記事一覧
-
この記事で学べることクレジット消費の仕組みと監視方法不要なクレジット消費を防ぐために必要なこと利用開始時にはクレジット消費監視を行いましょうData Cloud は Sales Cloud などのユーザー単位のライセンス体系とは異なります。事前購入した「クレジット」を、利用した機能、量や回数などによって消費する体系となっています。利用開始時は多くのデータ同期を行ったり、色々な機能の確認を実施されるなど、消費量も多くなる傾向があるため、利用開始前にクレジット消費量のアラートを通知するフローを有効にすることを推奨します。フローについてはヘルプの「使用状況に関する Digital Wallet 通知の取得」を参照いただき、不明な点についてはサポートまでお問い合わせください不要なクレジット消費を防ぐために利用開始後も、使うデータのみ取り込み、そして必要な機能のみを利用することで、クレジットを有効に活用しましょう。また、アラートだけに頼ることなく、定期的に消費量の変動が想定通りかを確認することを推奨します。参考リソースData Cloud の請求可能な利用状況の種別Multipliers for Data Cloud (乗数の情報ページ)Help | 使用状況に関する Digital Wallet 通知の取得
-
この記事で学べることData Cloud の技術的な要件定義を始める前に、ビジネス視点で準備すべき3つのステップビジネスゴールから逆算して、具体的なデータ活用ユースケースを考えるアプローチの重要性検討したユースケースとそれに必要なデータを整理するための「データワークブック」はじめにData Cloud の導入を成功させるためには、技術的な機能の検討から始めるのではなく、まず「ビジネス上のゴールは何か?」を明確にしてからユースケースを選定し、そのユースケースをどのように実現していくか、という流れで検討をすることが非常に重要です。ビジネスゴールから逆算して、その達成に必要なデータの活用方法を考えるアプローチを取らないと、最終的な成果物が意味のあるものにならず、設定作業の手戻りが多く発生する可能性があります。この記事では、 Data Cloud 導入を成功に導くために、要件定義の前に実施すべき準備ステップについて、具体的な考え方と進め方を説明します。要件定義を始める前に実施いただきたい3つのステップData Cloud の導入効果を最大化するため、技術的な設定や実装計画に入る前に、以下の3つのステップを推奨します。このステップを実施いただくことで、 Data Cloud への期待値や目指すべき姿、データの全体像をプロジェクト関係者に的確に共有することが可能です。ステップ1:ビジネス目標の明確化まず初めに、データ活用における現状と、Data Cloud 導入によって実現したい理想の状態を言語化します。例えば、「顧客データが分散しており、統一的な顧客理解ができていない」という現状に対し、「関連性の高い情報を適切なタイミングで顧客に届け、エンゲージメントを高める」といった理想の状態を定義します。これにより、プロジェクト全体のゴールが明確になり、関係者全員が同じ目標に向かって進むことができます。ステップ2:ユースケースの検討次に、ステップ1で設定したビジネス目標を達成するための具体的な施策、つまり「ユースケース」を洗い出します。ここでは最初から完璧を目指す必要はなく、関係者間で自由にアイデアを出し合うことが重要です。例えば、「マーケティング効率の最適化」を目指すにあたって、マーケティングにかかった費用対効果 ( ROI ) を最適化したいとします。それがうまくいったかの指標として、コンバージョン率を使って効果を測定します。その場合のユースケースとしては、関連するコンテンツでパーソナライズされたバナーを表示させたり、メールでのパーソナライズした商品やサービスの推奨事項を行うことが考えられます。その実現のために、 Data Cloud でお客様のデータの統合や、パーソナライズするための情報の強化を行う必要がある、と整理していきます。ステップ3:ユースケースの具体化最後に、ステップ2で洗い出したユースケースの中から、ビジネスインパクトや実現性を考慮して、最初に取り組むべきスコープを決定し、具体化をします。具体化に向けて、以下3つのポイントでデータの全体像の把握と整理を行います。ユースケースを実現するために”必要なものはなにか”を常に意識するようにしましょう。データ利用先の定義何をどこで活用したいのか、データを利用するイメージを掴みます。例:2年以内に製品購入した顧客のセグメントを Marketing Cloud へ公開するデータの整理ユースケースに使いたいデータは揃っているか、予め取り込むデータを絞っておく必要があるか、データの品質に関してクレンジングが必要か、システムごとに異なる ID で顧客情報を管理しているため ID 解決が必要か、などの観点でデータの整理を行います。データソースの定義ユースケースを実現するために必要なデータソースとして何を使うのか、その項目とともに検討し、データを取得するためにどの部門と調整する必要があるのかを整理していきます。ユースケースを具体化するステップでは、実際にデータを活用するビジネスユーザー(マーケティング担当者や CRM 担当者など)と、データに詳しい専門家が連携することが不可欠です。ビジネスユーザーは、データの詳細な構造を把握していない場合がほとんどですが、「顧客名」や「購入履歴」、「同意情報」といった、ユースケースを実現するために必要なハイレベルな情報は提示することができます。一方で、それらのデータが各システムでどのように管理されているかを正確に知っているのは、システムの管理者やデータに詳しい担当者です。そのため、ビジネスユーザーの視点から「何を実現したいか」という要件を引き出しつつ、必ずデータに詳しい専門家を巻き込んで、「どう技術的に実現するか」という議論を進めることを強く推奨します。これにより、円滑なプロジェクト進行に繋がります。ユースケースを具体化する際に利用いただけるデータワークブック上記の通り、Data Cloud の技術的な機能設定から始めるのではなく、ビジネス目標を明確にしてからユースケースを選定し、そのユースケースをどのように実現していくか、という流れで検討をすることが重要です。ユースケースやデータの全体像を整理する際には、ドキュメントに残すことを推奨します。ドキュメント化は、データの情報を関係者に共有できることの他、構築段階でも非常に重要です。ユースケースを具体化する際に情報整理が可能なワークブックをご用意しております。データの整理を行う際にどのような観点で確認を進めていくのか、具体的な確認事項が記載されているので、利用する機能や必要な設定の整理を行うことができます。また、実際に搭載するデータの洗い出し、項目・リレーションの整理など、ソリューションの全体像を描きながらデータの実現可能性のチェック等を行っていただけます。データワークブックのダウンロードはこちらまとめData Cloud の導入プロジェクトでは、技術的な詳細に入る前に、まずはビジネスの視点から「何を実現したいのか」を明確にすることが成功への鍵となります。今回ご紹介した3つのステップとデータワークブックを活用し、関係者間での共通認識を形成した上で要件定義に進むことで、手戻りが少なく、ビジネス価値の高いデータ活用実現に繋がります。今後、構築や運用をするにあたり、データの問題を突き止める際、原因は Data Cloud ではなく、ソースシステム側にあることがほとんどです。データワークブックを活用することで、問題がなぜ発生したのかを特定しやすくなるため、ぜひご活用ください。
-
この記事で学べることData Cloud の全体像を把握する実際に Data Cloud を使用する際の流れを理解するData Cloud の全体像Data Cloud は全体を通して6つのステップに分けることができます。接続Data Cloud と CRM やクラウドストレージ、その他のサービスなどを接続します。これにより、Data Cloud にデータを取り込む準備を整えます。取り込み前述の接続対応をした結果、接続済みの連携先からデータの種類や項目、取り込み時に一部データの変換対応など設定し、Data Cloud 内に取り込みます。接続や取り込みに関する詳細はこちらも合わせてご参照ください。データ接続の概要ゼロコピーデータ統合マッピング取り込んだデータを Data Cloud の中でモデル化、正規化された形に対応させます。この対応をデータモデリングと呼びます。マッピングに関する詳細はこちらも合わせてご参照ください。データモデリングの概要統合Data Cloud には異なるソースから様々なデータを連携させることが可能なため、顧客などの情報が複数存在し、それぞれの情報に差異があることがあり得ます。そのため、それらを統合しマーケティングなどの用途に使用ができる形にします。統合に関する詳細はこちらも合わせてご参照ください。統合プロファイル(ID 解決)分析と予測Data Cloud に取り込み、マッピングし統合されたデータに対して Data Cloud の UI 上で分析を行ったり、Einstein による予測を実行することで、データを用いた施策の選定などに役立てることができます。アクションData Cloud ではデータを集めて分析するだけではなく、そのデータを他のシステムで使用することができます。CRM データの強化に使用したり、マーケティングリストとして扱うなど様々な用途で使用します。アクションに関する詳細はこちらも合わせてご参照ください。Data Cloud で CRM を強化するデータアクションまとめ本記事では、Data Cloud を使用する際の一連の流れステップ毎に紹介しました。全体の流れを把握しておくことで、それぞれの工程において各設定が何の目的を持って行われているのかを把握しながら設定を進めることができます。学習ツールTrailhead:Data Cloud でデータを最大限に活用する参考リソースHelp | Salesforce Data Cloud についてTrailhead | Salesforce Data Cloud について知るTrailhead | Data Cloud の管理
-
Data Cloud の概要:C360とAgentforceの使い方
この記事では、Data Cloud とは何か、その必要性、Salesforce 製品群における位置づけ、および主要な2つの活用方法(統合プロファイルとRAG活用)についてわかりやすく解説します。この記事では、まずData Cloud の全体像を掴んでいただき、実現したい活用方法に沿って後続の記事を読み進めてください。Data Cloud とは何か?Data Cloud は、社内外に散在するあらゆるデータをリアルタイムに集約・整理し、Salesforce 上で活用するための統合データ基盤です。その目的は、顧客に関する信頼できる唯一の参照元(シングルソースオブトゥルース)を確立し、営業、サービス、マーケティングといった全部門が、一貫性のある最新データに基づいて顧客対応にあたる「Customer 360」を実現することにあります。この仕組みは、Data Cloud が Salesforce 製品群のデータ基盤として機能することで実現されます。Sales Cloud や Service Cloud などの各アプリケーションが、Data Cloud という共通のデータハブから常に最新のデータ供給を受けるイメージです。Salesforce プラットフォームとのネイティブな統合: EC サイトや基幹システム(ERP)のデータを、Salesforce の「取引先」や「商談」項目に直接マッピングし、まるで元から Salesforce にあるデータのように扱えます。これは、あらかじめ用意されたコネクタやローコードツールで実現できるため、IT部門の負担を大幅に軽減します。外部データウェアハウスとのゼロコピー連携: Snowflake や Databricks、Google BigQuery などにあるデータを複製せずに直接参照できるため、既存のデータ投資を無駄にしません。統合されたデータを活用した「アクション」: Data Cloud は単なるデータの倉庫ではありません。集約したデータをAI(Einstein)で分析してインサイトを導き出したり、自動化ツール(Flow)のトリガーとして活用したり、Marketing Cloud でより精緻な顧客セグメントを作成したりと、具体的な施策に直結させることができます。このように、Data Cloud は Salesforce 内外のデータをシームレスに繋ぐデータの基盤として、エコシステム全体でのデータ活用を促進し、より高度な顧客体験の創出を可能にします。主な活用方法①: 統合プロファイル( Customer 360 ビュー)の構築と活用統合プロファイルとは、顧客ごとに散在するデータを一つに統合し、360度の顧客像を把握できる単一のプロファイルです。Data Cloud は、Salesforce 内のデータはもちろん、外部データウェアハウス、EC サイト、POS システムなど社内外の多様なデータソースから情報を取り込み、ID 照合やデータクレンジングを経て、一人ひとりの顧客に情報を紐付けます。この統合プロファイルを全社で共有することで、各部門で一貫した質の高い顧客対応が可能になります。マーケティング部門では、顧客の行動履歴に基づき、最適なタイミングでパーソナライズされたアプローチができます。営業担当者は、顧客の興味関心や過去の購買履歴を踏まえた提案が可能になり、クロスセルやアップセルの機会を創出しやすくなります。カスタマーサービスでは、オペレーターが顧客情報を一元的に把握できるため、「何度も同じ説明をさせられる」といった顧客の不満を解消し、迅速で満足度の高い対応を実現します。このように、統合プロファイルは顧客中心のデータ活用を可能にし、企業が顧客を深く理解するための洞察をもたらします。これは顧客満足度とロイヤルティの向上、ひいては収益拡大に直結するだけでなく、高度な AI 活用のための重要な土台となります。主な活用方法②: RAG(検索拡張生成)におけるデータベースとしての活用生成 AI(大規模言語モデル、LLM )を業務に活かす上で、 RAG( Retrieval-Augmented Generation / 検索拡張生成)という手法が注目されています。 RAG とは、 LLM の応答を企業固有のデータで根拠づけ(グラウンディング)するために、質問に関連するデータを指定された特定のデータソースから検索してプロンプトに組み込み、より正確で信頼できる回答を生成する仕組みです。 Data Cloud は、この RAG のプロセスにおいて、検索対象となるデータを処理・格納する重要な役割を果たします。Data Cloud は、 RAG の文脈では特に非構造化データの蓄積基盤として機能します。 PDF ドキュメントや通話録音の文字起こし、メール、画像ファイルなどの非構造化データを処理し、 AI が検索可能な形で蓄積できます。つまり、 Data Cloud 上に企業のナレッジ記事や製品マニュアル、メール履歴などを取り込むことで、それらが RAG で活用できるデータとなり、意味検索(セマンティック検索)が可能になります。こうして準備されたデータ基盤に対し、自律型AI機能である Agentforce がユーザからの質問をもとに検索をかけ、関連性の高い情報をプロンプトに組み込むことで回答の精度と信頼性を高めることができます。代表的な利用例として、カスタマーサポート(サービス部門)における問い合わせへの自動応答が挙げられます。 Web サイトのチャットウィンドウ上で顧客が質問した内容に応じて、社内のナレッジ記事から関連性の高い情報を見つけ、それをもとに回答をします。これまでのチャットボットではいくつかの分岐質問に答え、回答は定型文というのが一般的でしたが、Data Cloud と Agentforce による RAG の仕組みを使えば、顧客は自然言語で質問し、それに対して直接回答を得ることができるため、顧客体験が大幅に改善されます。まとめ本記事では、Data Cloud の概要と必要性、そして主要な 2 つのユースケース(統合プロファイルと RAG 活用)について紹介しました。データ統合による顧客 360 度ビューの実現と、生成 AI を企業データで強化する RAG の活用は、現代のビジネスにおけるデータ活用の双璧と言えるでしょう。Data Cloud はこの双方を支えることで、企業がデータから価値を引き出し、顧客体験を変革することを可能にします。なお、ここで取り上げた活用方法それぞれの導入ステップや活用のためのノウハウについては、別の記事で詳しく説明しています。ぜひ自社での用途に応じて読み進めてください。
-
この記事で学べること Data Cloud の検索インデックスとレトリーバーの役割 Agentforce データライブラリと Data Cloud での設定の違い Data Cloud で作成したカスタムレトリーバーを Agentforce で利用するための具体的な設定方法 Agentforce が RAG を使用する流れ Agentforce がユーザーの質問に的確に回答するためには、まず社内の膨大なデータの中から関連性の高い情報を探し出す必要があります。この「探し出す」という重要な役割を担うのが、これまでに説明した検索インデックスとレトリーバーです。 Agentforce がユーザーから質問を受けると以下のステップで処理が行われます。( Agentforce の標準トピック・アクションを使用して質問回答を行う場合の例)ユーザーが質問を投稿質問回答タスクを実行するため、 Agentforce が「一般的なFAQ( General FAQ )」トピックを選択し、「Knowledgeを使用して質問に回答( Answer Questions with Knowledge )」アクションを実行アクションに紐づくプロンプトテンプレートが実行されるレトリーバーを介し、質問と意味の近いチャンクテキストや関連情報をベクトルデータベースから取得それらの情報を付与したプロントが LLM に送信され応答が生成されるUI 上で Agentforce が応答内容をもとにユーザーに回答設定方法による Agentforce での利用の違い Agentforce で RAG を活用する方法は、検索インデックスの設定方法によって利用方法が異なります。検索インデックスのそれぞれの設定方法についての概要はこちらの記事(検索インデックスの記事リンク)で解説しています。1. Agentforce データライブラリで設定した場合 Agentforce のデータライブラリ機能を利用すれば、シンプルな設定のみで、 Agentforce で RAG を使用することができます。 Agentforce データライブラリ設定方法: Salesforce 設定の「 Agentforce データライブラリ」メニューから、 Salesforce のナレッジ記事などを直接取り込み、検索対象として設定します。 Agentforce での利用: この方法で設定した場合、 Agentforce にあらかじめ用意されている標準トピック「 General FAQ 」と標準アクション「 Answer Questions with Knowledge 」などから、 RAG をそのまま利用できます。特別な設定は不要で、 Agentforce がデータライブラリ内の情報を参照して回答を生成できるようになります。まずは手軽に始めたい、基本的なFAQ対応を自動化したい、といった場合に最適な方法です。2. 検索インデックスやレトリーバーを手動で設定した場合より高度な検索や、特定の業務に特化したデータ活用を行いたい場合は、 Data Cloud で検索インデックスとレトリーバーを手動で設定します。設定方法: Data Cloud の「検索インデックス」タブから、検索インデックスを設定し、「 Einstein Studio 」タブから検索ロジックを調整したレトリーバーを設定します。 Agentforce での利用: 個別で設定した検索インデックスとレトリーバーを使用する場合、 Agentforce のアクションで使用されるプロンプトテンプレートで個別の設定が必要になります。標準のトピックやアクションをそのまま利用するのではなく、どのプロンプトで、どのレトリーバーを使用するかを設定します。これにより、例えば「特定の製品に関する問い合わせには、その製品マニュアル専用のレトリーバーを使って情報を取得する」といった、より精度の高い制御が可能になります。詳細は以下のヘルプ記事をご参照ください。Help | プロンプトテンプレートへの個人取得者 (個別レトリーバー) の追加まとめこの記事では、 Agentforce で社内ナレッジを活用する方法として、 Agentforce データライブラリと Data Cloud の2つの設定方法を解説しています。データライブラリは手軽に始められ、標準トピックをそのまま利用できます。一方、個別で検索インデックスやレトリーバーを設定することで、より高度な検索や特定の業務に特化した活用が可能となり、 Agentforce の回答精度を向上させることができます。適切な方法を選択し、 Agentforce の能力を最大限に引き出すことが重要です。学習ツールPremier Success Plan をご契約のお客様は、この記事の内容について1対1のフォローアップセッションでご相談いただけます。具体的な設定方法などについてご支援が必要でしたらぜひ以下のリンクよりお申し込みくださいませ。エキスパートコーチング: Data Cloud : AI & Agentforce 参考リソースHelp | 取得拡張生成を使用したナレッジのグラウンディングHelp | プロンプトテンプレートへの個人取得者 (個別レトリーバー) の追加
-
この記事で学べることレトリーバーの役割デフォルトとカスタムの2種類のレトリーバーの違いユースケースに応じたレトリーバー設定のポイントレトリーバーとはこの記事では、レトリーバー( Retriever )機能の役割と設定について詳しく説明します。検索インデックスがデータを準備する機能だとすれば、レトリーバーは準備されたデータを引き出す機能です。 Agentforce がどのようにレトリーバーを使うか、また設定するうえでのベストプラクティスなどを紹介します。レトリーバーとは: レトリーバーは RAG における「検索役」を担う Data Cloud の機能です。ユーザーからの質問(プロンプト)に対し、その質問をまずベクトル化(数値化)し、それをキーとしてベクトルデータベース内を検索します。検索によって類似度が高いと判断された情報を特定し、グラウンディング情報としてプロンプトに引き渡します。このプロセスにおけるレトリーバーの役割をさらに詳しく分解すると、「類似性の高いデータの特定」と、「プロンプトへの情報引き渡し」を担います。類似性の高いデータの特定:定義された検索条件をもとに対象のデータの中から質問と類似性の高いデータを特定するプロンプトへの情報引き渡し:類似性の高いデータを特定した後、そのデータに関連する情報から特定の項目をプロンプトに返すレトリーバーの種類と設定概要レトリーバーには、デフォルトとカスタムの2種類があります。デフォルトレトリーバー: 検索インデックスを設定すると、自動的にデフォルトレトリーバーが作成されます。このデフォルトレトリーバーは特別な設定をしなくてもそのまま利用できます。例えば、 Salesforce のナレッジ記事をもとに検索インデックスを設定した場合、「ナレッジ記事全体を対象に関連性の高い記事を探し出し、その本文の該当箇所を引き渡す」ようなイメージです。カスタムレトリーバー: 標準のレトリーバーでも十分機能しますが、より精度を高めたり用途に応じた検索挙動にするためにカスタマイズも可能です。 Data Cloud の「 Einstein Studio 」タブからレトリーバーを作成し、検索の仕方を調整できます。調整できる部分としては、検索対象の絞り込み、検索結果として取得する項目や件数などです。これにより、ユースケースごとに関連性の高い情報のみを検索対象とし、グラウンディング情報として使用できるため、生成結果の精度向上が期待できます。 Salesforce のナレッジ記事の例では、「製品 A に関する記事だけを検索対象にし、記事の本文に加えてタイトルや URL も引き渡す」というような制御ができます。Help|個人取得者 (個別レトリーバー) の作成カスタムレトリーバーのベストプラクティスユースケースごとに必要なデータを検索対象とできるよう、以下の観点でレトリーバーの設定を行います。検索対象の絞り込み: 検索インデックスの設定時に選択した検索対象項目をもとに、検索実行時に対象とするデータを絞り込むことができます。例えば製品 A のナレッジ記事のみを対象にしたい場合、ナレッジオブジェクトの製品カテゴリ項目が「製品A」と一致するレコードのみを検索対象とするような設定ができます。これにより、関係のない製品に関する情報ははじめから除外されるため、より関連性の高いデータを的確に取得できる可能性が高くなります。検索結果の項目選択: プロンプトに情報を引き渡す際、どの項目を使用するかを選択できます。検索インデックスの設定によって作成されたチャンクテキスト以外にも、その元となったレコードの項目の値を使用することもできます。項目を追加する際には、グラウンディング情報として意味のある項目だけに絞ることが重要です。例えば、チャンクテキストにさらに文脈を付与するために記事タイトルを追加したり、応答文にそのまま引用させるための URL 項目を追加するなどが有効な項目です。一方で、記事番号や作成者などの項目は、情報として与えてもノイズになる可能性が高いので、そのような情報は選択しないようにします。まとめレトリーバーは RAG における「検索役」で、 Agentforce が質問に対応する際、質問内容を数値化してベクトルデータベース内を検索し、質問の意味に近いデータを探し出す役割を担います。デフォルトとカスタムの2種類があり、デフォルトは自動作成され特別な設定は不要です。カスタムは精度を高めるために検索対象の絞り込みや結果項目・件数などを調整できます。ユースケースごとに必要なデータを検索対象とできるよう、検索インデックスの設定や検索結果の項目選択を行うことが重要です。ここまでのステップで RAG の準備が完了です。次の記事では、それを Agentforce で活用する方法について解説します。学習ツールPremier Success Plan をご契約のお客様は、この記事の内容について1対1のフォローアップセッションでご相談いただけます。具体的な設定方法などについてご支援が必要でしたらぜひ以下のリンクよりお申し込みくださいませ。エキスパートコーチング: Data Cloud : AI & Agentforce 参考リソースHelp | データの取得
-
この記事で学べること検索インデックスの概要検索インデックスの設定の2つの方法とその違い検索インデックス設定のベストプラクティス検索インデックスとは この記事では、 Data Cloud の機能である「検索インデックス」について詳しく説明します。検索インデックスとは何か、その設定によりどのような処理が行われるのかを確認した上で、設定の概要やベストプラクティスも紹介いたします。検索インデックスとは: 構造化/非構造化データを RAG で検索可能にするための Data Cloud の機能です。データソースとなるデータモデルオブジェクトを選択して検索インデックスを設定すると、 Data Cloud がそのデータを意味のあるかたまりにチャンク化(分割)し、その分割したデータをベクトル化(数値化)して検索可能な状態に処理します。このプロセスがあることで、 Data Cloud に取り込んだデータの中からユーザーの質問に意味や文脈が近いデータを検索できるようになります。検索インデックスに関わるデータモデルオブジェクト ( DMO ): Data Cloud で検索インデックスを設定すると、データソースのデータモデルオブジェクトに対応する Chunk DMO と Index DMO が自動で作成されます。詳細はこちらのヘルプ記事をご参照ください。DMO / UDMO: ソースデータのデータモデルオブジェクト。UDMOは、アップロードファイルのような非構造化データを格納するためのUnstructured(非構造化) DMOを意味する。Chunk DMO: ソースデータから、意味のまとまりで分割されたチャンクテキストが格納されるデータモデルオブジェクト。 Chunk DMO のデータをグラウンディングに使用することで、プロンプトに文脈のある情報を渡すことができる。Index DMO: チャンクテキストをベクトル化(数値化)した値を格納するデータモデルオブジェクト。Chunk オブジェクトのレコードと対になって作成され、検索時はこのベクトルをもとに意味の近いデータが特定される。設定の概要検索インデックスの設定には、主に2つの方法があります。 Agentforce データライブラリによる作成: Agentforce データライブラリ機能を使用すると、簡単ないくつかのステップだけで自動で検索インデックスの設定を行うことができます。対応データは、 Service Cloud のナレッジオブジェクト、アップロードファイル( PDF, HTML, Text )です。簡単に使い始めることができる点はメリットですが、対応データが限られていることと、設定できる内容に限りがあるため、上記以外のデータソースを扱ったり、より高度な設定が必要な場合は Data Cloud で手動で検索インデックスを設定します。検索インデックス作成: Data Cloud の「検索インデックス」より、詳細な設定を反映した検索インデックスの設定が可能です。UI上の操作で設定できるためコードは不要です。 Agentforce データライブラリでは対応していないデータも利用できるほか、検索方式、対象データのフィルター条件など、より高度な制御が行えます。Help | 検索インデックスの管理ベストプラクティス検索インデックスにより RAG の精度を高めるには、有効なデータに対して適切な設定を行うことが重要です。コンテキスト(文脈)のある項目やデータを用意する: キーワード単体ではなく、その言葉がどのような意味で使われているかが分かる文章や段落があるデータが検索インデックスの対象として適しています。ユーザーの質問との意味の類似性をより正確に捉え、文脈に沿った的確な回答を生成しやすくなります。最低限の項目を検索インデックスの対象にする: 本文とは無関係な情報(定型文、記事番号など)を排除し、 RAG が参照すべき本質的な情報だけに絞って検索インデックスを設定します。これにより、検索ノイズが減り、精度と効率が向上します。不要なデータを除外することで、プロンプトに誤った情報や不完全な情報を与える可能性を低減させることができます。まとめ検索インデックスとは、指定したデータをチャンク化・ベクトル化し、検索可能な状態にする Data Cloud の機能です。検索インデックスを設定することにより、 Agentforce が検索できるデータ基盤が構築されます。 Agentforce データライブラリによる設定と Data Cloud における手動設定の2つの方法があり、後者の方がより詳細な設定や高度な制御が可能です。 RAG の精度を高めるためには、文脈のあるデータを用意し、検索インデックスの対象を必要最低限の項目に絞ることが重要です。次の記事では、そのデータを検索する役割を担う「レトリーバー」について詳しく解説します。学習ツールPremier Success Plan をご契約のお客様は、この記事の内容について1対1のフォローアップセッションでご相談いただけます。具体的な設定方法などについてご支援が必要でしたらぜひ以下のリンクよりお申し込みくださいませ。エキスパートコーチング: Data Cloud : AI & Agentforce 参考リソースHelp | ベクトル検索Help | 検索インデックスの管理Help | 高度な設定を使用したハイブリッド検索インデックスの作成Help | データモデルオブジェクトのチャンクとインデックス付け
-
この記事で学べること Data Cloud で RAG に活用できるデータソースそれぞれのデータソースに適したユースケースはじめにこの記事では、 Data Cloud を RAG ( Retrieval Augmented Generation )として活用するためのデータソースについて解説します。 Salesforce のレコードデータや添付ファイル、外部システムのデータ、アップロード可能なファイルなど、それぞれのデータソースの特徴や適したユースケースを理解し、自社に最適なデータソースを選択しましょう。利用可能なデータソース Salesforce のレコードデータ(構造化)構造化データである Salesforce オブジェクトのレコードも RAG に活用できます。例えば、ナレッジ記事( Knowledge )は典型的な情報源です。 FAQ や社内ドキュメントがナレッジとして Salesforce に蓄積されている場合、これをそのまま Agentforce の回答に活用できます。ナレッジの本文を検索インデックス化することにより、意味の類似性をもとに関連性の高い情報を検索できます。ナレッジ以外の Salesforce オブジェクトも活用できるため、例えば商談やケースなどレコードに蓄積されたメモ・説明文などをもとに類似レコードを探すという利用方法もあります。 Salesforce レコードの添付ファイル(非構造化) レコードへの添付ファイルも RAG に活用できます。例えば、商談に添付されたプレゼン資料や契約書類、ケースに添付された製品マニュアルなどが挙げられます。 Data Cloud において、レコードの添付ファイルも取り込むように設定をすることで、非構造化データである添付ファイルを読み取り、その内容をもとにした検索インデックス(チャンク化、ベクトル化)の作成が可能です。レコードに保存されている情報だけでは不十分な場合などは、添付ファイルが有効です。Help|すべての Salesforce オブジェクトから Data Cloud への添付ファイルの取り込み外部システムのデータ(構造化 / 非構造化) Salesforce 以外の外部システムにあるデータも RAG に活用できます。たとえば、外部データウェアハウスのデータ、基幹システムの構造化データや、クラウドストレージにある非構造化のデータファイルなどが含まれます。 Data Cloud はこうしたデータを取り込むための接続方法を提供しています。代表例として、コネクタ経由で外部データベースと連携したり、API経由でデータを取り込んだりする方法があります。アップロード可能なファイル(非構造化) もし手元にあるデータを直接取り込みたい場合、PDF、テキスト、HTML 形式のファイルアップロードも可能です。これを利用すれば、小規模なデータセットや試験的なデータをスムーズに RAG 環境に追加できます。製品カタログやサービス利用ポリシーなど、まとまった内容が一つのファイルに集約されているようなデータはアップロードして RAG に活用することに適しています。Help|非構造化データファイル形式とコネクタデータの取り込み RAG にデータを活用するために、まずは Data Cloud にデータを取り込む必要があります。データ取り込みの手順は以下のとおりです。構造化データの場合データストリームを作成し、データソースから Data Cloud にデータを取り込む(データレイクオブジェクトが作成される)データレイクオブジェクトのデータをデータモデルオブジェクトにマッピングするデータモデルオブジェクトに対して検索インデックスを設定する(次の記事で解説します)非構造化データの場合データレイクオブジェクトを作成しソースとなる非構造化データを Data Cloud に取り込むデータレイクオブジェクトを非構造化データモデルオブジェクトにマッピングするUDMO に対して検索インデックスを設定する(次の記事で解説します)※非構造化データの場合はデータストリームが作成されません。※Agentforceデータライブラリを使用する場合は、上記の処理が自動で行われます。 Data Cloud へのデータの取り込みについて、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。データストリーム / データモデルオブジェクトまとめ RAG の情報源として、様々なソースからのデータを利用可能です。実現したいユースケースや自社のデータの保持状況も踏まえ、最適なデータソースを選択しましょう。次の記事では、取り込んだデータを RAG に使えるように処理を行う「検索インデックス」について詳しく解説します。学習ツールPremier Success Plan をご契約のお客様は、この記事の内容について1対1のフォローアップセッションでご相談いただけます。具体的な設定方法などについてご支援が必要でしたらぜひ以下のリンクよりお申し込みくださいませ。エキスパートコーチング: Data Cloud : AI & Agentforce 参考リソースHelp | データの接続Help|すべての Salesforce オブジェクトから Data Cloud への添付ファイルの取り込みHelp|非構造化データファイル形式とコネクタ
-
この記事で学べること RAG 実現のための Data Cloud の関連機能 Data Cloud における RAG 関連機能この記事では、 Salesforce の中でも Data Cloud が提供する RAG 関連の機能について詳しく紹介します。 Data Cloud は単にデータを保存するだけでなく、 RAG を実現するための様々な機能を備えています。これらを理解することで、後続の設定手順(検索インデックスやレトリーバーの設定)がなぜ必要かが明確になります。データモデルオブジェクト: Data Cloud は、構造化データだけでなく、社内の FAQ 記事、通話記録の文字起こし、 PDF マニュアルなどの非構造化データも格納することができます。取り込んだデータをデータモデルオブジェクトにマッピングすることで、後述の検索インデックス機能により RAG に活用できるようになります。検索インデックス: 「検索インデックス」機能により、データモデルオブジェクトのデータを RAG に活用できる状態にします。特定のデータモデルオブジェクトをもとに検索インデックスを設定することで、その中にあるテキストデータは、チャンク化(長文を適切な長さの断片に分割)され、さらにベクトル化(各チャンクを意味ベースの数値ベクトルに変換)されます。この一連の処理によって、非構造化データであっても意味の近いデータを検索できる状態(=検索インデックスが構築された状態)になります。レトリーバー( Retriever ): 検索インデックスと対をなす機能がレトリーバーです。レトリーバーは「検索クエリに基づいてベクトル DB から関連するデータを検索・取得する役割」を担います。 Data Cloud では検索インデックスを作成すると、そのデータを検索するデフォルトレトリーバーが自動的に用意されますが、詳細に検索を制御するためのレトリーバーを任意で作成することも可能です。 Agentforce は、このレトリーバーを通じて Data Cloud 内のベクトル化されたデータへ検索を行い、回答の根拠となる情報を取り出します。検索インデックスとレトリーバーによって、 Data Cloud のデータを RAG に活用できるようになります。 Data Cloud RAG 実装のステップ Data Cloud で RAG を実装するには、以下のステップで設定を進めていきます。各ステップの詳細は、後続の記事で解説していきます。 Data Cloud へのデータ取り込み: RAG に活用する社内データをデータモデルオブジェクトにマッピング検索インデックスの作成: 取り込んだデータを RAG に活用できる状態にするレトリーバーの作成: Agentforce が RAG データを検索・取得できるようにする Agentforce / プロンプトテンプレートで使用: Agentforce が RAG データを動的に取得して応答を生成まとめ Data Cloud は RAG に必要な様々な機能を備えています。データを取り込み、 RAG に活用できるように処理を行い、それを検索・取得できるようにするという一連の流れを Data Cloud で設定できるため、複雑な AI 検索基盤を構築しなくても、 Salesforce プラットフォーム上で RAG の基盤を実現できます。次の記事では、最初のステップであるデータの取り込みについて詳しく解説します。学習ツールPremier Success Plan をご契約のお客様は、この記事の内容について1対1のフォローアップセッションでご相談いただけます。具体的な設定方法などについてご支援が必要でしたらぜひ以下のリンクよりお申し込みくださいませ。エキスパートコーチング: Data Cloud : AI & Agentforce 参考リソースHelp | Salesforce Data Cloud についてHelp | AI 、自動化、分析の検索の使用Help | データの取得
-
この記事で学べること RAG の基本的な定義と仕組み Salesforce プラットフォーム上で RAG がどのように実現されているか、 Data Cloud と Agentforce の役割分担 RAG (検索拡張生成)とはまず RAG の基本概念について解説します。 RAG は「 Retrieval-Augmented Generation 」の略で、日本語では「検索拡張生成」と呼ばれます。生成 AI ( LLM )の弱点を補うための仕組みであり、生成 AI が回答を生成する際に、社内外の情報ソースから関連情報を検索し、その情報をグラウンディングに利用する技術です。例えば、事前に学習された LLM の知識のみでは最新の情報や専門的な質問に正確に答えられない場合に、 RAG を使うことで自社の最新データを参照しながら回答を生成できます。最新・関連性の高いデータをプロンプトに埋め込む: RAG を使うと、企業内の最新かつ関連性の高いデータを LLM へのプロンプトに組み込むことが可能です。これにより、 AI は常に最新かつ関連性の高い知識を踏まえて回答できます。構造化・非構造化データの活用: RAG で利用できるデータは、スプレッドシートやデータベースのような構造化データだけではなく、メール・PDF・チャットログなどの非構造化データも含まれます。社内に蓄積された様々な情報源を活用できます。ハルシネーションの低減: 信頼できる社内データを参照することで、 AI がもっともらしいが誤った回答を作り出してしまう「ハルシネーション」を減らす効果があり、回答の正確性・信頼性が向上します。 Salesforce における RAG の仕組み全体像ここでは、 Salesforce プラットフォーム内で RAG がどのように機能するのか、その全体アーキテクチャを紹介します。特に Data Cloud が中心的な役割を果たしており、 Agentforce と連携して RAG を実現しています。ベクトルデータベースとしての Data Cloud: RAG で肝となるのがベクトルデータベースです。 Data Cloud にはベクトルデータベースの技術が組み込まれており、非構造化データも含めた情報を、 AI が扱いやすい数値ベクトル形式で保存・検索できます。これにより、単純なキーワード検索ではなく、言葉の「意味」や「文脈」の近さに応じた、より精度の高い検索(セマンティック検索)が可能になります。Agentforce: Agentforce は Salesforce が提供する AI エージェント機能であり、ユーザーからの質問や要求に対して自律的にタスクを実行します。 Agentforce が RAG を使う代表的なタスクは問い合わせ対応です。 Agentforce が質問(プロンプト)を受け取ると RAG によるデータ検索により関連する情報を取得し、それをもとに回答を行います。RAG の流れ: ユーザーから Agentforce に質問が来ると、まず Data Cloud 内のデータを検索( Retrieve )して関連する情報を探し出します。これには後述する検索インデックスとレトリーバーの仕組みが使われ、 Data Cloud 上の膨大なデータから質問に適した情報を見つけ出します。見つかった情報はプロンプトに組み込まれ( Augment )、 LLM がそれを基に回答を生成します( Generate )。この一連の処理によって、 Agentforce は社内の知見に裏付けされた回答をユーザーに返します。まとめ Salesforce における RAG は、 Data Cloud を基盤に Agentforce が連携して実現されます。質問を受けると Data Cloud 内のデータを検索し、見つかった情報をプロンプトに組み込みます。そして、 LLM が回答を生成します。この仕組みにより、最新かつ関連性の高いデータに基づいた正確な回答が可能となり、ハルシネーションも低減できます。また、構造化・非構造化データを問わず活用できます。 RAG の導入で、 LLM 単体では難しい最新情報や専門的な質問にも対応できるようになります。次の記事では、この RAG の仕組みを支える Data Cloud の機能について詳しく解説します。学習ツールPremier Success Plan をご契約のお客様は、この記事の内容について1対1のフォローアップセッションでご相談いただけます。具体的な設定方法などについてご支援が必要でしたらぜひ以下のリンクよりお申し込みくださいませ。エキスパートコーチング: Data Cloud : AI & Agentforce 参考リソースHelp | AI 、自動化、分析の検索の使用
-
はじめに Data Cloud で RAG を活用するためには、関連する一般用語や Salesforce に関連する用語の定義を理解する必要があります。この記事では、これらの用語をカテゴリ別に解説します。 AI の概念・アーキテクチャ大規模言語モデル( LLM - Large Language Model )大規模言語モデル( LLM )とは、膨大な量のテキストデータを学習し、人間のように自然な文章を生成したり、要約したり、質問に答えたりする能力を持つ AI モデルです。 Chat GPT の GPT-4 などがその代表例であり、生成 AI の頭脳として機能します。 Salesforce プラットフォームにおいても、生成 AI 機能が応答を生成する過程などで大規模言語モデルが使用されています。プロンプト( Prompt ) LLM に対して指示や質問を与えるための入力文のことです。 LLM はこのプロンプトに基づいて文章や画像などを生成します。適切なプロンプトを設計することで、望ましい出力結果を得ることができます。プロンプトは、自然言語で LLM に指示を与えられるという手軽さから使いやすい一方で、その内容によって出力品質が大きく左右されるため、生成 AI 活用において極めて重要な要素です。グラウンディング( Grounding )グラウンディング( Grounding )とは、 LLM のような生成 AI が単なる学習データに依存するだけではなく、顧客情報などのデータに基づいた文脈をプロンプトに付与するためのプロセスを指します。 LLM が事実に基づかない、もっともらしい「嘘」を生成してしまう「ハルシネーション」を防ぐために極めて重要なプロセスです。 検索拡張生成( RAG - Retrieval-Augmented Generation )検索拡張生成( RAG )とは、 LLM が回答を生成する際に、指定した特定の情報ソースから関連情報を検索し、その情報をグラウンディングに利用する技術です。これにより、 LLM が持つ一般的な知識と、企業固有の最新かつ正確なデータを組み合わせることが可能になります。 Data Cloud の文脈において、 RAG は Agentforce が顧客データやナレッジ記事などの情報を基に、文脈に沿った正確な回答を生成するためのコア技術として機能します。データの種類構造化データSalesforce オブジェクトのレコードや Excel のデータ行のように、事前に定義された形式や固定された項目に整理されているデータです。 非構造化データ事前に定義された形式や構造を持たないデータ。テキスト文書や音声・動画ファイル、画像、ソーシャルメディアの投稿などが非構造化データにあたります。 RAG の観点では、 LLM がより正確で具体的かつ状況に応じた回答を生成するための「グラウンディング」に不可欠です。データ処理・検索技術チャンク化( Chunking )チャンク化とは、長いドキュメントやテキストを、 AI が処理しやすいように、意味のある小さな塊(チャンク)に分割するプロセスです。一度に扱える情報量には限りがある LLM に対して、長文の中から最も関連性の高い部分だけを効率的に提供するために不可欠な前処理です。 Data Cloud の文脈では、例えば長いナレッジ記事や規約文書などをインデックス化する際に、このチャンク化が行われます。適切に分割されたチャンクテキストにより、ユーザーの質問に対して、文書全体ではなく、最も的確な一部分をピンポイントで検索結果として提示できるようになり、 RAG の精度が向上します。ベクトル化( Vector Embeddings )ベクトル化とは、テキストや画像などのデータを、 AI が意味の近さを計算できるような数値の配列(ベクトル)に変換するプロセスです。例えば、「ノートパソコン」と「ラップトップ」は異なる単語ですが、ベクトル化すると空間上で非常に近い位置に配置され、意味的に類似していると判断されます。 Data Cloud では、ナレッジ記事、ケースのやり取り、商品情報といった非構造化データからチャンク化されたテキストがベクトル化され、データベースに格納されます。これにより、キーワードの一致だけではない、意味の類似性による検索を行えます。インデックス化( Indexing )データ(特にチャンク化されたデータ)をベクトルデータベースやキーワードインデックスなどのデータベース内で整理し、検索可能な構造として保存するプロセスを指します。大量のデータから最も関連性の高い情報を効率的かつ正確に検索するために不可欠な基盤を構築します。適切にインデックス化されたデータは、 RAG プロセスにおいて LLM (大規模言語モデル)に提供されるコンテキスト(文脈)の質を向上させます。ベクトルデータベース( Vector Database )ベクトルデータベースとは、ベクトルデータの格納、管理、そして高速な類似性検索(ベクトル検索)に最適化されたデータベースです。従来のデータベースが構造化データの管理やキーワード検索を得意とするのに対し、ベクトルデータベースは意味の近さに基づいた検索を効率的に実行できます。 Data Cloud は、このベクトルデータベース機能をプラットフォームにネイティブで内包しています。これにより、ベクトル化された顧客データやナレッジを外部のデータベースに移動させることなく、 Salesforce の堅牢なセキュリティの範囲内で安全に管理・活用できます。セマンティック検索 / ベクトル検索 ( Semantic Search / Vector Search )セマンティック検索は、キーワードの一致だけでなく、単語やフレーズの意味を理解し、ユーザーの意図に関連性の高い情報を探し出す検索手法です。このセマンティック検索を技術的に可能にするのがベクトル検索で、ユーザーの質問(プロンプト)をベクトル化し、データベース内のベクトルとの距離を計算することで、関連性の高い情報を見つけ出します。これは RAG における「検索( Retrieval )」を担う非常に重要な部分です。 Salesforce においては、ユーザーが Agentforce に質問をすると、裏側ではこのベクトル検索が実行され、質問の意図に関連性が高い顧客データやナレッジの断片(チャンク)が特定され、応答生成のためのグラウンディングに使用されます。ベクトル検索はセマンティック検索のための主要な「手段」の一つです。 Salesforce に関連する用語 Data Cloud Data Cloud は、 Salesforce プラットフォームにネイティブに統合されたデータ基盤です。 CRM データ、 Web サイトの行動履歴、基幹システムのデータなど、社内外のあらゆる顧客データをリアルタイムで集約・統合し、顧客一人ひとりの統合プロファイルを構築します。 RAG の文脈において、 Data Cloud は最も重要かつ信頼できる「ナレッジベース(知識源)」そのものです。ここに集約・統合された最新かつ正確なデータがグラウンディングの基盤となり、 AI が常に信頼できる情報源から回答を生成できるようになります。 データスペース ( Data Space )単一の Data Cloud 環境内に作成される、データを論理的に分割・整理するための「仕切り」のようなもの。これにより、企業はブランド、地域、部門といった単位でデータ、メタデータ、プロセスを分離し、それぞれに応じたアクセス制御やデータ活用を実現できます。データストリーム( DS : Data Stream )様々なデータソースから Data Cloud にデータを接続し、取り込む機能です。 Data Cloud 内でデータを取り込み、処理するための入り口となり、取り込み対象データや頻度の制御を行います。データレイクオブジェクト( DLO : Data Lake Object )構造化データや非構造化データを取り込み、保存するためのオブジェクトです(データベースでのテーブルに相当)。ローデータや非構造化データの主要な格納場所として機能します。データモデルオブジェクト( DMO : Data Model Object )Data Cloud 内で構造化されたデータや、非構造化データから派生したデータ(チャンクやベクトルなど)を構造化された形式で保存するためのオブジェクトです (データベースでのビューに相当)。データレイクオブジェクトから取り込まれたデータや、直接取り込まれた構造化データを、分析やベクトル検索で利用しやすいように構造化・整理する役割を担います。検索インデックス( Search Index )ソースとなる構造化/非構造化データモデルオブジェクトを RAG で検索可能にするための Data Cloud の機能。検索インデックスを設定することにより、ソースとなるデータモデルオブジェクトを元にした Chunk DMO ( Data Model Object )と Index DMO ( Data Model Object )が作成されます。 Chunk DMO にはチャンク化されたテキストデータ、 Index DMO にはチャンク化されたテキストをベクトル化したデータが格納されます。レトリーバー( Retriever )レトリーバーは、 RAG の中で検索を担う機能です。ユーザーの質問を受け取り、それを基に検索インデックスの中から最も関連性の高い情報(データチャンク)を探し出して取得する役割を担います。ユーザーが Agentforce に質問をすると、レトリーバーがその質問をベクトルに変換し、 Data Cloud のベクトルデータベースに対して検索を実行します。そして見つけ出した最適な情報をプロンプトテンプレートに渡し、それが LLM に送信されることで生成結果の精度向上に寄与します。プロンプトテンプレート(Prompt Template)プロンプトテンプレートとは、 LLM への指示(プロンプト)を効率的かつ安定的に生成するための雛形です。あらかじめ定義された文章の中に、特定の情報(顧客名、ケース番号など)を動的に埋め込むための変数(プレースホルダー)を含むことができます。これにより、 Data Cloud から取得したデータを基に、文脈に応じた具体的なプロンプトを自動生成し、一貫性と精度の高い応答を実現します。 RAG においては、レトリーバーをプロンプトテンプレートで使用することで、ベクトルデータを用いた動的なグラウンディングが可能になります。 Agentforce Agentforce は、 Salesforce の各アプリケーション( Sales Cloud, Service Cloud など)で動作する自律型の AI アシスタントです。ユーザーは人間と会話するように自然言語で指示を出すだけで、データの検索、要約、メール作成、アクションの実行など、様々なタスクを自動化できます。また、 RAG を実際に利用するためのインターフェースとしても機能します。Einstein Trust LayerEinstein Trust Layer は、 Salesforce の生成 AI 機能と LLM の間に位置する、信頼性と安全性を担保するためのセキュアな AI アーキテクチャです。動的グラウンディング、ゼロデータリテンション、有害性検出などの機能を備え、 Data Cloud のデータを RAG で活用する際、この Trust Layer が働くことで、企業の機密データが外部の LLM に保持されたり、情報が意図せず漏洩したりするリスクを防ぎます。これにより、企業はコンプライアンスを遵守しながら、安心して生成 AI を活用することができます。
-
この記事で学べることDigital WalletとはDigital Walletへのアクセス方法とクレジット消費の監視クレジット消費の閾値超過時の通知設定Digital Walletに関するお問い合わせ方法機能概要: Digital Wallet は消費量課金ベース製品、または機能の使用状況と残容量を監視できる管理ツールです。※表示される消費カードの種類や数についてはライセンスやご利用の製品などにより異なります。※日本でまだ公開されていない機能を含む場合がございます。アクセス方法:Your AccountからのアクセスYour Account → 「消費カード」からアクセスアプリケーションランチャーからのアクセスアプリケーションランチャー →「消費カード」からアクセス消費量の確認:定期的にアクセスいただき、クレジット残量のご確認をお願いいたします。消費クレジットの概算見積もり依頼や、クレジットの追加などにつきましては担当営業までご連絡ください。ライセンスがSalesforce Foundations Entitlements、またはEinstein for xxの場合の確認すべき消費カード:Conversations会話による消費量Einstein RequestsLLMに関する消費量Data Services CreditsData Cloudのデータ処理に関する消費量Data Storage AllocationData Cloudのデータストレージに関する消費量ライセンスがAgentforce Flex Credits、またはSalesforce Foundations Entitlements Flex Creditsの場合の確認すべき消費カード:Flex Creditsアクションに関する消費量Data Services CreditsData Cloudのデータ処理に関する消費量Data Storage AllocationData Cloudのデータストレージに関する消費量閾値超過時の通知設定: フローをカスタマイズして、独自のビジネスニーズに基づいて閾値、受信者、頻度をカスタマイズ可能です。設定方法についてはこちらをご参照ください。Digital Walletに関するお問い合わせ方法: ※現在英語対応のみのため、英語での起票をお願いいたします。※デジタルウォレットの動作不備、画面不具合などの技術的な問題、および Data Cloud 全般のお問い合わせはSalesforce ヘルプからお問い合わせを起票してください。