社が抱える営業組織の課題や改革テーマと類似している企業を探すために、業種・業態・従業員数・業界内シェア・ビジネスモデルなどさまざまな観点で類似の企業を検索されるでしょう。実際、多くの書籍やインターネット上の記事は業種や規模で企業を分類し、大企業が抱える課題や中小企業特有の解決策、成功事例などを紹介してきました。 しかし、いくつかの記事を見れば気付くでしょう。営業改革の課題や解決策を語る上で出てくるキーワードはほとんどが共通したものです。「属人的な営業」「情報とノウハウの共有」「営業プロセスの標準化」「営業の生産性向上」「SFAの定着化が課題」など、どの記事を見てもあまり違いはありません。 企業規模や業種で分類されてはいるものの、出てくる課題や解決策はどれも同じキーワードです。本当にそうであれば、わざわざ改革の事例を企業規模や業種で探す必要はありません。では、改革の担当者は、自社の参考になる事例をどのような観点で見つければいいのでしょうか? そもそも本当にどんな営業部門も企業規模に関係なく同じ問題を抱えているのでしょうか? 私たちは「営業組織の規模」と「役職」に着目しました。そして、アンケートの分析によっていくつかの発見をしました。営業部門の課題は部門の大きさによって変わる。そして、その解決策の優先順位は役職によって違う。また、改革には順番があり、見積・提案書の共有、案件情報の可視化、そして活動の可視化と顧客データの活用へと進む。複数の営業組織を見てきた方であれば、いたって当たり前の結論かもしれませんが、改革前の営業部門の当事者が、自社の営業組織の課題やステージを客観的に分析することはなかなか難しいことではないかと思い、この連載にまとめました。 営業部門の日々の運営において、営業担当者や営業部門長が直面している課題は「営業組織の大きさ」に密接な関係があります。3階層15人程の営業組織ではなかったような課題が、5階層150人の組織には出てきますし、課題に対する解決策も営業担当者の教育や努力、能力の向上だけではなく、多くの支援部門やITの活用をあわせた方法の重要性が増してきます。 特に大規模組織になればなるほど、仕組みによる底上げとナレッジの再利用の影響力が増します。営業組織内の多数の営業担当者から生まれるデータとそれを生かす営業戦略部門(経営企画、営業企画、営業戦略など)や営業支援部門(マーケティング、インサイドセールス、セールスイネーブルメント、営業推進、業務、セールスエンジニアなど)の力によって、営業の生産性は大きく変わってくるのです。 これらの要素を理解して組織を成長させることができれば、スケールする営業組織を作り出すことができます。残念ながらその仕組みを確立できない場合は、50人ほどの“職人”営業集団が、製品別や地域別に存在し、属人的なやり方に依存する、いわば「中小企業の集合体」としての営業組織になってしまうでしょう。 また、アンケートの分析から、役職(組織上の立場)によっても解決策の優先順位は大きく違うことがわかりました。おそらくこのギャップが「社内の意見がまとまらない原因」であり、プロジェクトの成否を決めるカギにもなるでしょう。営業改革が道半ばで頓挫してしまうのは、組織の上下間での優先順位の違いをそのままにして進めていくことも原因の一つです。トップダウンはトップの意思がダウン(担当者レベルまで浸透)することであり、ボトムアップはボトムの意見をアップ(上層部が納得)させなければせっかくの改革の機運が雲散霧消してしまいます。 これら営業改革のポイントや標準的なステップを理解した上でプロジェクトを進めることで、闇雲に思いついた施策を実施したり、現場と経営者、コンサルタントの板挟みにあいながらプロジェクトを迷走させる確率を大きく減らすことができるのではないかと考えます。企業を成長させるには、製品やサービスだけでなく、営業組織も成長させなければなりません。営業組織の大きさによって直面する課題を理解しておくことで、数年後の次の営業組織へ成長する準備を事前に行っておくことができます。 次回は、営業組織の規模によって課題感はどのように異なるのか、具体的に解説していきます。著者:田崎純一郎(たさき じゅんいちろう)セールスフォース・ドットコムセールスイネーブルメントシニアディレクター————————————————完全版eBookをダウンロード提供中本連載『営業改革のコンパス~規模に応じたトランスフォーメーションの最適設計~』第3章(Vol. 10〜13の記事)は、完全版のeBookにまとめています。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第3章 ダウンロードはこちら 】Vol. 6~9の記事は第2章の内容になります。第2章のeBookにて完全版を公開しております。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第2章 ダウンロードはこちら 】Vol. 1〜5の記事は第1章の内容になります。eBookにて完全版を公開しております。ぜひ、下記からダウンロードしてお読みください。【 第1章 ダウンロードはこちら 】連載記事<第1章>Vol. 2 営業マネジメント50人の壁 ― 営業支援システムの導入率からみる営業組織の課題Vol. 3 営業組織の規模によって異なる課題感 ― データの収集と活用Vol. 4 現場が見えなくなる中規模組織Vol. 5 使いこなせていない51名以上の営業組織は「営業案件の可視化やパイプライン管理ができていない」<第2章>Vol. 6 営業活動は不完全情報ゲームVol. 7 営業を“群衆”ではなく“組織”に -情報を使って160時間の使い方を最適化Vol. 8 営業情報は製品中心ではなく「顧客データを中心」にフロントとバックをつなげるVol. 9 作ったものを売る営業から、売れるものを作る会社へ<第3章>Vol. 10 営業改革プロジェクトでは、どんな困難に直面するのか?Vol. 11 チームの結成・メンバーの選定 ~ 方針決定、ビジョンやゴールの設定、価値観のすり合わせVol. 12 情報プラットフォーム(ITシステム)選定 ~ 組織変更の実施、教育・社内トレーニングVol. 13 KPI、データ分析と活用 ~ 定着化と展開<関連セミナーご案内>Salesforceでは、営業改革をサポートするウェブセミナーをご用意しています。あらゆる企業規模・業界において営業マネージャーの方々がどのようにSalesforceを活用すべきかをご紹介します。ぜひご活用ください。https://successjp.salesforce.com/article/NAI-000042